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技術、強度の差で鹿島ユースに完敗…「このチームで歴史を変えたい」仙台ユースは悲願のプレミア参入への意欲高める

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惜しくも準優勝に終わった仙台ユース

[7.31 クラセンU-18決勝 鹿島 3-0 仙台 ニッパツ三ツ沢球技場]

 4月のプリンスリーグ東北開幕から公式戦17戦無敗。クラセンU-18も全国の名だたる強豪相手に快進撃を続け、ついにチーム史上初の決勝の舞台に登り詰めたベガルタ仙台ユースだったが、プレミアリーグEAST首位に立つ鹿島アントラーズユースに0-3の完敗に終わった。それでもチーム史上最高成績となる準優勝で大会を終えたのは大きな収穫と言える。

 今季就任した仙台市出身の加藤望監督にプリンスリーグ東北開幕前に、どんなサッカーを見せたいか話を伺うと、「常に自分たちから攻撃も守備もアクションを起こしていくサッカーをしたい」と語っていた。そして今大会を見て行くと、特に初戦の川崎フロンターレU-18戦や準決勝の名古屋グランパスU-18戦は、立ち上がりから自分たちが主導権を握って戦うことができ、先制点を奪って優位に試合を進めることができていた。

 元々2021年から昨年夏までチームを率いた木谷公亮元監督(現・サガン鳥栖ヘッドコーチ)も自分たちが主導権を握ることにトライし、昨夏木谷元監督から監督を引き継いだ安川洋介前監督がヘッドコーチとして残る形で、加藤監督が就任した。指導者が替わっても一貫してこのようなスタイルに取り組んでいて、素地ができていたことも、加藤監督が1年目から結果を残せた理由の一つと言えよう。

 今大会で自分たちが主導権を握る戦いができたのは、プリンスリーグ東北ではなかなか身に着けることが難しい、強度の部分を高く保てたことも大きい。加藤監督はシーズン開幕前に「練習の強度を上げたとしても、練習試合の強度は関東の方が高い。やっぱり関東は拮抗した対戦相手と常に毎週できるので、自分たちのギリギリのプレーを毎週やれているという意味では、関東の方が恵まれているとは感じています。仙台の場合はなかなかそういうゲームを毎週やるのは、相手を見つけるのも難しいと思うんですけど、そこは工夫をしながら今やっていますね」と強度の部分の改善を図ろうとしていた。

 6月下旬に行った遠征ではまず流通経済大の大学生と練習試合を組み、高い強度に慣れさせ、その翌日に清水エスパルスユースと練習試合を行ったところ、4-0で勝利することができた。「大学生とやらせていただいて、やられましたけどすごくチャレンジして、自分で仕掛けるとか受けるとか強度のある中でやれて、ゴール前まで行く場面もありました。守備でも最初やられましたけど、その後相手を自由にさせないことや、ブレッシングができて良かったなと思います。同じようなテンションのまま清水ユース戦に入ったら、失点0で4得点できて良かったです」と加藤監督の一工夫で、選手は成功体験を一つ積めた。

 キャプテンのDF永井大義(3年)も「大学生相手だと、技術もそうなんですけど、フィジカル的にもやられることは多かった。でも、その中でもワンタッチを使って剥がせるシーンもあって、清水ユースとやった時はそのイメージのまま入って、攻守両面で相手を上回れたかなと思います」とこの遠征での手応えを語った。遠征を通じて、高い強度で自分たちが主導権を握って戦う経験を積んだことは、この大会にも生きて、川崎U-18、岡山U-18、名古屋U-18といったプレミアリーグの強豪相手にも真っ向勝負で戦い続けることができた。

 そうした中、決勝では鹿島ユースにも真っ向勝負を挑んだのだが、鹿島ユースは強度も技術も一枚上手だった。「守備の部分でも、いつもなら1歩前に出られるところで出られなかったり、あとはプレッシャーと感じる距離がいつもよりも遠いにも関わらず、メンタル的なのか分からないですけど、ちょっと浮き足だった感じのプレーが特に前半多かったです。ハーフタイムでもうちょっと自信を持ってやろうという話をしましたが、なかなか最後のところまではやっぱり簡単に行かせてもらえなかったなという印象です」と加藤監督は試合を振り返った。

 キャプテンの永井も「1個1個の技術だったり強度がまず相手の方が上でしたし、そういう面で負けてたらやっぱり主導権も握れないと思うので、やっぱそこは日頃の練習からまたやっていかなきゃいけないなと思います」と語り、今大会チーム最多の3得点を挙げたFW古屋歩夢(3年)も「最初はビビって蹴ってばかりで自分たちのボールにならず、そのまま押し込まれて、早い時間帯で先制されて、そこで崩れたのかなとは思います」と決勝の舞台で臆して戦ってしまったことを悔やんだ。

 やはりクラセンのような全国大会は、普段プレミアリーグで強度の高い試合をしていて、場数を踏んでいるチームが圧倒的に有利だということは間違いない。今後仙台ユースが全国大会でタイトルを取り、プロ選手をコンスタントに輩出できるようになるためには、やはりプレミアリーグに参入したいところだ。

 加藤監督は「プレミアに昇格するためのプリンスをしっかり戦って、1、2年生には、来年こういった素晴らしい対戦相手と毎週試合ができる環境を自分たちでもぎ取りたいな、つかみたいなというのは、試合が終わった後もみんなで確認をして、またこの悔しさを次につなげていこうと話しました」と、チームの悲願であるプレミアリーグ参入への思いを語った。キャプテンの永井も「今回優勝できなかった以上、プレミア昇格というのはもっと意識してやっていかなきゃいけないなと思いますし、またこのチームで歴史を変えたいと思っているので、オフ明けから全員で一つの目標に向かってやっていきたいなと思います」とプレミアリーグ参入を強く意識する。

 あとは「この敗戦があったから、プレミアリーグ参入できた」と年末に言えるかどうか。仙台ユースにとっては、監督も選手もチーム最高成績の準優勝に満足することなく、プレミアリーグプレーオフを勝ち抜くという年末の大目標に向けての思いをより強くした大会となったはずだ。

(取材・文 小林健志)

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小林健志
Text by 小林健志

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