FC東京の攻守を司る常盤亨太…川崎F中枢を封印も「全然足りねえ」細部へのこだわり、新戦力の幼なじみから刺激、プロ2年目への並々ならぬ思い
MF
[2.21 J1百年構想EAST第3節 川崎F 1-2 FC東京 U等々力]
FC東京の中盤に君臨し、“多摩川クラシコ”勝利の原動力となった。MF常盤亨太は攻守に奮闘し、川崎フロンターレの攻守の要であるMF脇坂泰斗を徹底マーク。「もう全部奪い切ってやろうと思っていた。そこに自分なりの自信もあった。そこで2、3回ひっくり返されたのはやっぱり上手いなと思いつつ、何してんだろう自分とも思った」(常盤)。勝利に大きく貢献しながらも、自身の中では悔しさの残る形となったようだ。
序盤からゴールへの高い意識を見せた。前半18分には最前線まで駆け上がり、こぼれ球を拾ってゴールに向かった。21分には敵陣PA右で切り返しからのシュート。アンカーポジションながら優れた予測でゴール前に顔を出し、チャンスをうかがい続けた。
また、中盤ではボールホルダーのもとに駆け付け、パスの受け手としてフォローした。際立ったのは1-1で迎えた前半38分、DF室屋成の決勝点の場面。常盤はボールを持っていた最後方のDF稲村隼翔に近寄りつつ、脇坂とFWエリソンの間のスペースにポジションを取った。パスを受けた瞬間、最前線への縦パスで攻撃のスイッチを入れる。スピードに乗った攻撃はFWマルセロ・ヒアンからMF佐藤恵允とつながり、最後は室屋がゴール。常盤が決勝ゴールの隠れた起点となっていた。
「相手の2トップ(脇坂とエリソン)が自分を管理するイメージだったけど、意外と管理されていなかった。自分がフリーだと前半の最初から感じていたので、そこで前を向けたらチーム全体としてスピードアップできると思っていた。前を向いて前を選択というのは意識していた。そこでマルセロにいい縦パスを通せたのでよかった。その回数はもっと増やせると思う」
一方で、守備面でも貢献度を示した。高い攻撃力を誇る川崎Fは、サイドからの突破力もさることながら、その中枢として脇坂がトップ下に立つ。常盤は「サイドの選手のドリブルもあるけど、結局は彼(脇坂)に入ってからのスルーパスやシュート、そこが決定的なシーンになるとわかっていた」と分析して試合に臨んだ。
脇坂だけでなく2ボランチのMF橘田健人やMF河原創の動きにも対応しつつ、前半41分にはエリソンのカウンターに激しくプレスバック。この場面はファウルこそ取られてしまったが、鋭い危機察知で相手にほとんどチャンスを作らせなかった。90分間で川崎Fに作られた決定機は、前半31分にDF山原怜音に決められたスーパーゴールのみだった。
“多摩川クラシコ”での会心の勝利。開幕2試合がPK戦による勝利で、今節が初白星だったこともあり、常盤は「チームとして90分で勝ち切れたことは本当にうれしい。90分での勝利がほしかったので大きい」と喜びを語る。だが、個人としては「悔しさが残る試合」と振り返った。
「特に守備の部分で、自分が特徴としている球際やセカンドボールのところは、自分のなかではダメ。中盤で入れ替わるシーンが2、3回あった。飛び込みすぎてしまった。そこで自分の守備の良さが出せなかったという悔しさ。チームが勝利したからこそ個人の反省もできるけど、なんか全然足りねえなと正直に思っている」
常盤が挙げたシーンのひとつは後半5分。川崎Fのスローインから脇坂にパスが渡ると、すかさず常盤が詰めた。しかし脇坂に入れ替わられてしまい、そのまま自陣までカウンターを受けた。急いでプレスバックをした常盤がMF伊藤達哉からボールを奪い切り、ピンチこそ防いだ。だが「その入れ替わったシーンが自分の中で鮮明に残っていて、やっぱり実力者だと、違いを見せられてしまった」と、高い基準を見据えるからこその後悔となった。
「高い位置で奪い切れれば一気にショートカウンターに行けるチャンスだった。逆にそこで入れ替わってしまうと、相手が勢いを持って入ってくることがわかっていた。にもかかわらず入れ替わってしまった。川崎さんのクオリティの高さを実感すると同時に、まだまだ足りねえんだなと」。ピンチを防ぐだけでなく、その後の攻撃局面にも直結するプレー。だからこそ、常盤はわずかな判断ミスにも厳しい自己評価を下していた。
FC東京は開幕3試合で無敗を誇る。常盤と後方からのビルドアップでホットラインを築くのは、新戦力の一人である稲村。中学時代にFC東京U-15深川でともに戦った幼なじみの2人が、3試合連続スタメンでチームを支えている。
「もう隼翔の特長や性格は全部わかっているつもり。ここでこういうプレーをするなとか、あいつが熱くなるところとか。逆に彼も自分のことをわかってくれていて、声かけもしてくれる。だいたい感覚でパッとわかるので、それに合わせて自分が動いていければ、チームとしていいビルドアップができるという思いがある」
稲村は高校から前橋育英高に、そして東洋大に進学した。大学時代にはアルビレックス新潟で特別指定選手として活躍。2024シーズンにはチームの主力としてルヴァン杯決勝のスタメンにも名を連ねた。25シーズン途中にセルティック移籍で海外挑戦へ。出場機会を求めて今シーズンからFC東京に加わったが、常盤もその経緯を見守っていたという。
「帰ってくるかもという話になったときに絶対に来いと、一緒にやろうぜと言っていたので。でも本当になるとは思わなかった」。常盤は旧知の仲である稲村の加入に喜びを語りつつ、「彼がJ1で活躍して海外に行くというステップアップをしたなかで、置いていかれているという悔しさもある。絶対に追いついて、試合に出て活躍したいというのもあった」と、その存在から大きな刺激も受けていた。
明治大卒1年目の昨シーズンから「大卒は即戦力」と気を吐いていた。しかし、J1リーグでは7試合出場のみ。「その1年目で結果を残せない時点で選手として価値ねえなと思っていた」。打って変わって今シーズンは開幕3試合で先発出場と、ここまで順調な滑り出し。改めてプロ2年目に懸ける思いは強い。
「もう2年目。ここで結果を残せなかったら、自分の目標を下方修正しなければいけない年だと思っていた。この2年目に懸ける思いがあった。だからこそ、いま試合に出ているけど、まったく満足いっていないし、このJ1の舞台で違いを出せる選手にならないとその先は見えてこない。11分の1ではなくて、その11人のなかで一番突出した選手にならなければいけない」
この試合では後半36分に途中交代していた。足を痛めていたようにも見えたが、「全然問題ない。情けないだけ」とその心配を一蹴。「見てくれている人に刺激や希望を与えたい」と力を込めながら、さらなる活躍を誓った。
(取材・文 石川祐介)
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FC東京の中盤に君臨し、“多摩川クラシコ”勝利の原動力となった。MF常盤亨太は攻守に奮闘し、川崎フロンターレの攻守の要であるMF脇坂泰斗を徹底マーク。「もう全部奪い切ってやろうと思っていた。そこに自分なりの自信もあった。そこで2、3回ひっくり返されたのはやっぱり上手いなと思いつつ、何してんだろう自分とも思った」(常盤)。勝利に大きく貢献しながらも、自身の中では悔しさの残る形となったようだ。
序盤からゴールへの高い意識を見せた。前半18分には最前線まで駆け上がり、こぼれ球を拾ってゴールに向かった。21分には敵陣PA右で切り返しからのシュート。アンカーポジションながら優れた予測でゴール前に顔を出し、チャンスをうかがい続けた。
また、中盤ではボールホルダーのもとに駆け付け、パスの受け手としてフォローした。際立ったのは1-1で迎えた前半38分、DF室屋成の決勝点の場面。常盤はボールを持っていた最後方のDF稲村隼翔に近寄りつつ、脇坂とFWエリソンの間のスペースにポジションを取った。パスを受けた瞬間、最前線への縦パスで攻撃のスイッチを入れる。スピードに乗った攻撃はFWマルセロ・ヒアンからMF佐藤恵允とつながり、最後は室屋がゴール。常盤が決勝ゴールの隠れた起点となっていた。
「相手の2トップ(脇坂とエリソン)が自分を管理するイメージだったけど、意外と管理されていなかった。自分がフリーだと前半の最初から感じていたので、そこで前を向けたらチーム全体としてスピードアップできると思っていた。前を向いて前を選択というのは意識していた。そこでマルセロにいい縦パスを通せたのでよかった。その回数はもっと増やせると思う」
一方で、守備面でも貢献度を示した。高い攻撃力を誇る川崎Fは、サイドからの突破力もさることながら、その中枢として脇坂がトップ下に立つ。常盤は「サイドの選手のドリブルもあるけど、結局は彼(脇坂)に入ってからのスルーパスやシュート、そこが決定的なシーンになるとわかっていた」と分析して試合に臨んだ。
脇坂だけでなく2ボランチのMF橘田健人やMF河原創の動きにも対応しつつ、前半41分にはエリソンのカウンターに激しくプレスバック。この場面はファウルこそ取られてしまったが、鋭い危機察知で相手にほとんどチャンスを作らせなかった。90分間で川崎Fに作られた決定機は、前半31分にDF山原怜音に決められたスーパーゴールのみだった。
“多摩川クラシコ”での会心の勝利。開幕2試合がPK戦による勝利で、今節が初白星だったこともあり、常盤は「チームとして90分で勝ち切れたことは本当にうれしい。90分での勝利がほしかったので大きい」と喜びを語る。だが、個人としては「悔しさが残る試合」と振り返った。
「特に守備の部分で、自分が特徴としている球際やセカンドボールのところは、自分のなかではダメ。中盤で入れ替わるシーンが2、3回あった。飛び込みすぎてしまった。そこで自分の守備の良さが出せなかったという悔しさ。チームが勝利したからこそ個人の反省もできるけど、なんか全然足りねえなと正直に思っている」
常盤が挙げたシーンのひとつは後半5分。川崎Fのスローインから脇坂にパスが渡ると、すかさず常盤が詰めた。しかし脇坂に入れ替わられてしまい、そのまま自陣までカウンターを受けた。急いでプレスバックをした常盤がMF伊藤達哉からボールを奪い切り、ピンチこそ防いだ。だが「その入れ替わったシーンが自分の中で鮮明に残っていて、やっぱり実力者だと、違いを見せられてしまった」と、高い基準を見据えるからこその後悔となった。
「高い位置で奪い切れれば一気にショートカウンターに行けるチャンスだった。逆にそこで入れ替わってしまうと、相手が勢いを持って入ってくることがわかっていた。にもかかわらず入れ替わってしまった。川崎さんのクオリティの高さを実感すると同時に、まだまだ足りねえんだなと」。ピンチを防ぐだけでなく、その後の攻撃局面にも直結するプレー。だからこそ、常盤はわずかな判断ミスにも厳しい自己評価を下していた。
FC東京は開幕3試合で無敗を誇る。常盤と後方からのビルドアップでホットラインを築くのは、新戦力の一人である稲村。中学時代にFC東京U-15深川でともに戦った幼なじみの2人が、3試合連続スタメンでチームを支えている。
「もう隼翔の特長や性格は全部わかっているつもり。ここでこういうプレーをするなとか、あいつが熱くなるところとか。逆に彼も自分のことをわかってくれていて、声かけもしてくれる。だいたい感覚でパッとわかるので、それに合わせて自分が動いていければ、チームとしていいビルドアップができるという思いがある」
稲村は高校から前橋育英高に、そして東洋大に進学した。大学時代にはアルビレックス新潟で特別指定選手として活躍。2024シーズンにはチームの主力としてルヴァン杯決勝のスタメンにも名を連ねた。25シーズン途中にセルティック移籍で海外挑戦へ。出場機会を求めて今シーズンからFC東京に加わったが、常盤もその経緯を見守っていたという。
「帰ってくるかもという話になったときに絶対に来いと、一緒にやろうぜと言っていたので。でも本当になるとは思わなかった」。常盤は旧知の仲である稲村の加入に喜びを語りつつ、「彼がJ1で活躍して海外に行くというステップアップをしたなかで、置いていかれているという悔しさもある。絶対に追いついて、試合に出て活躍したいというのもあった」と、その存在から大きな刺激も受けていた。
明治大卒1年目の昨シーズンから「大卒は即戦力」と気を吐いていた。しかし、J1リーグでは7試合出場のみ。「その1年目で結果を残せない時点で選手として価値ねえなと思っていた」。打って変わって今シーズンは開幕3試合で先発出場と、ここまで順調な滑り出し。改めてプロ2年目に懸ける思いは強い。
「もう2年目。ここで結果を残せなかったら、自分の目標を下方修正しなければいけない年だと思っていた。この2年目に懸ける思いがあった。だからこそ、いま試合に出ているけど、まったく満足いっていないし、このJ1の舞台で違いを出せる選手にならないとその先は見えてこない。11分の1ではなくて、その11人のなかで一番突出した選手にならなければいけない」
この試合では後半36分に途中交代していた。足を痛めていたようにも見えたが、「全然問題ない。情けないだけ」とその心配を一蹴。「見てくれている人に刺激や希望を与えたい」と力を込めながら、さらなる活躍を誓った。
(取材・文 石川祐介)
キャプテン・室屋成の勝ち越し弾
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 21, 2026
ゴール動画
明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第3節
川崎FvsFC東京
1-2
⌚️ 38分
⚽️ 室屋 成(FC東京)#Jリーグ pic.twitter.com/tHgu2hQb5w
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