JクラブアカデミーのGKから強豪校のデュエルキングへ!「フィールド転向4年目」の青森山田MF菱田一清がプレミアの舞台で解き放つ圧倒的対人能力
[5.25 プレミアリーグEAST第9節 流通経済大柏高 2-1 青森山田高 流通経済大柏高グラウンド]
デュエル上等。マッチアップ上等。どんなにスピードがあっても、どんなにテクニックがあっても、自分のいる場所より後ろには絶対に行かせない。自分がこのエンブレムを付けて、このチームの名を背負って、ピッチに立っている意味を、120パーセントのプレーで証明し続けるだけだ。
「1対1は絶対負けたくないですし、小さいですけど空中戦でも負けたくないです。それこそ対人で言ったら自分は誰にも抜かれない自信があるので、そこでも代表の人たちには絶対に負けたくないですね」。
青森山田高(青森)が誇る、元ゴールキーパーのデュエルキング。MF菱田一清(3年=高槻ジーグFC)が青森の地で着実に磨き上げてきた力が今、プレミアのピッチで輝きを放ちつつある。
プレミアリーグEAST第9節。開幕4連敗という苦境に陥りながら、第5節からは4連勝と一気に好調に転じた青森山田。そんなチームの中で、ここまで全試合にフル出場を続けている菱田は、首位を快走する流通経済大柏とのビッグマッチにも、当然のようにスタメンリストへ名前を書き込まれる。
「試合前から正木さん(正木昌宣監督)に『相手もバチバチ来るぞ』と言われていましたし、自分もそういうところが好きなところなので、絶対に目の前の敵に負けない気持ちでやりました」。
守備で任されているタスクは右サイドバックで、相手の左サイドに位置するアタッカーをとにかく封じること。正木昌宣監督も「プレミアには左のサイドハーフに“とんでもない選手”がいっぱいいますからね」と笑ったように、この日の相手の左サイドにも10番を背負う安藤晃希が。プレミア有数のスピードスターを前に、燃えないはずがない。
こだわりのある1対1の対応は、「気持ち5割、技術5割です。相手との距離感も考えながら、自分の手で届く範囲だったら足の速い選手にも対応できるので、そういうところは意識しています」とのこと。間合いを図りながら、ここぞというタイミングでアプローチして、一気にボールを刈り取る。
安藤とのマッチアップは迫力十分。加速する相手に食らい付き、身体を寄せ、時には激しいスライディングタックルも。2人の意地の張り合いは、このゲームの中のハイライトの1つだったと言っても過言ではないだろう。


さらにチームの大きな武器になっているのは、「もう筋肉で投げています(笑)。肩も強いほうだと思います」という24番のロングスロー。この日もスコアレスで迎えた後半12分に、左から菱田が飛距離十分の軌道を投げ込むと、最後はFW井上愼太(3年)が先制ゴールをゲット。得点にきっちりと関与してみせる。
試合はその後に2失点を喫して逆転負けを喫したものの、「負けちゃいましたけど、流経相手に全然やれていましたし、あとは前が決めて、後ろが守り抜くだけなので、インハイに切り替えていきたいと思っています」と口にした右サイドバックのパフォーマンスが、90分間を通じて及第点以上のものだったことは間違いない。
右サイドから積極的にチームメイトへ指示の声を出す姿も印象的だが、「ずっとキーパーをやっていたので、コーチングもそこまで意識せずにやれているのかなと思います」と話したように、もともと菱田はフィールドプレーヤーではなかったという。
「小3の時に地区のトレセンがあって、チームの監督に『キーパーで行くか、フィールドで行くか、どっちがいい?』と言われて、その時に『キーパーで行きます』と言ってから、ずっとキーパーをやっていました」。
小学校3年生から始めたゴールキーパーとしての評価も高く、中学時代はスカウトを受けて名門のガンバ大阪ジュニアユースに入団。当時の同期であり、今や年代トップクラスの評価を得ている荒木琉偉(ガンバ大阪ユース)とも切磋琢磨する中で、プレミアリーグの登録メンバーにも名前を連ねていたが、少しずつ自分の中で新たなチャレンジへの意欲が湧き上がっていく。
「自分はキーパー目線で1対1を後ろからずっと見ていたんですけど、『自分だったらこうするのにな』という気持ちがあって、少しずつ『フィールドをやりたいな』と思っていったので、自分の中で『もうフィールドをやる』と覚悟を決めました」。
大きな覚悟を持ってガンバ大阪を退団し、中学2年の冬からは高槻ジーグFCでフィールドプレーヤーとしてのキャリアをスタートさせると、その対人の強さを含めた能力を評価され、青森山田から声が掛かる。ゴールキーパーからの転向はわずかに1年で、菱田は高体連屈指の強豪に身を投じる道を自ら選んだのだ。


2年生だった昨シーズンは、前半戦最後の柏レイソルU-18戦でプレミアデビューを飾ったものの、基本的にはセカンドチームの一員としてプリンスリーグ東北を主戦場に置いていたが、「ずっと自信を持ってサッカーをやっているので、『絶対上のチームで出る』という想いは持ち続けていました」と向上心を燃やし続けてきた。
迎えた高校ラストイヤーは、右サイドバックとボランチの併用で前述したようにここまでのプレミア全9試合、810分間にフル出場を継続。正木監督も「彼が今一番信頼できますね。プレミアで9試合やったけど、対人ではリーグでナンバーワンじゃないかなというぐらい良い対応ができていますね」と高評価を口に。確実に欠かせない主力選手の地位を築きつつある。
年代最高峰のリーグで重ねてきた経験値は、その成長速度も加速させてくれる。「プレミアは全然レベルが違いますけど、どこでも自分はやることは変わらないので。嫌という選手はいないですね。でも、上手かったのは長選手(長璃喜/昌平高)と加茂選手(加茂結斗/柏レイソルU-18)です」。強烈なアタッカーを抑え続けることで、自身の価値も高めていく。
ここからはインターハイ予選がスタート。チームにとっては県内の連勝記録と連覇記録が懸かる、絶対に負けられない試合が続くが、菱田の言葉に気負いは見られない。「まずは県予選をしっかり勝ちたいですし、三冠を目指しているので、まずはインターハイでも全国で一冠を獲って、プレミアが再開したら、流経にリベンジしたいと思います」。
デュエル上等。マッチアップ上等。青森山田の対人マスター。自分の特徴を最大限まで突き詰めて、すべてをグラウンドの中で出し尽くす菱田一清のブレない姿勢はきっと、これからもこのチームにさらなる強烈なエネルギーをもたらし続けていくはずだ。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中
デュエル上等。マッチアップ上等。どんなにスピードがあっても、どんなにテクニックがあっても、自分のいる場所より後ろには絶対に行かせない。自分がこのエンブレムを付けて、このチームの名を背負って、ピッチに立っている意味を、120パーセントのプレーで証明し続けるだけだ。
「1対1は絶対負けたくないですし、小さいですけど空中戦でも負けたくないです。それこそ対人で言ったら自分は誰にも抜かれない自信があるので、そこでも代表の人たちには絶対に負けたくないですね」。
青森山田高(青森)が誇る、元ゴールキーパーのデュエルキング。MF菱田一清(3年=高槻ジーグFC)が青森の地で着実に磨き上げてきた力が今、プレミアのピッチで輝きを放ちつつある。
プレミアリーグEAST第9節。開幕4連敗という苦境に陥りながら、第5節からは4連勝と一気に好調に転じた青森山田。そんなチームの中で、ここまで全試合にフル出場を続けている菱田は、首位を快走する流通経済大柏とのビッグマッチにも、当然のようにスタメンリストへ名前を書き込まれる。
「試合前から正木さん(正木昌宣監督)に『相手もバチバチ来るぞ』と言われていましたし、自分もそういうところが好きなところなので、絶対に目の前の敵に負けない気持ちでやりました」。
守備で任されているタスクは右サイドバックで、相手の左サイドに位置するアタッカーをとにかく封じること。正木昌宣監督も「プレミアには左のサイドハーフに“とんでもない選手”がいっぱいいますからね」と笑ったように、この日の相手の左サイドにも10番を背負う安藤晃希が。プレミア有数のスピードスターを前に、燃えないはずがない。
こだわりのある1対1の対応は、「気持ち5割、技術5割です。相手との距離感も考えながら、自分の手で届く範囲だったら足の速い選手にも対応できるので、そういうところは意識しています」とのこと。間合いを図りながら、ここぞというタイミングでアプローチして、一気にボールを刈り取る。
安藤とのマッチアップは迫力十分。加速する相手に食らい付き、身体を寄せ、時には激しいスライディングタックルも。2人の意地の張り合いは、このゲームの中のハイライトの1つだったと言っても過言ではないだろう。


さらにチームの大きな武器になっているのは、「もう筋肉で投げています(笑)。肩も強いほうだと思います」という24番のロングスロー。この日もスコアレスで迎えた後半12分に、左から菱田が飛距離十分の軌道を投げ込むと、最後はFW井上愼太(3年)が先制ゴールをゲット。得点にきっちりと関与してみせる。
試合はその後に2失点を喫して逆転負けを喫したものの、「負けちゃいましたけど、流経相手に全然やれていましたし、あとは前が決めて、後ろが守り抜くだけなので、インハイに切り替えていきたいと思っています」と口にした右サイドバックのパフォーマンスが、90分間を通じて及第点以上のものだったことは間違いない。
右サイドから積極的にチームメイトへ指示の声を出す姿も印象的だが、「ずっとキーパーをやっていたので、コーチングもそこまで意識せずにやれているのかなと思います」と話したように、もともと菱田はフィールドプレーヤーではなかったという。
「小3の時に地区のトレセンがあって、チームの監督に『キーパーで行くか、フィールドで行くか、どっちがいい?』と言われて、その時に『キーパーで行きます』と言ってから、ずっとキーパーをやっていました」。
小学校3年生から始めたゴールキーパーとしての評価も高く、中学時代はスカウトを受けて名門のガンバ大阪ジュニアユースに入団。当時の同期であり、今や年代トップクラスの評価を得ている荒木琉偉(ガンバ大阪ユース)とも切磋琢磨する中で、プレミアリーグの登録メンバーにも名前を連ねていたが、少しずつ自分の中で新たなチャレンジへの意欲が湧き上がっていく。
「自分はキーパー目線で1対1を後ろからずっと見ていたんですけど、『自分だったらこうするのにな』という気持ちがあって、少しずつ『フィールドをやりたいな』と思っていったので、自分の中で『もうフィールドをやる』と覚悟を決めました」。
大きな覚悟を持ってガンバ大阪を退団し、中学2年の冬からは高槻ジーグFCでフィールドプレーヤーとしてのキャリアをスタートさせると、その対人の強さを含めた能力を評価され、青森山田から声が掛かる。ゴールキーパーからの転向はわずかに1年で、菱田は高体連屈指の強豪に身を投じる道を自ら選んだのだ。


2年生だった昨シーズンは、前半戦最後の柏レイソルU-18戦でプレミアデビューを飾ったものの、基本的にはセカンドチームの一員としてプリンスリーグ東北を主戦場に置いていたが、「ずっと自信を持ってサッカーをやっているので、『絶対上のチームで出る』という想いは持ち続けていました」と向上心を燃やし続けてきた。
迎えた高校ラストイヤーは、右サイドバックとボランチの併用で前述したようにここまでのプレミア全9試合、810分間にフル出場を継続。正木監督も「彼が今一番信頼できますね。プレミアで9試合やったけど、対人ではリーグでナンバーワンじゃないかなというぐらい良い対応ができていますね」と高評価を口に。確実に欠かせない主力選手の地位を築きつつある。
年代最高峰のリーグで重ねてきた経験値は、その成長速度も加速させてくれる。「プレミアは全然レベルが違いますけど、どこでも自分はやることは変わらないので。嫌という選手はいないですね。でも、上手かったのは長選手(長璃喜/昌平高)と加茂選手(加茂結斗/柏レイソルU-18)です」。強烈なアタッカーを抑え続けることで、自身の価値も高めていく。
ここからはインターハイ予選がスタート。チームにとっては県内の連勝記録と連覇記録が懸かる、絶対に負けられない試合が続くが、菱田の言葉に気負いは見られない。「まずは県予選をしっかり勝ちたいですし、三冠を目指しているので、まずはインターハイでも全国で一冠を獲って、プレミアが再開したら、流経にリベンジしたいと思います」。
デュエル上等。マッチアップ上等。青森山田の対人マスター。自分の特徴を最大限まで突き詰めて、すべてをグラウンドの中で出し尽くす菱田一清のブレない姿勢はきっと、これからもこのチームにさらなる強烈なエネルギーをもたらし続けていくはずだ。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中



