beacon

市原吏音が口にした“学び”、負傷者を助けた大関友翔の心情…大岩Jの目に映ったそれぞれの“北朝鮮”

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

大岩ジャパンと戦った北朝鮮

[9.26 アジア大会準々決勝 日本 1-0 北朝鮮 豊田ス]

 北朝鮮との対戦を前に、U-21日本代表にはピッチ上で何が起きても自分たちのプレーに集中するよう、チーム内で確認があった。前回大会での試合では、相手選手の振る舞いが問題となった。その相手と再び向き合った今大会の準々決勝。日本の選手たちが試合後に語ったのは、激しいプレーや抗議への戸惑いだけではなかった。

 北朝鮮は強いプレッシングと球際の争いで日本を押し込んだ。FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄のゴール後にはファウルを訴え、選手たちが一時ベンチ付近まで戻り、プレー再開まで時間を要する場面もあった。試合終了後は挨拶に応じなかった。鼻の頭に傷が残ったFW横山夢樹(C大阪)は「本当にファウルで危ないシーンがすごくあったけど、本当に怪我人が出なくてよかった」と話す。危険を感じるプレーがあったことも、この試合の一面だ。

 一方、DF市原吏音(AZ)がピッチ上で強く感じたのは、北朝鮮の選手たちがひとつの勝負に懸ける気持ちの強さだった。「どういう相手かというのはわかっていたつもりだった。だけど、自分たちの想定以上のメンタリティというか、懸けているものがたぶんあったんだろうなと」。球際の強さに受け身となり、試合を難しくした。その事実を認めたうえで、市原はこう続けた。

「ちょっと危ないシーンもあったけど、それが彼らの気持ちのような感じがした。そこはやっぱり自分らも相手をリスペクトしなきゃいけなかったと思う」

 市原は「彼らのようにやるというのがいいかどうかはわかんないですけど」とも言う。当然、危険なプレーを手本にするという意味ではない。それでも、「この試合に懸けるという、そういう気持ちは自分らも学ばなきゃいけなかった」。大岩剛監督も、今大会で初めて強いプレッシングを受けた日本が「受けに回ってしまった」と振り返り、相手のタフさに対応できなかったことを次戦への課題に挙げた。

 その北朝鮮の選手を、対戦相手である前に、目の前で負傷した一人の選手として見た場面もあった。前半序盤、接触プレーで顔面から出血した選手のそばにいたMF大関友翔(川崎F)は、怪我した選手の頭を支えて横にさせ、誰よりも早く北朝鮮のメディカルスタッフを呼んだ。大関には、その選手が少しパニックになっているように見えたという。

MF大関友翔(川崎F)が負傷者を助けに入った

「そのままやったら危ないなと思った。北朝鮮の選手も、宥めているというか、介抱していたけど、しっかりとメディカルを呼ぶのは、相手チームでも関係なくやるべきだなと思ったのでやりました」

 こちらの動きによっては騒動が大きくなる可能性もゼロではない。相手が北朝鮮だったことは気にならなかったのか。大関の答えは短かった。「まあ……そんなに。人なので」。さらに「日本の選手でも、北朝鮮の選手でも、どこの国の選手でもああいうのはやるべきだなと思った」と説明した。

 大関もまた、北朝鮮の選手の圧やプレーに懸ける気持ちには、他の相手との違いを感じていた。それでも「一チームとして戦いました」と話し、外野の声よりも「自分たちにフォーカスして、他の相手と変わらず、しっかりと勝つ」ことを意識したという。横山が語る危険なプレーもあった。その相手から市原は勝利への執念を感じ取り、大関は負傷した選手に手を貸した。日本はそれぞれの場面で北朝鮮の選手と向き合い、1-0で戦い切った。

(取材・文 石川祐介)

●第20回アジア大会特集
石川祐介
Text by 石川祐介

「ゲキサカ」ショート動画

TOP