4度のW杯を経験した“空気清浄機”、その真価を振り返る…後藤啓介、堂安律、森保監督も求めた“長友基準”
DF
DF長友佑都(FC東京)が、日本代表の“基準”を引き上げる。39歳で自身5度目となるワールドカップメンバー入り。ピッチ内外での存在感が改めて注目されるなか、若手選手や森保一監督が口をそろえて語るのが、“長友基準”とも言える日々の練習強度だ。
長友は17日の北中米W杯メンバー選出会見で、自身の役割について「一番大事なことは、チーム一丸となること、一体感」と強調。「4大会の経験は必ず生きてくる」と語り、「空気清浄機のように、空気がよどんでいるなと思ったら、綺麗な空気に浄化できる」と独特の表現で存在価値を口にした。
ただ、その“空気清浄機”としての力は、単なる声掛けや精神論ではない。周囲が強く影響を受けているのは、日々のトレーニングから一切妥協しない姿勢だ。練習から試合さながらの強度でぶつかり、基準を上げ続ける。その積み重ねが、W杯という極限環境で戦う集団を形作っている。
そして、その影響力を特別なものにしているのは、長友が“指導者”ではなく、同じピッチでポジション争いを繰り広げる最年長の現役選手だという点にある。コーチとして外側から求めるのではない。自らも試合出場を目指し、限界まで体を追い込みながら先頭に立つ。だからこそ、その練習強度や準備への姿勢は若手の胸に突き刺さる。ともにW杯を戦い、同じ競争の中に身を置く存在だからこそ、“長友基準”には圧倒的な説得力が宿る。
長友はブラジルW杯での失敗経験にも触れ、「一戦目で負けてからチームは落ち込んで、士気もなくなった」と回想。「でもあのときに今の経験を持った自分がいたら、チームを前に向かせられた」と語った。4大会を通じて積み上げた“W杯の嗅覚”。空気の変化を察知し、チームを前向きな方向へ修正する力に自信をのぞかせた。
その影響は若手にも色濃く及んでいる。今回、最年少でメンバー入りしたFW後藤啓介(シントトロイデン)は15日のオンライン会見で「長友さんだったり、経験値のある選手を練習や準備の段階で見習いたい」と語り、「突き上げはW杯期間中も大事になる」と決意を口にした。若手にとって百戦錬磨の長友は、単なるベテランではなく、“世界基準”を体現する存在になっている。
A代表初招集のときは、どの選手も長友の“練習基準”に舌を巻いた。2025年のE-1選手権で初招集となったDF綱島悠斗(アントワープ)も、長友の存在感に大きな刺激を受けた。「サッカーに対する情熱がすごいし、練習の雰囲気を変えられる選手。初代表の選手が多いなか、すごく環境、雰囲気を作ってくれている」と当時証言していた。
「終わった後のジョグもそうだし、あれだけ長い間トップトップでやっていけるには理由がある」。細部に至るまで高い基準を示した長友の姿勢を参考に、成長を遂げた綱島もその後、海外に渡った。
その構図は以前から変わらない。19年のアジアカップではMF堂安律(フランクフルト)が長友に衝撃を受けた。
「あの人とトレーニングすることで自分の弱さに気づかせてもらって、自分も負けず嫌いなので、そういうトレーニングをして悔しくなっている部分もある」(堂安)
当時の堂安はA代表初招集の20歳。「体もそうだし、メンタル的なところもそう」と語り、「考え方とか、頭の中をすべて変えないといけない」と吐露。毎朝、自ら長友に連絡してジムへ向かったという堂安は、「僕のこれからのトレーニングがすべて変わるんじゃないかなと思うぐらいの話をさせてもらっている」と明かしていた。
カタールW杯後、長友は一度代表から遠ざかっていた。だが、24年アジア杯で優勝を逃した後、日本代表は再び長友を求めた。森保監督は代表復帰時、「彼が見せてくれる練習、オフ・ザ・ピッチでの姿勢と態度はすべての選手にとって、さらなる成長につながる」と言及した。
連戦のなかで苦しい時間帯もある世界最高峰の舞台では、重圧、焦り、不安、そうした空気が漂い続ける。だからこそ、W杯期間の大半を占める日々の練習時間で“基準”を上げ続ける存在、長友佑都が不可欠になる。
(取材・文 石川祐介)
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長友は17日の北中米W杯メンバー選出会見で、自身の役割について「一番大事なことは、チーム一丸となること、一体感」と強調。「4大会の経験は必ず生きてくる」と語り、「空気清浄機のように、空気がよどんでいるなと思ったら、綺麗な空気に浄化できる」と独特の表現で存在価値を口にした。
ただ、その“空気清浄機”としての力は、単なる声掛けや精神論ではない。周囲が強く影響を受けているのは、日々のトレーニングから一切妥協しない姿勢だ。練習から試合さながらの強度でぶつかり、基準を上げ続ける。その積み重ねが、W杯という極限環境で戦う集団を形作っている。
そして、その影響力を特別なものにしているのは、長友が“指導者”ではなく、同じピッチでポジション争いを繰り広げる最年長の現役選手だという点にある。コーチとして外側から求めるのではない。自らも試合出場を目指し、限界まで体を追い込みながら先頭に立つ。だからこそ、その練習強度や準備への姿勢は若手の胸に突き刺さる。ともにW杯を戦い、同じ競争の中に身を置く存在だからこそ、“長友基準”には圧倒的な説得力が宿る。
長友はブラジルW杯での失敗経験にも触れ、「一戦目で負けてからチームは落ち込んで、士気もなくなった」と回想。「でもあのときに今の経験を持った自分がいたら、チームを前に向かせられた」と語った。4大会を通じて積み上げた“W杯の嗅覚”。空気の変化を察知し、チームを前向きな方向へ修正する力に自信をのぞかせた。
その影響は若手にも色濃く及んでいる。今回、最年少でメンバー入りしたFW後藤啓介(シントトロイデン)は15日のオンライン会見で「長友さんだったり、経験値のある選手を練習や準備の段階で見習いたい」と語り、「突き上げはW杯期間中も大事になる」と決意を口にした。若手にとって百戦錬磨の長友は、単なるベテランではなく、“世界基準”を体現する存在になっている。
A代表初招集のときは、どの選手も長友の“練習基準”に舌を巻いた。2025年のE-1選手権で初招集となったDF綱島悠斗(アントワープ)も、長友の存在感に大きな刺激を受けた。「サッカーに対する情熱がすごいし、練習の雰囲気を変えられる選手。初代表の選手が多いなか、すごく環境、雰囲気を作ってくれている」と当時証言していた。
「終わった後のジョグもそうだし、あれだけ長い間トップトップでやっていけるには理由がある」。細部に至るまで高い基準を示した長友の姿勢を参考に、成長を遂げた綱島もその後、海外に渡った。
その構図は以前から変わらない。19年のアジアカップではMF堂安律(フランクフルト)が長友に衝撃を受けた。
「あの人とトレーニングすることで自分の弱さに気づかせてもらって、自分も負けず嫌いなので、そういうトレーニングをして悔しくなっている部分もある」(堂安)
当時の堂安はA代表初招集の20歳。「体もそうだし、メンタル的なところもそう」と語り、「考え方とか、頭の中をすべて変えないといけない」と吐露。毎朝、自ら長友に連絡してジムへ向かったという堂安は、「僕のこれからのトレーニングがすべて変わるんじゃないかなと思うぐらいの話をさせてもらっている」と明かしていた。
カタールW杯後、長友は一度代表から遠ざかっていた。だが、24年アジア杯で優勝を逃した後、日本代表は再び長友を求めた。森保監督は代表復帰時、「彼が見せてくれる練習、オフ・ザ・ピッチでの姿勢と態度はすべての選手にとって、さらなる成長につながる」と言及した。
連戦のなかで苦しい時間帯もある世界最高峰の舞台では、重圧、焦り、不安、そうした空気が漂い続ける。だからこそ、W杯期間の大半を占める日々の練習時間で“基準”を上げ続ける存在、長友佑都が不可欠になる。
(取材・文 石川祐介)
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