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過酷なJ1残留争いで90分間×8試合の信頼…敗北に崩れ落ちた横浜FC細井響の決意「紙一重に見えてものすごく厚い」

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新潟医療福祉大MF細井響(4年=習志野高)

[11.8 J1第36節 鹿島 2-1 横浜FC メルスタ]

 横浜FCは8日、首位の鹿島アントラーズに1-2で敗れ、前節・柏戦(●0-2)に続いて上位相手に2連敗を喫した。残留圏17位の横浜F・マリノスとの勝ち点差を5のまま縮められず、9日の今節で横浜FMが勝利した場合、その時点でJ2降格が決まる状況となった。

 飛躍を続ける現役大学生はタイムアップのホイッスルが鳴った瞬間、一気に力が抜けたかのようにピッチに崩れ落ちた。「本当に勝ち点3だけを目指してという意気込みで試合に入っていた」。特別指定選手として横浜FCでプレーしている新潟医療福祉大MF細井響(4年=習志野高)は来季の正式加入を前に、それほどまでに大きな責任を背負ってピッチに立っていた。

 今年3月に来季の横浜FC加入内定が発表された細井は5月21日のルヴァン杯・町田戦で公式戦デビューを果たすと、9月12日のJ1第29節・町田戦(△1-1)でJ1初出場。そこからJ1全8試合連続で90分間フル出場という驚異的な稼働率を誇ってきた。それもこの期間の戦績は2勝3分3敗。夏場に8連敗という低迷期を過ごしていたチームで信頼を掴み、大きな活力をもたらしてきた。

 ピッチ上で最も大きな存在感を放った武器は、大学時代に投げ始めたロングスローだった。デビュー戦の町田戦でさっそくロングスローからアシストを記録すると、9月28日の湘南との残留争い直接対決では自身のロングスローから混戦を生み出し、自らダイレクトボレーシュートを突き刺してJ1初ゴールの快挙も達成。その頃には相手にも知れ渡る存在となったが、この日の鹿島戦でもGK早川友基、DF植田直通、DFキム・テヒョンらA代表経験者を苦しめた。

「ロングスローをうちは武器にしているということで積極的に取りに行ったほうがいいなという認識も入りからあった」(細井)。自己評価については「もっと投げるところもそうだし、もっと回数を増やすためにサイドでもっと仕掛けるところであったり、その数は増やさないといけない」と反省の弁を口にしていたが、明らかな脅威となっていたのは間違いない。

 もっとも自らに求めるのはJ1基準。すでにロングスロー以外でも一定のプレー水準に達しているようにも思われるが、もはや“大学生”という立場で試合に臨むつもりはない。

 特に直近では柏、鹿島という上位2クラブを相手にしてきたこともあり、鹿島戦後、細井は「上位チームとの試合に出させてもらっているなかで1試合1試合素晴らしい経験だなというのと、自分がまだまだ未熟だなというのを毎試合感じている。ロングスローやキックの部分は武器としているところなので、上位相手にひるむことなく出していかないとここから活躍できないと思う」ときっぱりと語った。

 そつなくやれているようで、J1の舞台で感じていたのは“紙一重”と見られがちでも確かに存在するクオリティーの差だった。

「紙一重に見えて、そういうところの厚さはものすごく厚いなと感じる。ちょっとの差が上位との差になって、薄いように見えてそこが一番分厚いなというのを試合をしていて感じていた」

 ワンプレーごとの微妙な差でも、その回数を重ねていけば試合結果にも直結する。「今日も攻める時間はあったけど、相手は一つのチャンスを決めてきたりとか、そういうところは紙一重だけど、そういうところの差がまだまだあるのかなというふうに感じた」。J1逆転残留という結果に本気で向き合っているからこそ、その差を感じたことが大きな落胆につながっていたようだ。

 もっとも、“他力”でのJ1残留の可能性が残るか否かはさておき、この貴重な経験は今後のキャリアに繋げていくしかない。

「大学も全国に行けばある程度はレベルが高いけど、強度やスピード感、スタジアムの雰囲気などは感じられないものを感じさせてもらった。この経験を活かすも殺すも自分次第。何試合も90分間やらせてもらった経験をこの先、攻守において活かしていきたい」

 まずは大学時代とは最も異なる守備のレベルアップを直近の課題としている。「後ろ目の選手として一人で奪い切る力だったり、身体を入れてマイボールにするとか、守備の強度はまだまだ全然足りないなというのを一番感じているところもあるので、攻撃よりは守備のところにこれから目を向けてやらないといけない」。その積み重ねは必ず、本格的なプロ1年目の飛躍につながるはずだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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