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U-20フランス戦で2発…ベルギーで戦うU-20日本代表FW後藤啓介(アンデルレヒト)の変化「刺激がたくさん転がっているのが欧州」

FW後藤啓介

[3.24 国際親善試合 U-20日本 1-1(PK3-2) U-20アメリカ]

 先日まで開催されたAFC U20アジアカップでベスト4に進出し、9月開幕のU-20ワールドカップ出場権を獲得したU-20日本代表は、16日からチーム強化を図るためにスペイン遠征を実施。U-20フランス代表(3◯1)、U-20アメリカ代表(1-1PK3◯2)を相手に連勝を飾り、遠征を締め括った。

 初戦となったフランス戦で2ゴールを決めるなど、攻撃陣で存在感を際立たせていたのはFW後藤啓介だ。昨年1月にアンデルレヒトへ期限付き移籍し、欧州で着実に成長を遂げてきたストライカーは、「海外に移籍した理由としても、こういうところに帰ってきた時に圧倒できるように、ゴールを決めて日本を勝たせられるようにと思っていた」と言い切る中で、しっかりと自身の力を結果で証明した。

 欧州に渡って1年が過ぎた。「今シーズンは契約を勝ち取る、完全移籍を勝ち取ることを第一優先にやってきた」後藤は、「最初はスピード感やシンプルにコンタクトのところも足りない感じだった」と言う。それでも、日々の鍛錬の成果もあり「筋肉のつき方や体感スピードの変化があった」ことで周囲の評価が上昇。12月には期限付き移籍から完全移籍移行を勝ち取ることになった。

 2025年に入ると、トップチームでの出場機会が少しずつ増加。まだまだスタメン出場は2試合だけだが、リーグ戦やヨーロッパリーグの舞台で得点を奪うなど確実に評価を高めつつある。

 今回のトレーニングや試合を見ても、他の選手とは異なる振る舞いをする場面が目立った。例えば、対峙したDFに対してオフ・ザ・ボールのところで手を使って牽制したり、先に体をぶつけて距離感を作ったりと、トレーニングのところから欧州で学んできたことを意識して実践する姿がうかがえた。

「そういうところの変化はすごく感じています。先に体を当てることや相手のスペースに入る、入れさせないという手の使い方、クロスが上がってくる前だったり、受ける前の部分でのコンタクトはすごく上手くなってきていると思います」

 また、アメリカ戦では前線からのプレスがハマらないと見るや、後方の選手たちに守備の仕方を要求。上手くいかない状況をいち早く把握し、周りの選手たちに修正を求めようと促すコミュニケーションの質にも確かな違いを感じさせた。

「サイドは正直、出されてもロングボールなので、その間にスライドができる。だから、もっと両サイドバックが締めて、CBが(保田)堅心とセキ(大関友翔)の後ろに落ちてくるFWなどにもっと強くいければ、オレと龍(佐藤龍之介)があんなに締めなくても前からプレスをかけられた。もっと後ろからの声掛けなどを早くしてくれれば、自分たちからアクションを起こす守備ができたと思います」

 一方で、自身の課題も見つかった。日本はフランス戦やアメリカ戦で相手のインテンシティの高さに苦しめられることになったのだが、ベルギーリーグの方が「もっと強度がある」と言い切った上で、後藤は「今日みたいな相手に何もできなかったというのは、チームとしても個人としても課題だし、もっと個の能力というのを攻撃でも守備でも全員が身につけないといけない」と主張。さらなるレベルアップの必要性を見据えている。

 合宿を終えてすぐにベルギーでの日常に戻り、ここからシーズン終盤を過ごすことになる。

「欧州に来て自分より若い選手たちを見ているし、トップチームに出ている選手もいる。そういう刺激がたくさん転がっているのが欧州だと思う。(残りのシーズン)トップチームにいけたらそれがベストだし、いけなくてもしっかりセカンドで結果を残し続けることが大事。そして、来シーズンはキャンプからちゃんとトップに帯同して結果を残せるようにしたい」

 充実感を得ながらも現状に満足する様子はない。スペインの地で新たな刺激を受けた後藤は、再び自身の成長にフォーカスしていく。

(取材・文 林遼平)

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