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PK練習で3本ストップ。アメリカから台頭の守護神、GK村松秀司(ロサンゼルスFC)がU-17日本代表をU-17W杯とアジア制覇へ導く

U-17日本代表GK村松秀司(ロサンゼルスFC/アメリカ)はPK練習で3本をストップ

 アメリカから台頭してきた守護神が、U-17日本代表をU-17ワールドカップへ導く。日本とアメリカにルーツを持つGK村松秀司(ロサンゼルスFC/アメリカ)は187cm、85kgという恵まれた身体からダイナミックなセービングを繰り出す注目株。昨年12月のU-16日本代表スペイン遠征で初招集されたばかりだが、チームからの評価は非常に高く、すでに中心選手の一人になっているプレーヤーだ。

 U17アジアカップ予選後の初招集だったため、代表チームでの公式戦は今回が初めて。だが、「ほんとに嬉しいです。お母さんが日本からなんで、(自分のプレーを)世界に見せることを楽しみにしています」と意気込んでいる。

 前日にアメリカから来日したばかりだったが、6対6プラスフリーマンのトレーニングでは鋭いシュートストップ。練習の最後に2チームに分かれて開催されたPK戦では、相手の3人目と5人目のシュートを止めてチームを勝利へ導いた。

 その後も継続して実施されたPK戦では、6人目のシュートも足でストップ。シュートストップやスローイングなどに自信を持つ守護神は、「(U17アジアカップではチームに)ミステイクとかあるのは100パーセントなんで、それをカバーして、チームのためにゴールが入らないようにちゃんとセーブしたり、カウンターでも自分のパスも頑張りたいと思います」と力を込めた。

 アメリカ人の父と日本人の母を持つ村松は、アメリカンフットボールからスポーツのキャリアをスタート。そこから、同じく手を使うGKに魅力を感じてはじめ、「9歳からずっとキーパーをやっています」。コロナ禍前にメジャーリーグサッカーの新興勢力・ロサンゼルスFCからスカウトされて入団。昨夏にはロサンゼルスFCと提携しているというバイエルン(ドイツ)への2週間の練習参加も経験した。

 活躍の情報は日本にも伝わった。昨年12月、「ずっとハイライトのビデオを2、3年ぐらい代表まで送っていて、やっと選ばれることができてほんとに嬉しかったです」という村松は念願の年代別日本代表入り。U-17日本代表の山岸範宏GKコーチは、「課題もありますが、まず守備力が高いです」と実力を認める。今年2月のU-17日本代表パラグアイ遠征でも、村松は山岸GKコーチが高評価するプレーでU-18セロ・ポルテーニョ戦や南米王者・U-17パラグアイ代表戦勝利に貢献した。

 ロサンゼルスFCではすでにアカデミーを飛び越えてセカンドチームでプレーしているという。そのロサンゼルスFCは、フランス代表主将として2018年ワールドカップ優勝を経験している名手、GKウーゴ・ロリスが所属しているチーム。「ジムにいる時、ロリスさんがフィールドにいて、本当に凄いです。僕みたいなサイズだけど、本当に跳ぶのが凄いし、ディストリビューション(攻撃時のキックやスロー)が1つのパスもミスしないっていうところが本当に上手いと思います。コピーしたい選手です」。現在は目標に一步でも近づけるように努力を重ねている。

 自身と同じく日本と海外にルーツを持つ日本代表の守護神GK鈴木彩艶(パルマ)も、「コピーしたいです」というGK。この日、同施設の隣のグラウンドで日本代表がトレーニングしていたこともあり、練習後にはU-17日本代表のGKチームを組むGK松浦大翔(新潟U-18)、GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(鳥栖U-18)とともにA代表のGKチームに挨拶。まずはA代表のように、U-17ワールドカップへの出場権を獲得すること、そしてアジア3連覇することが目標だ。

 松浦、エジケと競い合ってレベルアップし、日本時間4月5日初戦のアジアの戦いへ。「最初はワールドカップにクオリファイ(出場切符獲得)したいです。それから、アジアカップで(決勝も)勝ちたいです」という村松が、非常に強い日本代表としてのプライドとともに戦い、アジアの強敵を封じ込む。


(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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