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リバプールを背負って故郷・横浜凱旋…歴史的6万7千人超から一番の大歓声浴びた遠藤航「みんなサラーとかファン・ダイクと会いたいのかなと(笑)」

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MF遠藤航

[7.30 国際親善試合 横浜FM 1-3 リバプール 日産ス]

 ヨーロッパを代表するビッグクラブを背負って立った地元のピッチは、格別なものだった。「個人的にはすごく嬉しかったですね。リバプールの選手としてこうやって生まれ育った街に帰ってこられたのは素晴らしく、誇らしい瞬間だなと思いました」。MF遠藤航横浜F・マリノス戦後、錚々たるスター選手たちを引き連れての故郷凱旋に素直な喜びと誇りを口にした。

 高校時代からプロ5年目までを湘南ベルマーレで過ごしたことで知られる遠藤だが、出身地は横浜市戸塚区。日本代表にまで上り詰めた選手では珍しく、小中学生時代は地元の少年団と中体連の部活動でプレーしており、今回の来日ツアーでは自らが育った横浜市立南戸塚中の選手たちとの交流プログラムも設けるなど、地元への恩返しを強く意識した活動を行ってきた。

 そんな遠藤の振る舞いと思いに応えるかのように、この日の日産スタジアムにはJリーグ主催史上最多の67,032人という歴史的大観衆が詰めかけ、地元のスターにふさわしい歓待が行われた。

 印象的だったのは試合前のメンバー発表。先発に名を連ねたFWモハメド・サラー、DFフィルヒル・ファン・ダイク、新加入MFフロリアン・ビルツといったスター選手に次々に大歓声が送られる中、ベンチ入りの遠藤の名前が読み上げられると、一際大きな拍手と声援が巻き起こった。

 当の遠藤自身はウォーミングアップに集中していたようであまり意識しておらず、「個人的にはみんなサラーとか、ファン・ダイクと会いたいのかなと思っていましたけど……」と照れ笑いを浮かべていたが、後半15分にピッチに送り出される際の大声援も明らかに異質なもので、絶大な人気ぶりを示すものだった。

 その途中出場の際にはチームからも格別の待遇が向けられた。親善試合では通常、多くの選手を起用するため複数選手を一気に交代するのが通例だが、ここではファン・ダイクに代わって遠藤だけが投入された。スタンドからの拍手と歓声を一身に浴びるための、アルネ・スロット監督による“粋な計らい”だった。またピッチ脇ではファン・ダイクからアームバンドを託され、ゲームキャプテンとしてピッチに立つ栄誉も受けた。

 このような待遇は単に遠藤の凱旋試合を祝福するためだけのものではない。遠藤がリバプールの地で過去2シーズン、地道に積み上げてきた信頼の証しだった。試合後、記者会見に出席したスロット監督は熱を込めて語った。

「昨季、我々がリーグ優勝を果たした時の役割を考えると、ワタ(遠藤の愛称)は他の誰よりもこの評価に値している。皆はモー・サラー、ルイス・ディアス、コーディ・ガクポ、フィルヒル・ファン・ダイクといった数多くのゴールを決めたような選手たちについて話題にしていたが、おそらく誰も気づかなかったのは、毎試合出場していなかった選手たちが自分の役割を受け入れていたことにあるんだ。その中で最も良い例がワタだ。出場するのがどんなに短い時間でも、それが1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分であっても、彼は常にチームのためにいてくれた。我々が昨季リーグ優勝できたのはこれが大きな理由だ。彼は日本のファンからの称賛を受けるにふさわしい存在なんだ。私は彼にキャプテンマークを渡してそれを少しだけ助けたが、彼がそれに値する存在だからだ」

 そんな遠藤の華試合を、チームメートも結果で彩ってくれた。投入時点では0-1でリードされていたリバプールだったが、そこからビルツのゴールで追いつくと、続けて育成組織出身の18歳FWトレイ・ナイオニと16歳FWリオ・ングモハのゴールも決まって3発逆転。3-1で勝利した。遠藤は「別に僕は何もしていないですけどね(笑)」と報道陣を笑わせつつも、「スタジアムの雰囲気を変えるという意味では、ああやって僕が入るというのは一ついいポイントになったのかなと思うし、結果的に最後に勝てたのは良かった」と嬉しそうに微笑んだ。

 サッカーファンなら誰もが一度は目にしたいようなスター選手たちを引き連れ、自らも盛大な注目を浴び、勝利という結果も手にした理想的な凱旋試合。さらに試合後、遠藤は対戦相手の横浜F・マリノスにも「なんで残留争いをしているんだろうなといういいチームだなという印象を受けたし、他の選手たちも『誰々がいい選手だ』とか『いいチームだな』という話をしていた」と忘れず敬意を口にし、「リバプールの選手としては負けたくなかったので、勝てて良かったですね」と締めくくった。

 そうして迎える2025-26シーズン。リバプールとしては昨季のプレミアリーグを独走優勝し、連覇がかかる重要なシーズンだが、遠藤のチームに向き合う姿勢に変わりはないようだ。

「もう一回プレミアのタイトルを取りたいし、チャンピオンズ(CL)だったりとかカップ戦の取れるタイトルは全部取りたいと思っている。それくらいの意気込みでみんな今シーズンに挑むと思っている。でもやっぱりタイトルを取るのは簡単じゃないというのも自分たちの中で受け入れながら、地に足をつけながらやらないといけない。自分はチームの一員としてしっかり貢献するところをまた第一にやっていければいいなと思います」

 昨季就任したスロット監督のもと、大きく出場機会を減らした立場だが、互いの信頼関係は揺るがない。「(昨季)1年同じ監督のもとでやってきて、監督も僕のことをよく分かってくれていると思うし、僕ももちろん監督のことはわかっている。また違ったシーズンになるのではないかという気持ちでいます」。この日も控えCBという本職外の起用だったが、遠藤の言葉の端々には自信もにじんだ。

 日本代表キャプテンとしての遠藤から見れば、残り1年間を切った北中米W杯に向けても大事なシーズンとなる。ところが、現時点では「そこはあまり考えすぎなくてもいいと思っているので、とにかく目の前の試合に勝つことだけ、チームに貢献することだけを考えたい」と遠藤。リバプールの一員としても、日本代表の主将としても、プロフェッショナルな姿勢を貫いていく構えだ。

 その結果が自身として3度目、主将として初めての大舞台にもつながっていくと信じている。「W杯に向けてもそうだけど、毎試合ベストなコンディションで挑める準備、トレーニングを自分の中で考えながらしっかりやって、いいシーズンをリバプールで過ごして、最高の形でW杯に挑めればと思います」。視線の先には確かに“W杯優勝”の目標を捉えつつ、激しく厳しいプレミアリーグのシーズンに全てを捧げる。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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