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PK戦は「“次も”決めたい」海外とJで研鑽積んだストライカー、道脇豊(いわき)が挑むアジア大会

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FW道脇豊

 自国開催のアジア競技大会で、新たなインパクトを残す。トレーニング初日を終えたU-21日本代表FW道脇豊(いわき)は「非常に楽しみ。たくさんの方が見てくれる大会だと思う」と胸を躍らせ、「このU-21日本代表のサッカーの強いところを、たくさんの方に見ていただけたら」と意気込んだ。

 熊本県出身の道脇は、ロアッソ熊本のアカデミーで育ち、2022年に高校1年生でトップチームデビュー。翌23年にプロ契約を結んだ。同年にはU-17日本代表としてAFC U17アジアカップに出場し、4得点を挙げて大会連覇に貢献。U-17ワールドカップでも全4試合に出場し、世界の舞台を経験した。

 その後、24年夏からベルギー2部のベフェレンへ期限付き移籍し、約2シーズンにわたって欧州でプレー。帰国後は熊本を経て今季からアビスパ福岡に加入し、6月には育成型期限付き移籍でいわきFCへ。世代別代表と国内外のクラブで経験を重ねながら、成長を追い求めてきた。

 10代にしてプロデビューと海外挑戦という大きな経験をしてきた一方、その歩みは順風満帆ではなかった。思うように出場機会や結果を得られない時期を乗り越え、現在はいわきでピッチに立っている。「苦しい状況やシーズンももちろんたくさんあった」と振り返る道脇は、「そういう悔しかったときの自分のハングリーさは今も忘れずに、これからもがむしゃらにやっていきたい」と力を込める。苦境を知るからこその貪欲さは、自身の持ち味であるダイナミックな動きにもつながっているという。

 ベルギーでは、ピッチ内外で自立を求められた。体格や強度に優れた選手たちと対峙し、「ヨーロッパのサッカーは個に強いところがある」と実感。一人での海外生活では、言葉や文化の違いにも直面した。それでも、「何とかする力であったり、言語もあまり通じず難しい状況の中で、自分のプレーをするためにどう動いていくか、どうやって伝えるか」と試行錯誤を重ね、「そういった努力は磨かれた」と成長を口にした。

 簡単ではなかった2シーズンが、欧州への思いを弱めることはなかった。むしろ、再挑戦への意欲は強くなった。「またいつかはヨーロッパに戻りたいと強く思った」と明かし、「将来ヨーロッパで活躍してA代表に入ることが目標」と、その先に日の丸の最高峰を見据える。

 再び欧州へ向かうためにも、いまはJリーグで力を蓄える。いわきが掲げるのは「魂の息吹くフットボール」。相手以上に走り、球際で戦い、簡単には倒れない姿勢を追求する環境は、190cmの大型FWが自身の長所を伸ばすうえでも格好の場所となる。高い強度や運動量が求められる日々にも面食らうことはなく、「成長できるところに本当に身を置きたいと思っていた。そういった覚悟を持っての移籍だった。本当に充実したトレーニングを毎日送れている」と充実感を示した。

 加入から約3か月と期間はまだ短いが、さらなる身体面の成長を見据えている。ただし、本人に満足感はない。フィジカルについて「もちろん、まだまだ」と強調し、「ここからもっともっと強化していきたい。それが本当に自分の成長に大きくつながる」とさらなる向上を誓う。代表でもクラブで積み上げているものを変えるつもりはなく、「いわきFCからの代表として参加しているので、チームコンセプトもぶらさずに、この代表でもやっていけたら」と語った。

 自身の持ち味を得点につなげるためには、周囲との連係も欠かせない。道脇は、動き出しをよく見てくれる選手としてMF中島洋太朗やMF大関友翔の名前を挙げ、「そういった選手との連係から得点を奪えたら」と期待する。クラブと代表では戦い方が異なるが、自らが意識することは変わらない。「どこでも自分は、パサーに対して『ボールを出せそう』『出しやすそう』と思ってもらえるような動きをするだけ」と、FWとして味方からボールを引き出す準備を続ける。

 今年1月のU23アジア杯では大きなインパクトを残した。準々決勝ヨルダン戦、1-1で突入したPK戦で日本の2人目キッカーを担当。シュートは一度相手GKに止められたが、大きく跳ね上がったボールがドライブ回転とともにゴール方向へ戻り、セーブに喜んだGKが気づかないままネットに吸い込まれた。この成功は日本側に大きな勢いを生み、PK戦は4-2で勝利。道脇のPKはSNSでも大きな反響を呼んだ。

 今大会も決勝トーナメントに進めば、再びPK戦を迎える可能性がある。道脇は前回を踏まえ、「しっかり“次は”決め……“次も”決めたいです(笑)。危なかったところもあったので、練習していきたい」と再びキッカーを務める覚悟を示す。一方、あまりに印象的な成功だったため、移籍先でも話題はついて回った。「アビスパに加入するときも、いわきに来るときも『PKの人だ』と言われた」と苦笑い。それだけに、「新たな印象をつけるために、たくさん点を取って、この大会を頑張りたい」と誓った。

(取材・文 石川祐介)

●第20回アジア大会特集
石川祐介
Text by 石川祐介

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