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[MOM4939]堀越FW三鴨奏太(2年)_果たしたのは「堀越の10番」の仕事!2年生アタッカーが全得点に絡む躍動で東京制覇の主役に!

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堀越高FW三鴨奏太(2年=FCオーパスワンU-15出身)は土壇場での勝ち越しPK成功に両手でガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.16 選手権東京都予選Bブロック決勝 堀越高 3-2(延長) 実践学園高 駒沢陸上競技場]

 この10番にボールが入ると、ピッチの空気は一変する。周囲をぐるりと見渡し、瞬時に最適解を導き出し、持ち合わせている高い技術を生かして、イメージを具現化してしまう。戦う舞台がどこであっても、今やその存在感は唯一無二と言っていいだろう。

「今年は監督も言っていたように苦しい1年間でしたけど、この選手権のためにやってきましたし、春も夏も自分の中では不完全燃焼だったので、今大会はそれがゴールという結果として現れて良かったです」。

 2年連続となる全国切符を力強く手繰り寄せた、堀越高の10番を託されたアタッカー。MF三鴨奏太(2年=FCオーパスワンU-15出身)はファイナルの舞台で2ゴール1アシストを叩き出し、チームの劇的な勝利を鮮やかに演出してみせた。


 東京制覇の懸かったゲームでも、その才覚は早々に煌めく。高校選手権東京都予選Bブロック決勝。実践学園高と対峙した一戦の前半2分。FW高橋李来(2年)のパスをMF杉村充樹(2年)がダイレクトで上げた右クロスが届くと、ゴール前でたどるべき道筋は一瞬で弾き出される。

「得意なファーストタッチもうまく決まって、足を振り切らずにちょっとキーパーを倒しながら流し込めたと思います」。力の抜けた柔らかいトラップで、マーカーの前に身体を入れると、そのまま丁寧にフィニッシュ。ボールは左スミのゴールネットへ転がり込む。あっという間の先制劇。10番がその実力を遺憾なく発揮する。

 ただ、そこからのチームは思ったような試合展開に持ち込めない。「ちょっと早くゴールが入り過ぎたというか、獲れたことは良かったですけど、そのあとにちょっとフワッとしてしまいましたね。この大会は1点が入ったら、2点目も早めに入って、それで結構楽になったんですけど、2点目が遠かったです」(三鴨)。次の1点を奪えないまま、ゲームクローズに入りかけていた後半31分にPKで追い付かれ、試合は延長戦へと突入する。



 延長前半7分。実践学園が逆転に成功する。この試合で初めて背負った1点のビハインド。ただ、三鴨のメンタルには少しのブレもない。「もう『これで終わっちゃうのかな』とは思いましたし、状況としては最悪な状況だったんですけど、今シーズンはずっとああいう場面でも負けないでここまで来れたので、自分の中で自信を持って、堂々とプレーできましたね」。

 延長前半10+1分。左サイドの高い位置で前を向いた三鴨は、中央の状況を見極められる冷静さがあった。「理想を言えばもうちょっと速いクロスが良かったですけど、それで誰にも合わなかったら次にも繋がらないですし、中は(森)奏も上がっていて、競り勝てるかなと思っていたので」フワリとしたクロスを送り込むと、マーカーに競り勝ったDF森奏(3年)のヘディングはゴールネットを揺らす。2-2。堀越は再びスコアを振り出しに引き戻す。

 延長後半7分。三鴨はペナルティスポットに立っていた。右サイドを途中出場のMF岩崎晄芽(3年)が切り裂いて奪ったPK。時間帯を考えても超重要な局面だが、「PKキッカーは自分なので」という2年生アタッカーは、何の迷いもなくボールを手にすると、11メートルを介してゴールキーパーと向かい合う。

「今週はずっと天然芝で調整していて、なかなかキックのところはアジャストできなくて難しかったですけど、PKは自信を持って入れたので、あまり緊張しなかったですね。『決めたらパフォーマンスはどうしよう』ぐらいの感覚でした」。

 1つ深呼吸。短めの助走から右に蹴り込んだキックは、GKの逆を突いて、ゴールネットへ突き刺さる。跳ね返ってきたボールを抱え込むと、そのまま紫のスタンドへと一直線。応援団と歓喜を分かち合う。今大会8点目のゴールは、貴重な、貴重な、再逆転弾。エースの仕事、完遂。堀越は再び1点をリードする。

 アディショナルタイムが5分を過ぎると、試合終了を告げる笛の音がようやく耳に届く。「『ここで人生変えてやる』と思っていたので、初めてああやって試合に勝って、崩れ落ちました。ちょっと涙は浮かんできましたけど、安心感が一番強かったです」。三鴨の全得点に絡む躍動が、チームの劇的な勝利を逞しく引き寄せた。


 前述したように今大会は通算8ゴールと、驚異的な数字を残していた三鴨だが、本人は無得点に終わった準決勝のパフォーマンスに思うところがあったという。「準決勝はアシストが1つありましたし、得点の起点は全部自分だったと思っているんですけど、シュートチャンスがほとんどなかったのが悔しくて、チャンスが来れば決勝は絶対点を獲れるなと思っていました。準決勝は目に見える結果がなくて、それまでの過程での関わり方が良かったですけど、今日は自分のプレーが得点という結果に結び付いたところが良かったですね」。大舞台で結果を残せるのもエースの証だ。

 近年の堀越の10番は日野翔太(サガン鳥栖)や昨季のキャプテンを務めた中村健太(拓殖大)も背負っていた番号。もちろんその重みはわかっているものの、必要以上に気負うつもりもない。

「堀越の10番は、それまで背負っていた人たちを見ればスーパーな選手が多いですけど、去年からずっと背負いたいなと思っていましたし、自分しかいないとも思っていました。番号でサッカーをするわけではないので、そこまでは気にしていないです。でも、中学生の時も10番だったので、好きな番号ですね。注目を浴びるのも好きなので」(三鴨)



 昨年の選手権でも4試合に途中出場。とりわけ後半開始から投入された国立競技場での準決勝・近江高戦では積極的に仕掛ける姿勢で、何度も3万人を超える観衆を沸かせてみせた。目指すのは再びあの聖地でプレーし、今度は得点を奪うこと。「まだここで終わりじゃないので、この先で自分の価値を高められるかどうかのスタート地点に立てたのかなと思います」。

 堀越の攻撃陣を牽引する背番号10の、ゴールに関われる万能型アタッカー。1年越しで再び挑むのは、『自分の価値を高める』ための晴れ舞台。三鴨奏太という名前は、間違いなく覚えておく必要がありそうだ。



(取材・文 土屋雅史

●第103回全国高校サッカー選手権特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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