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大岩J合流のンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄「まず結果を」191cmFWがデンマークで得たものは

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FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄

 異例ともいえる決断の先で、着実に結果を積み重ねている。U-21日本代表FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(オールボー)は22日、アジア競技大会のグループリーグ最終節・タイ戦に向けたトレーニングに合流した。今年6月、桐蔭横浜大サッカー部を3年生で退部し、Jリーグを経由せずにデンマークへ。今年1月のU23アジア杯では消化不良に終わった1トップが、新天地で得た成長と自信を大岩ジャパンに持ち帰ってきた。

 2005年7月7日生まれの21歳。ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、一之江キッカーズ、FC東京U-15深川、修徳高を経て桐蔭横浜大へ進んだ。中学時代の一学年下には、今回の代表で再びチームメイトとなったMF永野修都(FC東京)がいる。

 なお、特徴的な名前の「ンワディケ」は名字で、発音は「ワディケ」。「ウチェ・ブライアン世雄」が名前にあたり、ウチェはナイジェリアの名前、ブライアンは世界共通で使える名前、世雄(セオ)は日本名だという。チームメイトからは「ブライアン」と呼ばれている。名前が「ン」で始まる選手は、関東大学リーグでは17年まで日本体育大でプレーしたDFンドカ・ボニフェイス(千葉)以来だった。

 世代別代表では、大岩剛監督体制の発足メンバーとして25年7月のウズベキスタン遠征で初めて日の丸を背負った。同年9月のAFC U23アジアカップ予選、12月のIBARAKI Next Generation Cupに参加。今年1月のAFC U23アジアカップでは、規定より2歳下のチームの一員として優勝を経験した。一方、個人としてはグループリーグ第2戦・UAE戦で決めたPKによる1得点のみ。1トップとして相手を背負う場面でも課題を残した。その後も3月の韓国遠征、6月の欧州遠征と継続して招集され、大岩監督のチームで経験を重ねてきた。

 今年6月、大学3年の途中でチームを離れ、選んだのはデンマーク2部のオールボーだった。Jクラブの練習にも参加し、ほかにも複数の選択肢があったという。それでも、最も強く必要としてくれたクラブへの移籍を決断した。

「もともと海外でプレーしたいという思いがあった。オールボーが長い目で将来性を見て、期待してくれた。『世界的なトップストライカーにできる自信がある』と言われたのもある。ほかの選択肢もあったけど、オールボーが一番熱かった」

 Jリーグを経験せず、前例の少ないルートで海を渡ることに大きな不安はなかった。高校3年時にも欧州クラブの練習に参加した経験があり、デンマークが若手育成に定評のある国だということも決断を後押しした。何より、大学や世代別代表で経験を重ねたことで、高校時代とは「メンタル的な自信」が大きく変わっていた。

 新天地では早々に定位置を確保し、カップ戦では3得点を記録。今月20日のリーグ戦では、味方のクロスを相手GKが触ったこぼれ球を押し込み、待望のリーグ戦初得点も挙げた。「カップ戦では決めていたけど、リーグ戦ではなかったので、ようやくだった」。公式戦通算4得点とし、結果を携えて日本へ戻ってきた。

 新天地で得点を重ねた理由として、味方とのコミュニケーションが活発だったことを挙げる。小学生時代にインターナショナルスクールへ通っていたため、英語にも不自由はない。「味方の選手と試合中にコミュニケーションを多く取れている試合は、点を決められる印象がある」。言葉の壁に阻まれることなく、周囲との連係を深めている。

 オールボーでも、大岩ジャパンと同じ4-3-3の1トップを主戦場とする。ただし、現地で要求されるプレーには違いもある。「日本で求められるうまいプレーというより、コンタクトのプレーやゴールに直結するプレー」。前線からのプレスやプレスバックも、想像以上に求められているという。

 190cmを超える屈強なセンターバックも珍しくない。当初は経験豊富な相手との駆け引きで後手に回ることも多かったが、「それにも少し慣れてきて、最近は落ち着いてできている」。屈強な相手にも競り負けない手応えを得ている。

「自分の特徴であるフィジカル、身体の部分、スピードは、外国の選手よりも勝っている自信がある。そういうところを出していけたら」

 渡欧から数か月。最も成長を感じているのが、ゴール前での動き直し、身体の当て方、ポストプレーにおける腕の使い方だ。今年1月のU23アジア杯では、優勝こそ経験したものの、自身の得点はPKによる1点のみ。1トップとしてボールを収めようとするあまり、力みや焦りも出ていたという。

「無理やりボールを収めたり、意地になってポストプレーをしたりして、あまり落ち着いてプレーできなかった。いまはフィジカルの部分でも相手より強いという自信がある。どこにボールを置けば確実に収まるのか、自分の中でも掴めてきている」

 当時は力任せになっていたポストプレーに、駆け引きと落ち着きが加わった。さらに、オールボーではカップ戦3得点、リーグ戦1得点と、PK以外の形でもゴールを積み重ねている。屈強なセンターバックとの日常的な対戦を通じて、身体の強さを「生かす」段階から、相手との関係やボールの置き所まで考えて「使いこなす」段階へと進みつつある。

 海外生活では一人暮らしにも挑戦中。食事はクラブで取るか、自分で作っているという。ただ、料理のレパートリーを尋ねられると「いつも同じ。パスタっす」と笑う。ピッチ外では試行錯誤を続けながらも、英語を操り、異国での生活に適応している。

 海外組として寄せられる期待も感じているが、「考えすぎるとプレッシャーになる。自分が一番、気持ちよく楽しくサッカーができれば」と自然体。異例の決断を正解にするためにも、今大会で求めるのは目に見える結果だ。

「自分の将来を見据えて、こういうところで確実に活躍していかないといけない。まず結果を見せることと、手応えを持ってプレーしたい」

 U23アジア杯ではPKによる1得点にとどまった大型ストライカー。大学サッカーからデンマークへ直接渡り、公式戦4得点を経て、再び大岩ジャパンに合流した。欧州で身につけた1トップとしての落ち着きと強さを、次は日の丸を背負うピッチで証明する。

(取材・文 石川祐介)

●第20回アジア大会特集
石川祐介
Text by 石川祐介

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