ポジティブな割り切りと戦力の底上げが広げるチームでやれることの幅。横浜FCユースは昌平にウノゼロで競り勝って今季初の連勝達成!
[6.21 プレミアリーグEAST第10節 横浜FCユース 1-0 昌平高 神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場]
どこか乗り切れない流れが続いていたディフェンディングチャンピオンは、改めて目の前の1試合1試合に向き合う姿勢を徹底する。やるべきことを、やる。戦うべきところで、戦う。それを出し切れる選手が少しずつ増えていく中で、チームの輪が少しずつ、少しずつ、大きくなってきていることは間違いない。
「この2試合はどちらもボールを握られる展開の中で勝ち切ったんですけど、去年あったような粘り強さが少しずつ出てきたのかなと。連勝が続いた中で、今度は自分たちがどうボールを握っていくかのというのを、勝ち続けながら日々試行錯誤してやっていければ、より良いチームを作っていけるのかなとは思います」(横浜FCユース・佃颯太)
ボールを握られる展開にも、慌てず、騒がず、ウノゼロ勝利!21日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第10節で、横浜FCユース(神奈川)と昌平高(埼玉)が激突した一戦は、前半23分にFW齋藤翔(2年)が挙げたゴールがそのまま決勝点となり、横浜FCユースが1-0で勝利。今季初の連勝を飾っている。
試合開始からゲームのペースを引き寄せたのは、「映像を見ていても横浜FCさんがとっても鍛えられていて、とにかくみんなで頑張ろうとする良いチームだったので、我々も自分の良さをピッチ上でどれだけ出せるかというところで、大前提は『絶対にボールを持とうぜ』というところでスタートしました」と芦田徹監督も話した昌平。DF伊藤隆寛(3年)とDF高橋心晴(3年)のセンターバックコンビに、GK小野寺太郎(3年)とボランチのMF飯島碧大(2年)も加え、丁寧にボールを動かしながらテンポアップのタイミングを探っていく。
5分に飯島が右サイドから直接狙ったFKは、横浜FCユースGK櫻井斗真(3年)が丁寧にキャッチ。8分にもMF山口豪太(3年)、MF人見大地(2年)とパスを繋ぎ、飯島が枠へ収めたシュートはここも櫻井がファインセーブ。その直後にも左からMF長璃喜(3年)が右へ流し、山口がカットインから放ったシュートはわずかにゴール左へ逸れたものの、アウェイチームが先制への意欲を前面に打ち出す。


押し込まれる展開の中で、「中にしっかりブロックを作って守りながら、ボールにはしっかりサイドの選手を行かせようと考えていました」と既にトップチームとプロ契約を締結しているDF秦樹(3年)も話した横浜FCユースは、ようやく18分にセットプレーからファーストチャンス。右サイド、ゴールまで約25メートルの位置からMF矢内翔磨(3年)が蹴った枠内FKは、小野寺がファインセーブで凌ぐも、ホームチームの歓喜が弾けたのは、その5分後。
23分。センターバックのDF大川萊(3年)が縦パスを突き刺し、ギャップで受けたFW黒木星南(2年)は少し運んでスルーパス。「もうペナルティエリアの中にいるという認識はできていましたし、そこは自分のエリアだと思っています」という齋藤は巧みなラインブレイクから左足一閃。ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さる。この試合が終わるとイタリアへの短期留学が控えているストライカーが、きっちり一仕事。1-0。やや劣勢だった横浜FCユースが先にアドバンテージを握る。


リズム反転。35分は横浜FCユース。左サイドを黒木がドリブルでえぐり、折り返しにMF福岡湧大(2年)が合わせたシュートはGKを破るも、カバーに入った昌平DF安藤愛斗(3年)がスーパークリア。45+2分も横浜FCユース。ここも左サイドをMF鈴木晴弥(2年)が切り裂き、クロスを収めた齋藤のシュートは高橋のブロックに阻まれたものの、ホームチームが2点目の香りを漂わせながら、最初の45分間は終了した。
「自分がボールを持って顔を上げたら、青いユニフォームがメッチャいましたし、結構ブロックを敷かれていたなという印象がありました」(山口)。ボールを握る昌平に、奪ったところからの速い攻撃を狙う横浜FCユース。後半も大きな構図は変わらない中で、時計の針が進んでいく。
ただ、お互いの指揮官が話していた言葉が、実際の両者の感じていた印象を過不足なく表している。「展開がこうなるだろうなとは思っていなかったですけど、持たれる位置はある程度予想できたので、そこは慌てることなくできたかなと思います」(横浜FCユース・和田拓三監督)「特に後半はもう10メートル前でボールを持てれば、たぶん最後の残り10分15分でスペースも空いてきたと思うんですよ。どうしても目の前でのパスが多すぎて、センターバックの選手たちを引きずり出すところまでは行っていないという感じでした」(芦田監督)
横浜FCユースは右のDF松尾蒼大(3年)と矢内、左の佃とMF椿渥裕(2年)と、両サイドバックとサイドハーフの2枚態勢でそれぞれ長と山口の両ウイングを監視しつつ、「萊と自分が動きすぎちゃうと、そこを狙って蹴られると思っていた」という秦と大川のセンターバックは中央をきっちり固め、福岡とMF管野心人(3年)のドイスボランチもセカンド回収に奔走。守備の勘所を押さえた対応で、時間を追うごとに安定感が増していく。
やや昌平がブロック突破のポイントを探しあぐねる一方で、手数を出すのは横浜FCユース。後半20分には齋藤のパスを受け、佃が得意のオーバーラップからエリア内へ侵入し、1人外して打ったシュートは伊藤が何とかブロック。27分にも黒木、齋藤、福岡、佃とパスを繋ぎ、鈴木のカットインシュートは小野寺がファインセーブで応酬するも、追加点が生まれそうな雰囲気は横浜FCユースに。
攻撃のカードを次々と切った昌平も、終盤にはチャンスを続けて創出。43分。中央やや右、ゴールまで25メートル強の位置から山口が直接狙ったFKは枠の右へ。45分。MF佐伯優斗(3年)、山口と回ったボールから、FW島田大雅(2年)が打ち切ったシュートはゴール左へ。45+6分。山口がドリブルで仕掛け、FW白須裕基(2年)、島田が粘って残し、飯島が放ったシュートは枠を捉えるも、必死に飛び付いた櫻井がビッグセーブ。同点ゴールには届かない。
6分近いアディショナルタイムが過ぎ去ると、タイムアップのホイッスルが鳴り響く。「苦しい時間は多かったですけど、それをネガティブに思わず、ポジティブに粘り強くプレーできたので、そこがしっかりと結果に繋がったことが良かったかなと思います」と和田監督も話した横浜FCユースが、粘り強いゲーム運びで逃げ切りに成功。ウノゼロ勝利で連勝を手繰り寄せる結果となった。


「『連勝していこう』というふうには伝えていなくて、昨年同様に一戦一戦勝てるゲームを勝っていこうというところにフォーカスしてやっている中で、そういうゲームを落とすことが今年は多いんですけど、今日は『しっかりと自分たちのやることをやって勝ち切る』というところがこういう結果になったと思います」(和田監督)
横浜FCユースはここまでのリーグ戦10試合を見ると、実に7試合で先制点を奪っている。とりわけ開幕4戦はいずれも先制したものの、結果は1勝2分け1敗。追い付かれて引き分ける試合もあれば、痛恨の逆転負けを喫する試合もあり、勝点を積み上げ切れない時間が続いていた。
アカデミー自体が志向している基本的なスタイルはポゼッション。丁寧にボールを繋いでいくサッカーを目指しているが、もちろんいつでもそれを貫けるわけではない。そんな中で思ったような展開にならなくても、ある意味で割り切って戦う幅もチームは身に付けつつあるようだ。
「なかなか勝てない苦しい展開の中で、サブの選手も中心になって声を掛け続けてくれたので、出ている選手も『責任を持って戦おう』という強い想いを持ってピッチに立っていますし、その中で粘り強い守備から速いカウンターでゴールというのも、自分たちの1つの戦い方として形になってきたなと思います」(佃)


加えてケガ人が相次いだことで、昨季は出場機会の少なかった選手たちがプレミアの舞台に解き放たれ、ハイレベルな環境を肌で感じながら、着々と成長。この日も黒木や椿といった2年生が存在感を発揮し、チームの勝利にもきっちり貢献している。
和田監督もその点を強調しつつ、前半戦のラストゲームとなる次節の試合にも言及する。「昨年は出ていない選手が活躍することが底上げになると思うので、そういったところが今、少しずつ出始めているのかなと。今年の初めは、去年出た選手が中心となるのは全然いいんですけど、そこに他の選手が付いていけていなかったというのがあった中で、やっと少しずつ底上げできて、試合に出る経験が増えてきているので、そうなってきているのは選手個人としてもチームとしてもプラス材料で、ここでまた結果と内容のすり合わせができるように、もう1試合もしっかりと良い形で戦って、前半戦を終われればいいのかなと思います」。
個人でやれることの総和の積み上げがもたらすのは、チームでやれることのさらなる広がり。連勝達成で確かに見え始めた、反転攻勢の兆し。2025年の横浜FCユースは、ここからがさらに面白くなりそうだ。


(取材・文 土屋雅史)
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どこか乗り切れない流れが続いていたディフェンディングチャンピオンは、改めて目の前の1試合1試合に向き合う姿勢を徹底する。やるべきことを、やる。戦うべきところで、戦う。それを出し切れる選手が少しずつ増えていく中で、チームの輪が少しずつ、少しずつ、大きくなってきていることは間違いない。
「この2試合はどちらもボールを握られる展開の中で勝ち切ったんですけど、去年あったような粘り強さが少しずつ出てきたのかなと。連勝が続いた中で、今度は自分たちがどうボールを握っていくかのというのを、勝ち続けながら日々試行錯誤してやっていければ、より良いチームを作っていけるのかなとは思います」(横浜FCユース・佃颯太)
ボールを握られる展開にも、慌てず、騒がず、ウノゼロ勝利!21日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第10節で、横浜FCユース(神奈川)と昌平高(埼玉)が激突した一戦は、前半23分にFW齋藤翔(2年)が挙げたゴールがそのまま決勝点となり、横浜FCユースが1-0で勝利。今季初の連勝を飾っている。
試合開始からゲームのペースを引き寄せたのは、「映像を見ていても横浜FCさんがとっても鍛えられていて、とにかくみんなで頑張ろうとする良いチームだったので、我々も自分の良さをピッチ上でどれだけ出せるかというところで、大前提は『絶対にボールを持とうぜ』というところでスタートしました」と芦田徹監督も話した昌平。DF伊藤隆寛(3年)とDF高橋心晴(3年)のセンターバックコンビに、GK小野寺太郎(3年)とボランチのMF飯島碧大(2年)も加え、丁寧にボールを動かしながらテンポアップのタイミングを探っていく。
5分に飯島が右サイドから直接狙ったFKは、横浜FCユースGK櫻井斗真(3年)が丁寧にキャッチ。8分にもMF山口豪太(3年)、MF人見大地(2年)とパスを繋ぎ、飯島が枠へ収めたシュートはここも櫻井がファインセーブ。その直後にも左からMF長璃喜(3年)が右へ流し、山口がカットインから放ったシュートはわずかにゴール左へ逸れたものの、アウェイチームが先制への意欲を前面に打ち出す。


チャンスへ積極的に絡んだ昌平MF山口豪太
押し込まれる展開の中で、「中にしっかりブロックを作って守りながら、ボールにはしっかりサイドの選手を行かせようと考えていました」と既にトップチームとプロ契約を締結しているDF秦樹(3年)も話した横浜FCユースは、ようやく18分にセットプレーからファーストチャンス。右サイド、ゴールまで約25メートルの位置からMF矢内翔磨(3年)が蹴った枠内FKは、小野寺がファインセーブで凌ぐも、ホームチームの歓喜が弾けたのは、その5分後。
23分。センターバックのDF大川萊(3年)が縦パスを突き刺し、ギャップで受けたFW黒木星南(2年)は少し運んでスルーパス。「もうペナルティエリアの中にいるという認識はできていましたし、そこは自分のエリアだと思っています」という齋藤は巧みなラインブレイクから左足一閃。ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さる。この試合が終わるとイタリアへの短期留学が控えているストライカーが、きっちり一仕事。1-0。やや劣勢だった横浜FCユースが先にアドバンテージを握る。


FW齋藤翔のゴールで横浜FCユースが先制!
リズム反転。35分は横浜FCユース。左サイドを黒木がドリブルでえぐり、折り返しにMF福岡湧大(2年)が合わせたシュートはGKを破るも、カバーに入った昌平DF安藤愛斗(3年)がスーパークリア。45+2分も横浜FCユース。ここも左サイドをMF鈴木晴弥(2年)が切り裂き、クロスを収めた齋藤のシュートは高橋のブロックに阻まれたものの、ホームチームが2点目の香りを漂わせながら、最初の45分間は終了した。
「自分がボールを持って顔を上げたら、青いユニフォームがメッチャいましたし、結構ブロックを敷かれていたなという印象がありました」(山口)。ボールを握る昌平に、奪ったところからの速い攻撃を狙う横浜FCユース。後半も大きな構図は変わらない中で、時計の針が進んでいく。
ただ、お互いの指揮官が話していた言葉が、実際の両者の感じていた印象を過不足なく表している。「展開がこうなるだろうなとは思っていなかったですけど、持たれる位置はある程度予想できたので、そこは慌てることなくできたかなと思います」(横浜FCユース・和田拓三監督)「特に後半はもう10メートル前でボールを持てれば、たぶん最後の残り10分15分でスペースも空いてきたと思うんですよ。どうしても目の前でのパスが多すぎて、センターバックの選手たちを引きずり出すところまでは行っていないという感じでした」(芦田監督)
横浜FCユースは右のDF松尾蒼大(3年)と矢内、左の佃とMF椿渥裕(2年)と、両サイドバックとサイドハーフの2枚態勢でそれぞれ長と山口の両ウイングを監視しつつ、「萊と自分が動きすぎちゃうと、そこを狙って蹴られると思っていた」という秦と大川のセンターバックは中央をきっちり固め、福岡とMF管野心人(3年)のドイスボランチもセカンド回収に奔走。守備の勘所を押さえた対応で、時間を追うごとに安定感が増していく。
やや昌平がブロック突破のポイントを探しあぐねる一方で、手数を出すのは横浜FCユース。後半20分には齋藤のパスを受け、佃が得意のオーバーラップからエリア内へ侵入し、1人外して打ったシュートは伊藤が何とかブロック。27分にも黒木、齋藤、福岡、佃とパスを繋ぎ、鈴木のカットインシュートは小野寺がファインセーブで応酬するも、追加点が生まれそうな雰囲気は横浜FCユースに。
攻撃のカードを次々と切った昌平も、終盤にはチャンスを続けて創出。43分。中央やや右、ゴールまで25メートル強の位置から山口が直接狙ったFKは枠の右へ。45分。MF佐伯優斗(3年)、山口と回ったボールから、FW島田大雅(2年)が打ち切ったシュートはゴール左へ。45+6分。山口がドリブルで仕掛け、FW白須裕基(2年)、島田が粘って残し、飯島が放ったシュートは枠を捉えるも、必死に飛び付いた櫻井がビッグセーブ。同点ゴールには届かない。
6分近いアディショナルタイムが過ぎ去ると、タイムアップのホイッスルが鳴り響く。「苦しい時間は多かったですけど、それをネガティブに思わず、ポジティブに粘り強くプレーできたので、そこがしっかりと結果に繋がったことが良かったかなと思います」と和田監督も話した横浜FCユースが、粘り強いゲーム運びで逃げ切りに成功。ウノゼロ勝利で連勝を手繰り寄せる結果となった。


「『連勝していこう』というふうには伝えていなくて、昨年同様に一戦一戦勝てるゲームを勝っていこうというところにフォーカスしてやっている中で、そういうゲームを落とすことが今年は多いんですけど、今日は『しっかりと自分たちのやることをやって勝ち切る』というところがこういう結果になったと思います」(和田監督)
横浜FCユースはここまでのリーグ戦10試合を見ると、実に7試合で先制点を奪っている。とりわけ開幕4戦はいずれも先制したものの、結果は1勝2分け1敗。追い付かれて引き分ける試合もあれば、痛恨の逆転負けを喫する試合もあり、勝点を積み上げ切れない時間が続いていた。
アカデミー自体が志向している基本的なスタイルはポゼッション。丁寧にボールを繋いでいくサッカーを目指しているが、もちろんいつでもそれを貫けるわけではない。そんな中で思ったような展開にならなくても、ある意味で割り切って戦う幅もチームは身に付けつつあるようだ。
「なかなか勝てない苦しい展開の中で、サブの選手も中心になって声を掛け続けてくれたので、出ている選手も『責任を持って戦おう』という強い想いを持ってピッチに立っていますし、その中で粘り強い守備から速いカウンターでゴールというのも、自分たちの1つの戦い方として形になってきたなと思います」(佃)


加えてケガ人が相次いだことで、昨季は出場機会の少なかった選手たちがプレミアの舞台に解き放たれ、ハイレベルな環境を肌で感じながら、着々と成長。この日も黒木や椿といった2年生が存在感を発揮し、チームの勝利にもきっちり貢献している。
和田監督もその点を強調しつつ、前半戦のラストゲームとなる次節の試合にも言及する。「昨年は出ていない選手が活躍することが底上げになると思うので、そういったところが今、少しずつ出始めているのかなと。今年の初めは、去年出た選手が中心となるのは全然いいんですけど、そこに他の選手が付いていけていなかったというのがあった中で、やっと少しずつ底上げできて、試合に出る経験が増えてきているので、そうなってきているのは選手個人としてもチームとしてもプラス材料で、ここでまた結果と内容のすり合わせができるように、もう1試合もしっかりと良い形で戦って、前半戦を終われればいいのかなと思います」。
個人でやれることの総和の積み上げがもたらすのは、チームでやれることのさらなる広がり。連勝達成で確かに見え始めた、反転攻勢の兆し。2025年の横浜FCユースは、ここからがさらに面白くなりそうだ。


(取材・文 土屋雅史)
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