近大附から28年ぶりの高卒Jリーガー誕生。MF川田太陽とDF咲本大がプロ入りを諦めずにFC大阪加入を勝ち取る
これまでインターハイに9回出場し、選手権にも5回出場。強豪が名を連ねるプリンスリーグ関西にも定着し、GK大西勝俉(現・八戸)、FW河村慶人(現・鹿児島)といったJリーガーも輩出してきた。長年、激戦区と呼ばれる大阪府で存在感を示してきた近大附高だが、高卒でプロ入りを果たした選手は少ない。9月12日、ともに来季からのFC大阪入りが発表されたMF川田太陽(3年)とDF咲本大(3年)の2人は、近大附としてはDF辻本茂輝氏(京都などでプレー)以来28年ぶりとなる高卒Jリーガーでの誕生だった。
「これまでもプロから興味を貰ってもらえる選手はいたのですが、うちは大学の附属ということもあって進学志向が強く、一歩を踏み出せない選手が多かった。でも、2人は覚悟が違った。“プロで上手くいかなったらどうしよう”と保険としての進学を考えていなかった」。そう口にするのは自身も近大附のOBでもある寺師悠斗監督。言葉通り、川田と咲本のプロ入りまでの道のりは決して順風満帆とは言えなかったが、諦めずにアピールを続けた結果、自らの進む道を切り開いた。
先に入団が決まった川田は生まれも育ちもFC大阪のホームタウンである東大阪市で、これまでも試合を見に行く機会が多かったという。磐田でもプレーした父・浩二氏が代表を務める柏田SCで幼少の頃からボールを蹴り始めた根っからのサッカー小僧で、技術の高さとサッカーセンスを生かしたドリブルは魅力十分。近大附では入学前からAチームに定着し、2年目からはチームに欠かせない選手となった。
10番を授かった今年は「大学に行くよりも、高卒でプロに入ってステップアップしたかった」と高卒でのプロ入りを模索し、春休みにはJ3のクラブに練習参加。「ボール回しが苦手で強度が高かったらミスが増えてしまうのですが、前を向いたらプロ相手でもやれていた」と確かな手応えを感じ、7月には2度目の練習参加も経験したが、最終的にはオファーが届かなかった。
関東の強豪大学からもオファーを受けていたが、プロ入りを諦めきれず、8月にはFC大阪に練習参加。過去2回のプロへの練習参加した経験を生かし、「フィジカル面で差がある相手を、どうかわすか意識していた」ことが奏功し、持ち味をできた結果、すぐさま獲得のオファーが届いたという。
憧れの舞台に飛び込むにあたって、元Jリーガーである父・浩二さんの存在は大きい。「プロで上手く行かなかったこと、上手く行ったことを教えてもらいながら、これからどうしたら良いか一緒に考えています」。初年度から持ち味である前向きでの仕掛けを発揮し、チームとともにJ1までステップアップしていくことが当面の目標だ。
昨年、無名の存在ながらもU-17日本代表に選出された咲本も、プロ入りまでの道のりは平坦ではなかった。代表入りを機に注目度が高まり、J1を含む計3チームの練習参加を経験。長い手足と守備センスを生かしたボール奪取や、最終ラインからの持ち運びといった長所を評価される一方、CBに求められるコミュニケーション能力を指摘され、色良い返事はもらえなかった。
関東の名門大学からも誘いを受けていたが、それでも目標にしていた高卒でのプロ入りを諦めなかった。「高校に入った時もプロに行きたいとは言っていたのですが、行けるとは全く思っていなかった。でも、代表に行ってこういう選手がプロになるという基準が分かったし、"自分もできる”と自信が付いた。プロが夢から目標に変わった」。そう口にする咲本にとって、U-17日本代表でともにプレーし、すでに名古屋とA契約も結んだ18歳DF森壮一朗の存在が刺激になっていたという。
救いの手を差し伸べる格好となったFC大阪は、昨年のU-17日本代表の試合を見て以来関心を抱き、定期的にプレーをチェック。能力を高く評価されており、練習参加を経験せずに正式オファーが届いたという。「来ても良いよではなく、欲しいと言ってもらえたのが嬉しくて、このチームでプレーしたいと思った」(咲本)。
咲本はプロ1年目からの飛躍を目指し、現在は課題であるフィジカル強化にも励んでいる。食事量を1日5食にし、学校にあるトレーニングルームで週3回筋トレを実施。昨年U-17代表に選出された際、66kgだった体重は現在70kgまで増加した。
これまで移籍組や大卒の加入が主体だったFC大阪にとっては初めての高卒選手の獲得。長年、横浜FCや東京ヴェルディのアカデミーで指導を積んできた薮田光教監督の下で今後はより育成に力を入れていくという意志の表れでもある。
また、2026/27シーズンからのシーズン移行に向けて、2026年の前半は「特別大会」として大会が開催されるため、昇降格がなく若手が使われやすい。そうした環境も2人にとって追い風になるだろう。根気強くつかみ取ったチャンスを無駄にしないためにも、2人は一年目からスタメン獲得を狙っている。




(取材・文 森田将義)
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「これまでもプロから興味を貰ってもらえる選手はいたのですが、うちは大学の附属ということもあって進学志向が強く、一歩を踏み出せない選手が多かった。でも、2人は覚悟が違った。“プロで上手くいかなったらどうしよう”と保険としての進学を考えていなかった」。そう口にするのは自身も近大附のOBでもある寺師悠斗監督。言葉通り、川田と咲本のプロ入りまでの道のりは決して順風満帆とは言えなかったが、諦めずにアピールを続けた結果、自らの進む道を切り開いた。
先に入団が決まった川田は生まれも育ちもFC大阪のホームタウンである東大阪市で、これまでも試合を見に行く機会が多かったという。磐田でもプレーした父・浩二氏が代表を務める柏田SCで幼少の頃からボールを蹴り始めた根っからのサッカー小僧で、技術の高さとサッカーセンスを生かしたドリブルは魅力十分。近大附では入学前からAチームに定着し、2年目からはチームに欠かせない選手となった。
10番を授かった今年は「大学に行くよりも、高卒でプロに入ってステップアップしたかった」と高卒でのプロ入りを模索し、春休みにはJ3のクラブに練習参加。「ボール回しが苦手で強度が高かったらミスが増えてしまうのですが、前を向いたらプロ相手でもやれていた」と確かな手応えを感じ、7月には2度目の練習参加も経験したが、最終的にはオファーが届かなかった。
関東の強豪大学からもオファーを受けていたが、プロ入りを諦めきれず、8月にはFC大阪に練習参加。過去2回のプロへの練習参加した経験を生かし、「フィジカル面で差がある相手を、どうかわすか意識していた」ことが奏功し、持ち味をできた結果、すぐさま獲得のオファーが届いたという。
憧れの舞台に飛び込むにあたって、元Jリーガーである父・浩二さんの存在は大きい。「プロで上手く行かなかったこと、上手く行ったことを教えてもらいながら、これからどうしたら良いか一緒に考えています」。初年度から持ち味である前向きでの仕掛けを発揮し、チームとともにJ1までステップアップしていくことが当面の目標だ。
昨年、無名の存在ながらもU-17日本代表に選出された咲本も、プロ入りまでの道のりは平坦ではなかった。代表入りを機に注目度が高まり、J1を含む計3チームの練習参加を経験。長い手足と守備センスを生かしたボール奪取や、最終ラインからの持ち運びといった長所を評価される一方、CBに求められるコミュニケーション能力を指摘され、色良い返事はもらえなかった。
関東の名門大学からも誘いを受けていたが、それでも目標にしていた高卒でのプロ入りを諦めなかった。「高校に入った時もプロに行きたいとは言っていたのですが、行けるとは全く思っていなかった。でも、代表に行ってこういう選手がプロになるという基準が分かったし、"自分もできる”と自信が付いた。プロが夢から目標に変わった」。そう口にする咲本にとって、U-17日本代表でともにプレーし、すでに名古屋とA契約も結んだ18歳DF森壮一朗の存在が刺激になっていたという。
救いの手を差し伸べる格好となったFC大阪は、昨年のU-17日本代表の試合を見て以来関心を抱き、定期的にプレーをチェック。能力を高く評価されており、練習参加を経験せずに正式オファーが届いたという。「来ても良いよではなく、欲しいと言ってもらえたのが嬉しくて、このチームでプレーしたいと思った」(咲本)。
咲本はプロ1年目からの飛躍を目指し、現在は課題であるフィジカル強化にも励んでいる。食事量を1日5食にし、学校にあるトレーニングルームで週3回筋トレを実施。昨年U-17代表に選出された際、66kgだった体重は現在70kgまで増加した。
これまで移籍組や大卒の加入が主体だったFC大阪にとっては初めての高卒選手の獲得。長年、横浜FCや東京ヴェルディのアカデミーで指導を積んできた薮田光教監督の下で今後はより育成に力を入れていくという意志の表れでもある。
また、2026/27シーズンからのシーズン移行に向けて、2026年の前半は「特別大会」として大会が開催されるため、昇降格がなく若手が使われやすい。そうした環境も2人にとって追い風になるだろう。根気強くつかみ取ったチャンスを無駄にしないためにも、2人は一年目からスタメン獲得を狙っている。


MF川田太陽は技術の高さとサッカーセンスを生かしたドリブルが特長


DF咲本大は長い手足と守備センスを生かしたボール奪取や、最終ラインからの持ち運びが武器
(取材・文 森田将義)
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