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[選手権]「他の学校にとっても物凄くプラス」積み上げを実らせた古豪・水口が29年ぶりの出場! 比叡山とのPK戦を制す

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古豪復活を果たした水口高

[11.15 選手権滋賀県予選決勝 比叡山高 0-0(PK0-3) 水口高 皇子山陸上競技場]

 15日、第104回全国高校サッカー選手権滋賀県予選決勝が行われ、比叡山高水口高が対戦。両者譲らずPK戦までもつれた一戦は、3連続セーブを披露したGK小西琉希(2年)の活躍により水口が0-0(PK3-0)で勝利し、29年ぶり16回目の選手権出場を決めた。

 昨年は県1部リーグで優勝を果たした水口だったが、インターハイ予選は初戦敗退。選手権予選も2回戦で姿を消した。「トーナメントで勝ち切りたい」(夘田雄基監督)と挑んだ今年も新人戦、インターハイ予選ともに準決勝で敗退。「いざという時に殻にこもってしまう」(夘田監督)メンタルの弱さが課題だったが、この日水口の選手たちが見せたプレーはとても勇敢だった。

 試合の入りは少し硬さが見られた。「同じ土俵に乗ってしまうとリズムが作れない」(夘田監督)と意識しながらも、比叡山の強みであるロングボールに合わせる場面が見られたが、時間の経過とともにMF堤陸人(3年)らを中心にボールを動かす場面が増えていく。「比叡山は間延びしていたので、そこを生かしながら繋げる場面では繋いで崩していこうとなっていた」と話すのは主将のMF梅田旬(3年)だ。

 前半18分にはFW池口遼(3年)の仕掛けから相手エリアでFKを獲得。このチャンスは比叡山の守備陣に阻まれ、CKとなったが、ショートコーナーから堤がゴール前にクロスを上げて、DF林玖久蒼(3年)がヘディングシュートを放った。

 夘田監督から試合の鍵になると伝えられていたクサビのパスも通り始め、21分には堤のパスを受けた池口が前進からシュートを放った。32分には左サイドを抜け出したMF岡浩平(3年)の低いクロスを梅田が合わせに行ったが、比叡山DFがブロック。こぼれ球を狙ったDF岡田煌志(3年)のシュートも懸命に戻ったMF嶋谷亜月(2年)のカバーリングに阻まれた。

 以降も水口が見せ場を作ったが、DF西田樹(3年)を中心にゴール前で人数をかけた守りを見せる比叡山を崩せない。後半3分には池口が強引な突破からシュートまで持ち込むなど水口が決定機を作りながらも、1点が奪えず0-0のまま前後半を終えた。

 延長戦でも決着が付かず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになったが、ここでヒーローになったのはGK小西琉希(2年)だった。比叡山1本目のキックを右に跳んでストップすると勢いのまま2本目、3本目も阻止。対する水口は3本目までのキッカー全員が成功し、0-0(PK3-0)で勝利となった。

 29年ぶりの選手権出場が持つ意味は大きい。水口のある甲賀市は古くからのサッカーどころで水口の選手権出場回数は健在最多。近年でも甲賀市からは、京都サンガF.C.のMF奥川雅也やMF山田楓喜といった選手が巣立っている。

 また、4種には近年コンスタントに全国大会出場を果たすA.Z.R(アッズーロ)、3種年代にはクレアーレ甲賀FCやラドソン滋賀といった足元の技術を大事にするチームがある。そうした地元で育った選手の良さを生かすため、夘田監督は縦に速いスタイルから足元重視のスタイルに転換。これまでは滋賀の他地域の高校や県外の高校に進む選手も多かったが、少しずつ水口を選択する選手が増えていったという。

 特に今年の3年生は実力者が多く、下級生から試合経験を積んできた選手も少なくない。水口だけでなく、4種年代から地域でコツコツと積み上げてきた結果が29年ぶりの選手権出場に繋がった。私学の時代と言われる今の高校サッカーで、選手の半分以上を地元の選手で占めるチームの選手権出場は快挙といっても過言ではないだろう。

「最近は私学が台頭してきて公立が勝てない時代の中で、地元の子らを中心に勝てたのは大きい。水口だけでなく、他の学校にとっても物凄くプラスだと思います」。試合後、そう口にしたのは夘田監督で、古豪・復活がもたらす価値や与える勇気は県内だけに留まらないはずだ。

(取材・文 森田将義)

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森田将義
Text by 森田将義

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