24歳MF平川怜が東京V初先発、マンマークに即興オフサイドトラップで無失点貢献! 次節は“因縁”東京ダービー「熱い試合になることは間違いない」

東京ヴェルディのMF
[3.29 J1第7節 柏 0-0 東京V 三協F柏]
上々の今季初先発だった。東京ヴェルディに今季加入したMF平川怜はリーグ戦中断明けのJ1第7節・柏戦で先発フル出場。守備で重要なタスクを担いながら無失点に貢献し、「90分間戦えて、最低限だけどゼロに抑えることができたのは自分にとって自信になる。次につながるような試合ができた」と手応えを語った。
24歳の平川は今季、昨季J1リーグ戦26試合に出場した磐田から東京Vに加入し、開幕当初から途中出場で出番を重ねてきた。転機となったのは中断前の前節・名古屋戦。MF森田晃樹の負傷交代受け、前半34分からのスクランブル出場を託されると、20日のルヴァン杯1回戦・長野戦でも先発から後半終了間際までプレーし、この日、待望のJ1リーグ戦初先発を掴んだ。
若手選手が並ぶ東京Vで厳しい競争を繰り広げる中、ついに巡ってきたチャンス。「求められている基準の厳しさは感じていたし、そこができないなら試合に出られないラインがあるので、そこをクリアするためにトレーニングから意識してきた。そこは今までボランチをしていてあまり追求してきていなかった感覚だったので、そこが成長につながっていると思う」(平川)。日頃からの積み重ねを発揮すべく、敵地のピッチに立った。
この日の相手はリカルド・ロドリゲス新監督のもと、ボールポゼッションに重点を置いた攻撃を繰り広げる柏。平川は立ち上がりから守備の大きなタスクを任されており、中盤の底で組み立てを担うMF熊坂光希にマンツーマン気味のプレッシャーをかける場面が目立った。
ゲームプランの成否を左右する重要な役割であり、球際の強さを武器とする平川にはうってつけの仕事。「チームのやり方に助けられている部分もあるし、迷わずに行けていたのが一番の要因。はっきりしている、行ったら戻る、かわされたら戻るというのが自分に合っていると思う」。その言葉どおりの振る舞いで中央からのビルドアップを制限し、柏の持ち味を出させなかった。
さらにより守備ブロックを固める場面が目立った後半には守備の個人戦術でも見せ場を作った。後半31分、チームが不用意な横パスのミスからカウンターを許し、FW小屋松知哉に抜け出されるピンチを招いたものの、最終ラインでカバーリングに回った平川が絶妙なオフサイドトラップを敢行。その結果、小屋松のシュートはネットを揺らしたが、オフサイドの判定で命拾いとなった。
このシーンについて平川は「本来は(小屋松に)ついていかないといけないシーンで、自分の判断で一か八かみたいな感じになったのでいいプレーだとは思えない」と厳しく受け止めていた。本来であれば、小屋松の突破に備えてよりよいポジションを取り、そもそも背後に抜け出されないことを目指すべきだったという考え方からだ。
もっとも理想的な対応ができなかったにしろ、一瞬の判断で失点を阻んだのも紛れもない事実。平川は「失点していたらめちゃくちゃ怒られていたと思うし、いいプレーとは言えない」と何度も強調したが、「しっかりついて行ってというのをしたかったけど、間に合いそうもなかったり、相手のスピードを考えた時に駆け引きしようということになった」という即興的な判断力が光ったワンシーンだった。
そうして0-0のドローに持ち込み、敵地で掴んだ勝ち点1。試合後、平川は「90分間戦えて、最低限だけどゼロに抑えることができたのは自分にとって自信になるし、次につながるような試合ができた」と一定の手応えを口にした。それでも「試合ごとにどんどんよくなってくると思うし、守備の基準を常に超えながら攻撃やボールワークで違いを見せていきたい」と高い基準を見据えることも忘れなかった。
次の試合はそうした“プラスアルファ”を発揮する格好の舞台となりそうだ。4月2日の次節はFC東京との東京ダービー。チームとして互いにライバル意識を燃やす関係性にあるというだけでなく、平川にとってFC東京は中学時代からプロ入り後の2022年まで約10年間にわたって在籍していた因縁の古巣クラブだ。
この日の試合後、報道陣から東京ダービーへの意気込みを問われた平川は「この勝ち点1を次の試合につなげたい思いが強い。楽しみにしていた試合なので思い切りやりたい」とさらりと答えつつも、熱い思いは言葉の端々ににじみ出ていた。
FC東京では今季、平川が尊敬するMF橋本拳人が4年半ぶりに復帰したことに加え、DF岡哲平、MF俵積田晃太、DF土肥幹太といったアカデミー出身の後輩たちが主力に定着。彼らとは異なる道を歩む決断をした身としては、自身の過去やプライドを背負った戦いになる。
「今まではアカデミー選手が超えられない高い壁がたくさんあったけど、いまは若い選手がたくさん出てきて、スタメンが世代交代をしてきた感覚がある。だからこそ負けたくない気持ちもある。簡単に勝たせるつもりはない」
「アカデミー選手たちにとって自分の移籍も衝撃的だったと思うし、サッカー選手として生き残るためには難しい決断をしないといけないこともある。その気持ちを見せられる試合にできればと思う」
舞台は慣れ親しんだ味の素スタジアム。アウェー側には平川と同じく感慨を持って挑んでくる旧友や恩師たちが待ち構える中、東京育ちの背番号16は「本当に熱い試合になることは間違いないし、そこに自分の経緯もつながってくるので盛り上がるような試合ができれば」と力強く意気込んだ。
(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2025シーズンJリーグ特集
上々の今季初先発だった。東京ヴェルディに今季加入したMF平川怜はリーグ戦中断明けのJ1第7節・柏戦で先発フル出場。守備で重要なタスクを担いながら無失点に貢献し、「90分間戦えて、最低限だけどゼロに抑えることができたのは自分にとって自信になる。次につながるような試合ができた」と手応えを語った。
24歳の平川は今季、昨季J1リーグ戦26試合に出場した磐田から東京Vに加入し、開幕当初から途中出場で出番を重ねてきた。転機となったのは中断前の前節・名古屋戦。MF森田晃樹の負傷交代受け、前半34分からのスクランブル出場を託されると、20日のルヴァン杯1回戦・長野戦でも先発から後半終了間際までプレーし、この日、待望のJ1リーグ戦初先発を掴んだ。
若手選手が並ぶ東京Vで厳しい競争を繰り広げる中、ついに巡ってきたチャンス。「求められている基準の厳しさは感じていたし、そこができないなら試合に出られないラインがあるので、そこをクリアするためにトレーニングから意識してきた。そこは今までボランチをしていてあまり追求してきていなかった感覚だったので、そこが成長につながっていると思う」(平川)。日頃からの積み重ねを発揮すべく、敵地のピッチに立った。
この日の相手はリカルド・ロドリゲス新監督のもと、ボールポゼッションに重点を置いた攻撃を繰り広げる柏。平川は立ち上がりから守備の大きなタスクを任されており、中盤の底で組み立てを担うMF熊坂光希にマンツーマン気味のプレッシャーをかける場面が目立った。
ゲームプランの成否を左右する重要な役割であり、球際の強さを武器とする平川にはうってつけの仕事。「チームのやり方に助けられている部分もあるし、迷わずに行けていたのが一番の要因。はっきりしている、行ったら戻る、かわされたら戻るというのが自分に合っていると思う」。その言葉どおりの振る舞いで中央からのビルドアップを制限し、柏の持ち味を出させなかった。
さらにより守備ブロックを固める場面が目立った後半には守備の個人戦術でも見せ場を作った。後半31分、チームが不用意な横パスのミスからカウンターを許し、FW小屋松知哉に抜け出されるピンチを招いたものの、最終ラインでカバーリングに回った平川が絶妙なオフサイドトラップを敢行。その結果、小屋松のシュートはネットを揺らしたが、オフサイドの判定で命拾いとなった。
このシーンについて平川は「本来は(小屋松に)ついていかないといけないシーンで、自分の判断で一か八かみたいな感じになったのでいいプレーだとは思えない」と厳しく受け止めていた。本来であれば、小屋松の突破に備えてよりよいポジションを取り、そもそも背後に抜け出されないことを目指すべきだったという考え方からだ。
もっとも理想的な対応ができなかったにしろ、一瞬の判断で失点を阻んだのも紛れもない事実。平川は「失点していたらめちゃくちゃ怒られていたと思うし、いいプレーとは言えない」と何度も強調したが、「しっかりついて行ってというのをしたかったけど、間に合いそうもなかったり、相手のスピードを考えた時に駆け引きしようということになった」という即興的な判断力が光ったワンシーンだった。
そうして0-0のドローに持ち込み、敵地で掴んだ勝ち点1。試合後、平川は「90分間戦えて、最低限だけどゼロに抑えることができたのは自分にとって自信になるし、次につながるような試合ができた」と一定の手応えを口にした。それでも「試合ごとにどんどんよくなってくると思うし、守備の基準を常に超えながら攻撃やボールワークで違いを見せていきたい」と高い基準を見据えることも忘れなかった。
次の試合はそうした“プラスアルファ”を発揮する格好の舞台となりそうだ。4月2日の次節はFC東京との東京ダービー。チームとして互いにライバル意識を燃やす関係性にあるというだけでなく、平川にとってFC東京は中学時代からプロ入り後の2022年まで約10年間にわたって在籍していた因縁の古巣クラブだ。
この日の試合後、報道陣から東京ダービーへの意気込みを問われた平川は「この勝ち点1を次の試合につなげたい思いが強い。楽しみにしていた試合なので思い切りやりたい」とさらりと答えつつも、熱い思いは言葉の端々ににじみ出ていた。
FC東京では今季、平川が尊敬するMF橋本拳人が4年半ぶりに復帰したことに加え、DF岡哲平、MF俵積田晃太、DF土肥幹太といったアカデミー出身の後輩たちが主力に定着。彼らとは異なる道を歩む決断をした身としては、自身の過去やプライドを背負った戦いになる。
「今まではアカデミー選手が超えられない高い壁がたくさんあったけど、いまは若い選手がたくさん出てきて、スタメンが世代交代をしてきた感覚がある。だからこそ負けたくない気持ちもある。簡単に勝たせるつもりはない」
「アカデミー選手たちにとって自分の移籍も衝撃的だったと思うし、サッカー選手として生き残るためには難しい決断をしないといけないこともある。その気持ちを見せられる試合にできればと思う」
舞台は慣れ親しんだ味の素スタジアム。アウェー側には平川と同じく感慨を持って挑んでくる旧友や恩師たちが待ち構える中、東京育ちの背番号16は「本当に熱い試合になることは間違いないし、そこに自分の経緯もつながってくるので盛り上がるような試合ができれば」と力強く意気込んだ。
(取材・文 竹内達也)
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