[NBC in 堺ユースフェス]プリンス北信越1部首位の新潟明訓が大阪学院とドローで決勝T進出。“叩き上げ世代“は今夏、さらに変わる
[7.21 NBCin堺ユースフェス予選リーグ 新潟明訓高 1-1 大阪学院大高 J-GREEN堺]
「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」は21日午後、予選リーグ最終節を行った。ともに1勝1分でグループE突破を懸けた新潟明訓高(新潟)対大阪学院大高(大阪)戦は、1-1で引き分け。同グループは3チームが勝ち点5で並び、得失点差で1位・鹿児島城西高(鹿児島)と2位・新潟明訓が決勝トーナメント進出を決めた。
“叩き上げ世代”が着実に力をつけてきている。プリンスリーグ北信越1部で首位に立つ新潟明訓の坂本和也監督は、「僕らはこの代、ほんとに『史上最弱』って言ってたんで、シーズン前はほんとにダメだったんですけど、オフシーズンでほんとに頑張ったんですよ。ほんとに筋トレも、フィジカルも走りのところも。それこそ(OBで元U-16日本代表の)加藤(潤コーチ)にも鍛えられて。そこで僕らはもう“叩き上げ世代”っていう風に言っています。自分たちが弱いことは分かってるんで、頑張るんすよ。で、真面目で、元気」と説明。指揮官が“苦しいぐらい”と評したトレーニングを乗り越えてきた世代が「NBC in 堺ユースサッカーフェスティバル」の激戦ブロックを突破した。
この日、ともに2試合目。午前中にプレミアリーグWESTの鹿児島城西と1-1で引き分けた大阪学院は、ターンオーバー制を活用し前後半でメンバーをシャッフルした。先発はGK阪川陽(2年)、DF川端謙太(3年)、佐平帝徳(2年)、山本那由多(3年)、小川竜和(3年)、MF村崎隆豪(2年)、沼光琉(3年)、高尾冬獅(3年)、FW岩田一真(3年)、川井田昂信(2年)、主将の寺田琉一(3年)で試合をスタート。FWオカフォー仁ウィリアム(3年)や福山悠斗(2年)、MF田仲莉久(3年)、小西理仁(2年)、藤木崚大郎(2年)、DF内田大暉(2年)を後半から起用した。
自力で予選リーグ突破するためには勝つしかなかった大阪学院に対し、新潟明訓は引き分け以上で決勝トーナメント進出という状況。先発はGK加藤俐功(3年)、DF風間聖来(3年)、福原快成(3年)、加藤祐羽(2年)、勝天嶺(3年)、MF安藤晴蕾(2年)、津野純希(3年)、大森健司(3年)、椿泰一郎(3年)、鈴木快空(2年)、FW斎藤瑛太主将(3年)という11人で試合を始め、MF小嶋逢朋(2年)を交代で送り出した。
新潟明訓は立ち上がりから、攻撃センス抜群という左SB勝が個の力で相手のプレスを攻略。クロス精度の高い椿と勝からチャンスが生まれ、大森や斎藤がヘディングシュートを打ち込む。


一方の大阪学院は小野原明男監督が「ある程度ビルドアップからの背後であったり、背後で相手が間伸びしたら中間の空間取ってとか、その辺りはチームで、ビルドアップからのフィニッシュのイメージっていうのは結構今できている」と評したように、ビルドアップからシンプルに前線やサイドを活用。高尾の仕掛けから寺田がフィニッシュへ持ち込んだほか、剥がす力を見せるなど存在感のあった村崎のラストパスから寺田が決定的なループシュートを放つ。


大阪学院は絶対的な存在の山本のカバーリングなどで相手の攻撃を食い止め、村崎や寺田を軸とした攻撃で主導権を握る。川井田が鋭い切り返しからシュートへ持ち込むなど1点を目指したが、新潟明訓は坂本監督が「CBはもう絶対なんで、ここが育たないと絶対ウチは勝てない」と重視するCBのDFリーダー・福原が跳ね返しの部分などで、加藤祐とともに奮闘。無失点を続け、30分ハーフの前半終了間際に先制した。



新潟明訓は敵陣でボールを奪うと、大森が右からラストパス。斎藤がニアでDFを引き付け、その後方の鈴木が右足でゴールを破った。我慢強く戦いながら得点を取り切る力を発揮。だが、大阪学院は後半8分、「右サイドからクロスボールが来て、少しトラップが流れてしまったのですが、そのまま打ったら良いコースに飛んでいったので良かった。相手が結構ゴール前を固めるなと思っていたので、2列目から入ったらフリーでボールを受けられると前半から感じていた。そこを狙って行けた」という2年生の注目MF村崎が見事なゴールを決めて1-1とした。


それでも新潟明訓は後半、「新潟、遠くから来ていて、親にもお金を出してもらっているんで凄く感謝しないといけない状況でサッカーができることに感謝をして、まず絶対目の前の試合に勝とうと思っていました」という注目エースの存在感が増す。F-THREE U-15時代にフットサルで全国大会出場経験を持つ斎藤がDFを背負いながらのキープや強引にマークを外す動きからシュートを連発する。昨年度の選手権予選で肩を脱臼し、半年間離脱。まだコンディションは万全ではないというが、この日午前の三重海星高戦でハットトリックを達成し、大阪学院戦でも一人でシュートを7本、8本と打ち込んでいた。
元々ボランチでFW大迫勇也(神戸)のプレーを見ながら試行錯誤。「自分はまだまだなんで、もっとこの夏で成長できるように。それで大学でもサッカーを続けて、絶対大学を通してプロになりたい」というストライカーは怖い存在になり続けていた。試合終了間際に左クロスからゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定。大阪学院も佐平のシュートブロックなどで踏ん張り、福山のドリブルやオカフォーの決定的なシュートでベンチを沸かせたが、こちらも2点目を奪うことはできなかった。


新潟明訓は無敗をキープし、決勝トーナメント進出。斎藤が「ずっと1、2年生の頃は最弱世代、最弱世代って言われて、自分たちの学年、みんなそれがすごく悔しくて、勝つために冬期間やってきたので、こうして結果が少しずつ出始めてるのはすごくいいなと思っています。ちょっとずつですけど、今回の大会もプレミア勢のチーム(対鹿児島城西、2-2)といい戦いができたので、そこは少し自信になったと思います」と頷く。グループ1位こそ逃したものの、激戦ブロックを2位突破。昨年、今年とトーナメント戦で結果が出ていないだけに、強豪揃いの「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」で勝ち抜く経験をしたいところだ。
斎藤は「冬は帝京長岡さんという最大のライバルというか、強い相手がいるんですけど、あそこを倒さないと新潟の代表にはなれない。必ず勝って、絶対(選手権に)出たいと思います」。プリンスリーグ北信越1部の目標も優勝。そして、選手権予選でプレミアリーグを戦う帝京長岡高や他のライバルを上回るために、“叩き上げ世代”はこの夏、さらに変わる。


(取材・文 吉田太郎)
「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」は21日午後、予選リーグ最終節を行った。ともに1勝1分でグループE突破を懸けた新潟明訓高(新潟)対大阪学院大高(大阪)戦は、1-1で引き分け。同グループは3チームが勝ち点5で並び、得失点差で1位・鹿児島城西高(鹿児島)と2位・新潟明訓が決勝トーナメント進出を決めた。
“叩き上げ世代”が着実に力をつけてきている。プリンスリーグ北信越1部で首位に立つ新潟明訓の坂本和也監督は、「僕らはこの代、ほんとに『史上最弱』って言ってたんで、シーズン前はほんとにダメだったんですけど、オフシーズンでほんとに頑張ったんですよ。ほんとに筋トレも、フィジカルも走りのところも。それこそ(OBで元U-16日本代表の)加藤(潤コーチ)にも鍛えられて。そこで僕らはもう“叩き上げ世代”っていう風に言っています。自分たちが弱いことは分かってるんで、頑張るんすよ。で、真面目で、元気」と説明。指揮官が“苦しいぐらい”と評したトレーニングを乗り越えてきた世代が「NBC in 堺ユースサッカーフェスティバル」の激戦ブロックを突破した。
この日、ともに2試合目。午前中にプレミアリーグWESTの鹿児島城西と1-1で引き分けた大阪学院は、ターンオーバー制を活用し前後半でメンバーをシャッフルした。先発はGK阪川陽(2年)、DF川端謙太(3年)、佐平帝徳(2年)、山本那由多(3年)、小川竜和(3年)、MF村崎隆豪(2年)、沼光琉(3年)、高尾冬獅(3年)、FW岩田一真(3年)、川井田昂信(2年)、主将の寺田琉一(3年)で試合をスタート。FWオカフォー仁ウィリアム(3年)や福山悠斗(2年)、MF田仲莉久(3年)、小西理仁(2年)、藤木崚大郎(2年)、DF内田大暉(2年)を後半から起用した。
自力で予選リーグ突破するためには勝つしかなかった大阪学院に対し、新潟明訓は引き分け以上で決勝トーナメント進出という状況。先発はGK加藤俐功(3年)、DF風間聖来(3年)、福原快成(3年)、加藤祐羽(2年)、勝天嶺(3年)、MF安藤晴蕾(2年)、津野純希(3年)、大森健司(3年)、椿泰一郎(3年)、鈴木快空(2年)、FW斎藤瑛太主将(3年)という11人で試合を始め、MF小嶋逢朋(2年)を交代で送り出した。
新潟明訓は立ち上がりから、攻撃センス抜群という左SB勝が個の力で相手のプレスを攻略。クロス精度の高い椿と勝からチャンスが生まれ、大森や斎藤がヘディングシュートを打ち込む。


新潟明訓の左SB勝天嶺は攻撃力を発揮
一方の大阪学院は小野原明男監督が「ある程度ビルドアップからの背後であったり、背後で相手が間伸びしたら中間の空間取ってとか、その辺りはチームで、ビルドアップからのフィニッシュのイメージっていうのは結構今できている」と評したように、ビルドアップからシンプルに前線やサイドを活用。高尾の仕掛けから寺田がフィニッシュへ持ち込んだほか、剥がす力を見せるなど存在感のあった村崎のラストパスから寺田が決定的なループシュートを放つ。


大阪学院のFW寺田琉一主将がボールを収める
大阪学院は絶対的な存在の山本のカバーリングなどで相手の攻撃を食い止め、村崎や寺田を軸とした攻撃で主導権を握る。川井田が鋭い切り返しからシュートへ持ち込むなど1点を目指したが、新潟明訓は坂本監督が「CBはもう絶対なんで、ここが育たないと絶対ウチは勝てない」と重視するCBのDFリーダー・福原が跳ね返しの部分などで、加藤祐とともに奮闘。無失点を続け、30分ハーフの前半終了間際に先制した。


大阪学院のDFラインで存在感を放ったCB山本那由多


前半27分、新潟明訓MF鈴木快空が先制ゴール
新潟明訓は敵陣でボールを奪うと、大森が右からラストパス。斎藤がニアでDFを引き付け、その後方の鈴木が右足でゴールを破った。我慢強く戦いながら得点を取り切る力を発揮。だが、大阪学院は後半8分、「右サイドからクロスボールが来て、少しトラップが流れてしまったのですが、そのまま打ったら良いコースに飛んでいったので良かった。相手が結構ゴール前を固めるなと思っていたので、2列目から入ったらフリーでボールを受けられると前半から感じていた。そこを狙って行けた」という2年生の注目MF村崎が見事なゴールを決めて1-1とした。


後半8分、大阪学院MF村崎隆豪が同店ゴール
それでも新潟明訓は後半、「新潟、遠くから来ていて、親にもお金を出してもらっているんで凄く感謝しないといけない状況でサッカーができることに感謝をして、まず絶対目の前の試合に勝とうと思っていました」という注目エースの存在感が増す。F-THREE U-15時代にフットサルで全国大会出場経験を持つ斎藤がDFを背負いながらのキープや強引にマークを外す動きからシュートを連発する。昨年度の選手権予選で肩を脱臼し、半年間離脱。まだコンディションは万全ではないというが、この日午前の三重海星高戦でハットトリックを達成し、大阪学院戦でも一人でシュートを7本、8本と打ち込んでいた。
元々ボランチでFW大迫勇也(神戸)のプレーを見ながら試行錯誤。「自分はまだまだなんで、もっとこの夏で成長できるように。それで大学でもサッカーを続けて、絶対大学を通してプロになりたい」というストライカーは怖い存在になり続けていた。試合終了間際に左クロスからゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定。大阪学院も佐平のシュートブロックなどで踏ん張り、福山のドリブルやオカフォーの決定的なシュートでベンチを沸かせたが、こちらも2点目を奪うことはできなかった。


新潟明訓の守りの要、CB福原快成
新潟明訓は無敗をキープし、決勝トーナメント進出。斎藤が「ずっと1、2年生の頃は最弱世代、最弱世代って言われて、自分たちの学年、みんなそれがすごく悔しくて、勝つために冬期間やってきたので、こうして結果が少しずつ出始めてるのはすごくいいなと思っています。ちょっとずつですけど、今回の大会もプレミア勢のチーム(対鹿児島城西、2-2)といい戦いができたので、そこは少し自信になったと思います」と頷く。グループ1位こそ逃したものの、激戦ブロックを2位突破。昨年、今年とトーナメント戦で結果が出ていないだけに、強豪揃いの「ニューバランスカップ(NBC) in 堺ユースサッカーフェスティバル(2024)」で勝ち抜く経験をしたいところだ。
斎藤は「冬は帝京長岡さんという最大のライバルというか、強い相手がいるんですけど、あそこを倒さないと新潟の代表にはなれない。必ず勝って、絶対(選手権に)出たいと思います」。プリンスリーグ北信越1部の目標も優勝。そして、選手権予選でプレミアリーグを戦う帝京長岡高や他のライバルを上回るために、“叩き上げ世代”はこの夏、さらに変わる。


新潟明訓は決勝トーナメントでまた経験を重ねる
(取材・文 吉田太郎)