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[関東]FC東京U-18でライバルと争い経験した3番手…関東学院大GK齋藤朝陽「サッカーだけではない部分をすごく学んだ」

GK齋藤朝陽(1年=FC東京U-18)

[6.15 関東大学L1部第9節 駒澤大 1-0 関東学院大 味の素フィールド西が丘]

 強烈なライバルと過ごした高校時代を経て、関東学院大のGK齋藤朝陽(1年=FC東京U-18)は試合に出場する楽しさを感じながら責任感も抱き、新たな舞台に挑んでいる。

 齋藤は中学・高校をFC東京の育成組織で過ごした。クラブはカタールW杯メンバーのGK権田修一を筆頭に数多くのGKをプロの世界へ輩出。現在のトップチームはGK4人体制だがそのうち3人が育成組織出身だ。

 その中で齋藤はFC東京U-15深川時代を「自分としても手応えはあった」と話す。その言葉通り、同チームのGK土佐昂清(流通経済大柏高→流通経済大)、FC東京U-15むさしのGK中村圭佑(静岡学園高→東京V)らとの争いの中でU-18への昇格を果たした。ただ、高校では同級生のGK小林将天、1つ下のGK後藤亘とのポジション争いに苦しみ、1stチームではなく2ndチームが戦う東京都のTリーグが主戦場となった。もっとも小林は高卒ルーキーでトップチームに昇格し、U-17W杯で正GKを務めた後藤は来季の昇格が内定しているように、異例とも思えるほどGKはタレント揃いの状態だった。

 齋藤はU-18での3年間を「第3GKとして一歩引いてチーム全体を見て、どういった方向に持ち上げられるかとか、サッカーだけではない部分をすごく学んだ」と振り返る。ただ、当然ながら1stチームで出られない悔しさもあった。「サッカーから逃げようとした弱さもあった」というが、当時U-18の監督だった奥原崇トップチームコーチが「つねに真正面から向き合ってくれた」こともあり、3年間を青赤の一員として過ごし続けることができた。

 そして高校を卒業した今年度、関東学院大を新天地に選んだ。決め手は「観客を魅了するような」パスサッカー。「自分としても中学・高校時代からずっと求められているもの」であるビルドアップを4年間でさらに磨くべく、大学サッカー界に飛び込んだ。

 すると開幕節からベンチ入りを果たし、第2節に早速デビュー。以降の試合はすべてゴールを守っている。齋藤は「関東大学1部は前線の個のキャラクターが強烈な選手が多いので、そこの対峙は毎週楽しみにしている」と充実ぶりを示しつつ、チームメイトに関しても「一人ひとりの特徴は違うけれど、僕がもっと引き出していけたら」と俯瞰して見つめる。様々な経験をしたからこそ、責任感も抱いているようだ。

「高校3年間で得たものと試合に出て感じるものはやっぱり違う。どちらの立場にもなっているからこそ、もっとチームに良い影響を及ぼさなければと思っている」

 齋藤にとって新たな舞台での挑戦となる今季だが、それは関東学院大にとっても同様だ。というのも、関東学院大が関東大学リーグ1部を戦うのは今季が初めて。ここまでは1勝2分6敗で最下位に沈んでいるが、齋藤は「場数を踏んでチームは間違いなく良くなっている」と手応えを感じている。実際、15日の駒澤大戦では相手に9回オフサイドをかけるなど守備陣の統率も進んでいる印象だ。

 その感覚がたしかなものだと示すためにも結果を求めている。齋藤は「初昇格した年なのでもっとチャレンジャーとして、チームが1つになって戦っていけたら」と力を込める。そして、関東学院大で成長を重ねながら目指すのはプロの舞台だ。昇格を勝ち取った中学時代とU-18で過ごした3年間はともに大きな財産。「つねに高いレベルで争えたのは本当に大きい」と話し、「高校時代があったからプロになれたと言えるように」と巻き返しを誓った。

(取材・文 加藤直岐)

●第98回関東大学リーグ特集
加藤直岐
Text by 加藤直岐

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