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[MOM5373]鹿島学園DF内野竜太郎(3年)_絶体絶命の窮地で発動した「考察力と察知力」。努力の左SBがチームを救うスーパークリアで「2点分の働き」!

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スーパークリアでチームの窮地を救った鹿島学園高DF内野竜太郎(3年=ジェファFC出身)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 金沢学院大附高 0-1 鹿島学園高 駒沢]

 その瞬間。背番号13にはもしかしたらという予感があったという。信じられないような状況で迎えた絶体絶命の大ピンチに、考える間もなく身体が勝手に動き出していた。必死で掻き出したボールがゴールを外れると、チームメイトが次々と駆け寄ってくる。

「あそこで決められていたらPK戦になっていたかもしれないですし、コーチ陣からは『2点分の働きだ』と言われました。あそこで自分がカバーできて、クリアできて本当に良かったですし、みんなからも感謝されたので嬉しいです」。

 鹿島学園高(茨城)の左サイドバックを託された、背番号13の堅実系仕事人。DF内野竜太郎(3年=ジェファFC U-15出身)が最終盤に繰り出したスーパークリアが、チームに2回戦突破という大きな成果をもたらした。


 金沢学院大附高(石川)と対峙した2回戦。「チームがここ10年以上2回戦を突破できない状況ということは聞いていました」と内野も話したように、87回大会を最後に“全国2勝”になかなか届かない時期が続いていた中で、鹿島学園は必勝を期して試合に入る。

 前半だけで10本のシュートを放つなど、何度もチャンスを作り出しながら、ゴールだけが生まれない時間が続いていたものの、後半14分にはMF清水朔玖(3年)が自ら獲得したPKを沈め、鹿島学園が先制。以降は攻守のバランスを取りつつ、少しずつ時計の針を進めていく。

 そのシーンがやってきたのは34分だった。相手のクロスをキャッチした鹿島学園のGKプムラピースリブンヤコ(2年)が、ボールをピッチに置いてフィードするポイントを探していると、その背後から迫った金沢学院大附のFW家邉凌太朗が抜け目なくかっさらい、慌てたプムラピーをかわしながら、無人のゴールへシュートを放つ。

「実は今日の試合前のミーティングで、ちょっとプムがやらかしたところがあって、『もしかしたら精神的に来ているかな』と、『どこかで気が抜けるかもしれないな』と思っていましたし、ああいう緊迫した場面ではちょっと集中力が切れたりするので、自分はあそこを狙っていて、予測して動いていました」。

 鹿島学園の中で誰よりも早く“異変”を察知した内野は、全速力で後方へ駆け戻ると、ゴールへと向かってくるシュートに身体を投げ出し、何とか残した左足でボールを枠外へと間一髪で蹴り出してみせる。

「もう何が何でもゴールだけに入れさせないように動けて、クリアできたので良かったです」という内野だったが、試合終盤ということもあり、クリアした瞬間に右足が攣ってしまう。

「嬉しかったのもあったんですけど、足が攣ってしまったので、もうどっちかというと『うわ、これはチームに迷惑を掛けるな……』と。しかもコーナーキックになってしまったので、そういう想いが強かったですね」。

 それでもチームの窮地を救った背番号13には、チームメイトも指揮官も感謝の色を隠さない。「自分も『終わった……』と思ったんですけど、あそこでブロックしてくれたのはメチャメチャ大きかったです」(中川光星)「ゴールの枠に入っていたと思うので、本当に気持ちのこもったプレーでしたね。あそこを予測してくれていたことが素晴らしくて、単純にいたというよりも、『あ、危ない』と思って予測していたことが、あのクリアに繋がったかなと思っています」(鈴木雅人監督)

 いったんはピッチに戻ったものの、38分にはMF松田大志郎(3年)に後を託して、ピッチを後にする。試合はそのまま1-0でタイムアップ。「監督やスタッフには交代した時に『オマエのおかげだ!ありがとう!』と言われました」と笑顔を見せた内野の、まさに“2点分の働き”が、鹿島学園を次のラウンドに力強く導いた。



 今季は順調にシーズンを送ってきたわけではない。開幕から右サイドバックの定位置を掴んでいたが、5月に行われたプリンスリーグ関東1部の横浜F・マリノス戦で負けに繋がるミスを犯したことで、翌節からスタメンを外れることに。さらにケガも重なったことで、苦しい時間を強いられる。

 だが、いつまでも下を向いていても仕方ない。「アントラーズクリニックというリハビリの機関に通っていたんですけど、そこでリハビリを担当してくれる人と話しながら、ケガしやすくなっていた足首の補強運動をひたすらずっと続けましたし、自分は技術面が足りないので、技術の練習もひたすら続けていました」。

 さらに刺激になったのは、中学時代はジェファFC U-15でともにプレーし、今は高校のクラスメイトだという鹿島アントラーズユースのGK菊田修斗が、夏のクラブユース選手権準決勝のPK戦で活躍を披露し、決勝にも勝って日本一に輝いたことだった。

「ジェファ時代から高め合っているライバルですし、同じクラスでもあるので、良い影響を与え合っていると思っています。クラ選の試合はライブ映像で見ていて、すぐにLINEを送って、『オマエ、凄いよ』という連絡を取りました」。

 チャンスが巡ってきたのは9月末のプリンスリーグ・大宮アルディージャU18戦。ボランチのMF西川大翔(3年)の負傷を受け、左サイドバックを務めていた清水がスライドしたことで、内野にそのポジションの白羽の矢が立つ。

「その週は自分の調子が良くて、『1回オマエを使ってみるぞ』と言われて、そこから自分のやるべきことはこなせているので、外されずに自分が左サイドバックの位置を守っているという感じです」。その一戦を経てから、左サイドバックのレギュラーを奪取し、真摯に新たな役割と向き合ってきた。

「ケガもあったんですけど、実力的に足りない分もあって、試合に出られない悔しい時期が続いたんですけど、またこうやってスタメンに戻ってこれて、今日も活躍できたので、そこは嬉しく思っています」という内野にとっても、この選手権は高校最後の晴れ舞台。ここから先のシビアな戦いにも、もう全力を出し尽くすだけだ。

「もう3年生で、これがラストの大会ですし、これだけの人が入っている中で試合をする機会も多くないので、怖がらずに自分にできる最大限のプレーを出して、日本一に向かって、1つずつ勝っていければと思います」。

 常に張り巡らせている神経は、チームの危機を誰よりも敏感に感じ取り、窮地を鮮やかに救ってみせた。自分に課せられた役割を、過不足なくこなせる鹿島学園の職人系サイドバック。これからも内野竜太郎は地道に、丁寧に、自分のやるべきことを100パーセントで遂行し続ける。



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(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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