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大学3年で東京V即戦力内定「1か月前はまさかこんなところで…」日本大FW平尾勇人が運命の「71」背負って覚悟のJ1デビュー

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FW平尾勇人(写真左)

[8.9 J1第25節 東京V 1-0 横浜FM 味スタ]

 東京ヴェルディ期待の大学3年生が、残留争いを繰り広げる横浜F・マリノスとの大一番でJ1デビューを果たした。26902人の大観衆を前に約8分間の初陣を終えた21歳は「本当に気持ちよくサッカーができた。応援してくれるサポーターだったり、声をかけてくれる人がいてやりやすかった」と充実感を口にした。

 日本大FW平尾勇人は今月1日、2027年からの東京V加入が発表されたばかりの大学3年生。それでも横浜FM戦では特別指定選手として初めてベンチ入りを任されると、1-0で迎えた後半45分から途中出場し、逃げ切りを狙う重要局面でピッチに立った。

 2年後を見据えた“プロ内定発表”からわずか9日後、突然のJ1デビューにも気負いはなかった。「緊張はそこまでなかった。(チームが)勝ってくれているということで、すごいピッチを作ってくれたという考えだったし、あとは全力で走るだけだと思っていた」。城福浩監督からの指示も「まずは間を締めて守備をする部分で自分の特徴をしっかり出せ」というシンプルなもの。念願の舞台に「とにかくやるしかない」というモチベーションにあふれていた。

 その気迫はピッチの上でも表れていた。投入直後から果敢なハイプレスを見せ、相手のビルドアップに圧力をかけると、DF鈴木冬一にドリブルで剥がされた際にはファウル覚悟で身体を寄せて侵入を阻止。守勢の中で攻撃の持ち味を発揮するには至らなかったが、アディショナルタイム10分間弱のプレーで勝利に導き、「最後まで諦めないプレースタイルはプロでも通用すると感じた」と手応えの残るJ1デビュー戦となった。

「自分の中でもすごいスピードで、1か月前はまさかこんなところでプレーできているなんて思っていなかったので驚きです」

 そう話す平尾のサッカー人生が大きく変わったのは1か月前、関東大学リーグの中断期間に行われた3日間の練習参加だった。

 平尾によると「最初の2日間の練習ではついていくのが必死だった」そうだが、3日目に行われた早稲田大とのトレーニングマッチで存在感を発揮。「自分の良さをしっかり出せて、背後に抜けるところだったり、前プレを城福さんに認めていただけた」。すぐにオファーを受け、3年時での早期内定にも「即決だった」。

 たった3日間の練習参加でも、自らの成長を強く感じられていた。

 その一つがプロ基準のプレッシング。「大学生だったら一つ運んできたタイミングで寄せられるけど、プロではすぐにはたかれて、はがされるシーンも多かった。でも練習期間にスタッフの方々が『こう守備したら取れるよ』というのを教えてくださって、それを吸収してプレーできた」。その手応えから、ここでいち早くプロの舞台に飛び込むことで「早く自分をプロの世界に慣れさせて、より上のステージに行けるように」というビジョンが開けたという。

 またオファーを受諾した瞬間から“プロ内定者”ではなく、“プロ選手”としての覚悟も決まった。「来てほしいと言われた段階で大学生として成長するんじゃなく、即戦力だと城福さんからも言われていたので、しっかり気持ちを作って準備ができた」。その心構えがJ1デビュー戦の舞台につながっていた。

 そんな平尾は、もう一つ大きなものを背負ってプロのピッチに立っている。

 東京Vでの背番号は「71番」。C大阪U-15、四日市中央工高、日本大で一貫して「17番」を着けてきており、「セレッソでは補欠の17人目という意味でつけさせられて、悔しい思いもあったけど、四中工ではそれがエースナンバーだったので運命を感じていた」という愛着ある番号にちなんだものかと思われたが、さらに大きな思いを込めてこの番号を選んでいた。

「17番の反対という意味もあるんですけど、第一に弟の誕生日というのが大きかったです」(平尾)

 平尾は11歳の頃、3歳年下の弟を急性リンパ性白血病による闘病の末に亡くしており、弟の思いを背負いながらサッカー人生を送るという強い思いを持っている。その弟の誕生日が7月10日。今年は運命的にも、自らのキャリアを大きく動かした東京Vへの練習参加中にその日を迎えており、自ら選んで「71番」を背負う決断をしていた。

 飛躍への野心、プロとしての覚悟、そして亡き弟の思いを背負って飛び込んできたJ1の舞台。「まだデビューしただけなので、しっかり結果も出せるようにこれからしっかりアピールしたい」。期待の大学3年生ルーキーはJ1デビューを経て生まれた新たな闘争心も胸に、次のチャンスを狙っていく。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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