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「サッカーができる喜び」を噛み締めているオレンジのジャックナイフ。RB大宮U18MF小林柚希が「幼稚園から一緒」の盟友ボランチから受けている刺激

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大宮アルディージャU18の攻撃を牽引する左利きのジャックナイフ、MF小林柚希(2年=大宮アルディージャU15出身)

[5.10 プリンスリーグ関東1部第6節 RB大宮U18 2-1 帝京高 オレンジキューブアルディージャ練習場]

 思うようにボールを蹴ることすら叶わなかった悔しいシーズンを経て、表出したいエネルギーは溜まりに溜まっている。どんなステージに立っても、どんな相手と向かい合っても、やれる自信は間違いなくある。今年こそはサッカーができる喜びを心のど真ん中に携えて、必ず自分が主役になってやる。

「2025年はとにかく自分の強みを伸ばしたいです。ドリブル、パス、シュートと攻撃全般のプレーを全部伸ばしていきたいですし、チームとしてはプレミア昇格しか考えていないです」。

 年代別代表にも招集されている、RB大宮アルディージャU18(埼玉)の切れ味鋭いジャックナイフ。MF小林柚希(2年=大宮アルディージャU15出身)はケガに泣いた2024年の経験を糧に、新年度でのブレイクを自身に課している。


 前節のシーズン初黒星を受け、勝利だけを求めて臨んだプリンスリーグ関東1部第6節。帝京高(東京)と激突した一戦に、小林は右サイドハーフとしてスタートからピッチへと送り込まれる。

 ただ、本人も「自分としてはボールを受ける回数が少なかったので、違いをあまり作れなかったですね」と話したように、お互いにやや慎重に立ち上がった展開の中で、小林が推進力を生み出すようなシーンはなかなか訪れない。

 そもそもU15からU18に昇格してからは、度重なるケガに見舞われてきた。昨シーズンはプレミアリーグ開幕前の3月に、練習試合でヒザの前十字靱帯を傷め、そこから手術に踏み切ったことで、8か月近い戦線離脱を強いられる。

 厳しい時間を乗り切れたのは、同じ境遇に直面していた先輩たちの存在も大きかったという。「メンタル面も最初の3か月ぐらいはキツかったですけど、1個上の先輩で大関(駿)くんと平家(璃久斗)くんも大きなケガをしてしまっていて、その2人と一緒にリハビリしていたので、それは気持ち的にも大きかったなと思います」。

 実はU15に在籍していた中学2年時にも腰の分離症の影響で、やはり1年近くプレーできない時期を味わっていたこともあり、長期離脱は経験済み。ゆえに、そういう時こそ課題に向き合うことが、自分の成長を促すことは体感としてわかっていた。

「自分は身体がまだ細かったので、丹野さん(丹野友輔監督)にも言われたんですけど、身体の土台作りというところで、『ちゃんと身体を作ってから復帰しよう』と思って、筋トレはいっぱいやりましたね」。1年生の時間は身体づくりに注力し、来たるべき復帰のタイミングに向けて、着々と準備を整えていく。

 迎えた今シーズンは始動からトレーニングに励んでいたものの、今度はふくらはぎの肉離れで再離脱。その影響もあって、まだコンディションは完全に整っておらず、「先週の試合だと体力的にキツくて攣っちゃいました」とのこと。少しずつ試合に身体を慣らしているような状況だ。

 この日もスタメンに指名されたが、前述したように良い形で仕掛けるようなシーンは作り切れない。「公式戦ということもあって、自分が落ち着いて受けられる時間が少ないことはわかっていましたし、それでも来るチャンスをモノにしないと生き残っていけないので、今日も少しはあったチャンスを決めていかないといけないなと思いました」。

 2点をリードしていた後半23分には交代を命じられ、ベンチに下がる。「ここからコンディションが上がって、もっとチームの中にフィットすれば、もっと活躍できると思っているので、本人は慌てずにやってくれたらいいなと思います」とはチームを率いる丹野友輔監督。チームは2-1で勝利を手繰り寄せたが、小林が本調子を取り戻すには、もう少しゲーム経験を積み重ねる必要がありそうだ。



 今年の2月にはパラグアイ遠征に臨むU-17日本代表の活動に参加。昨シーズンは公式戦の出場機会がなかったにも関わらず、年代別代表に招集されることは異例だが、それだけそのポテンシャルが評価されているということ。小林も異国の地で新たな気づきを得てきたという。

「パラグアイでは身体が大きすぎる選手もいっぱいいたので、ドリブルとか、ボールタッチのところは集中してできましたね。少しでもタッチをミスしたら潰されてしまうので、そういうところで身体の使い方は学べましたし、あの代表活動があってから自分の中に余裕が出てきたというか、一番変わったのはメンタル的な部分だと思います。代表は周りの子たちもみんな上手いんですけど、その中で通用する部分もあったので、それは自信になりました」。

 パラグアイ遠征でともに代表招集を受け、そのままU17アジアカップでも主力としてU-17ワールドカップの出場権を勝ち獲ってきたMF神田泰斗(2年)は、小学生時代に所属していたインテルナチオナーレ前橋FCとPALAISTRA U-12時代からのチームメイト。U15時代は地元の群馬から埼玉の練習場まで、それぞれの親が代わる代わる車で送迎してくれていたとのこと。重ねてきた時間の分だけ、お互いのプレーは十分すぎるほどに理解し合っている。

「泰斗はサッカーをやっていても一番合いますね。実は幼稚園も同じで、家も近所で、もうサッカー観や考え方もわかっているので、スルーパスが来る時には『来るな』というのも感じます。泰斗は代表にも結構行っているので、自分も頑張らないとなという刺激を受けていますね」。

 今はチームの寮に入っているが、中学時代は3年間に渡って、決して近くはない距離を送り迎えしてくれた家族への感謝は尽きない。その想いを形にするためには、人生の軸に据えてきたサッカーで結果を出すしかないことも、小林ははっきりとわかっている。

「中学のころはだいぶ遠いところまで、夜遅い時間にも送迎してくれましたし、迷惑をかける部分は多かったので、ちゃんと恩返ししたいですね。それにはやっぱりプロになって、試合に出て、その試合に親を呼ぶことが一番の恩返しになると思います。あとは、ケガしていない今は何も痛いところがないので、そういう状況を楽しまないとなって。サッカーができるのが当たり前じゃないことはよくわかっているので、今を大切にしないとなとは思っています」。

 周囲が大きな期待を寄せたくなる才能は、間違いなく備わっている。ここからはそれを自分のプレーという形で、明確に示していくだけ。RB大宮U18の攻撃を牽引するオレンジレフティ。小林柚希は思う存分サッカーができる喜びを噛み締めながら、溜め込んできたエネルギーを眩く、力強く、解き放つ。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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