[MOM5139]横浜FCユースFW齋藤翔(2年)_イタリア短期留学を控える常に100パーセントのアグレッシブな背番号9が貴重な決勝点!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.21 プレミアリーグEAST第10節 横浜FCユース 1-0 昌平高 神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場]
とにかくアグレッシブさが際立っている。ゴールに向かうパワーも、ボールホルダーにプレッシャーを掛けるスピードも、常に感じるのは100パーセント以上のエネルギー。そのうえで試合を決める得点まで奪ってしまうのだから、対戦相手にしてみれば厄介極まりない。
「自分は9番を任せてもらっているので、その責任として、自分が点を獲ってチームを勝たせるというのはいつも意識していることです。最近は点を決められていなかったですけど、今日は自分のゴールで勝てたので、今後もチームを勝たせられるようにしたいです」。
昨シーズンのプレミア王者・横浜FCユース(神奈川)に台頭してきた、背番号9のストライカー。FW齋藤翔(2年=横浜FCジュニアユース出身)はチームの勝敗を左右するだけの存在感を、間違いなく纏い始めている。
今季初の連勝を目指して昌平高(埼玉)と対峙した、プレミアリーグEAST第10節。試合序盤から相手にボールを持たれる時間が長くなった横浜FCユースは、我慢の展開を強いられながらも、一刺しできるタイミングをチーム全体で窺う。
少しだけ相手の圧力が弱まり、後方でもパスが動くようになってきた飲水タイムの直前。全体のギアが一瞬で上がる。23分。センターバックのDF大川萊(3年)が鋭い縦パスを打ち込むと、フリーで受けたFW黒木星南(2年)は反転してドリブル開始。その瞬間、もう齋藤の頭の中でイメージはできていた。
ワンフェイクで中に潜りかけ、プルアウェイの動きで膨らんだ足元に、黒木からの完璧なボールが届く。「もうペナルティエリアの中にいるという認識はできていましたし、そこはもう自分のエリアだと思っています」。選択肢はシュート一択。GKの位置を見極め、冷静に左スミのゴールネットへボールを流し込む。


「ああいうシュートは最近外してきていたんですけど、今週はトレーニングから“流す”ということは意識していた中で、あのシーンもキーパーの動きを見て、落ち着いて逆を取って、スミに流せば入るというのはわかっていたので、それができた結果がゴールになって良かったです」。
拳を力強く点に突き上げ、自らのゴールをアピールすると、チームメイトたちも殊勲のスコアラーに次々と駆け寄ってくる。「足元で受けて、前向きで1対1を仕掛けていくことと、背後に出たときの1対1ならもう行けるという自信を持ってやっていますね」と言い切る9番の一撃。ホームチームが先制点を奪う。




前半終了間際の45+2分には追加点のチャンス。左サイドをMF鈴木晴弥(2年)がドリブルで運び、マイナス気味にクロス。齋藤はトラップからマーカーを剥がしにかかり、浮き球をシュートまで持ち込むも相手のブロックに遭ってしまう。
惜しくもこの日2点目とはならなかったが、「トラップして、落ち着いてかわせたんですけど、あそこでまた下に打てると、相手の足に当たらずに下から行くかなと思いました」と改善のアイデアははっきりと浮かんでいたようだ。
試合はそのまま1-0で終了。チームを率いる和田拓三監督も「練習からしっかり自分と向き合ってやれているので、いずれ点は獲れるようになるだろうなとは思いながらも、まだまだ彼には成長してもらわないと困るので、プロというところを考えてしっかりと要求していきたいと思います」と高いハードルを課している齋藤の1点が、横浜FCユースに連勝の歓喜をもたらした。
1年生だった昨シーズンの齋藤は、プレミアのラスト3試合でスタメンに指名され、最終節で手繰り寄せたEAST制覇も経験。ファイナルでの出場機会こそなかったものの、ハイレベルな先輩たちと切磋琢磨する環境の中で、貴重な時間を積み重ねた。
「去年はみんな年上の中で、自分が1人だけ1年生で出るという感じだったんですけど、チームも仕上がっている中でゲームに出させてもらって、緊張もしながら『やってやろう』と思い切ってやる感じがありました。今年もそれは変わらず、『チャレンジャーとしてやっていく』という想いはあるので、今後も思い切ってやれたらなと思っています」。
常に心がけるのは、全力を出し切ること。本人が発した言葉も興味深い。「守備では、狙えるところは100パーセントで狙わないといけないので、相手にパスを出させて奪うことを考えています。攻撃でも背後で受けるために、『背後には抜けないよ』みたいな雰囲気を出してから、『一気に、ドン』みたいに、一瞬の動きで100パーセントで抜けられるようにということは意識しています」。攻守で100パーセントを出し切るプレーは、見ている者が爽快感すら覚えるほどだ。


この試合の直後からは、JFAの『育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD』というプロジェクトのメンバーに選出されたため、セリエAに所属するコモ1907の『エリートパフォーマンスサマーキャンプ』へ約2週間参加することになる。
「今日ゴールを決めて、チームを勝たせられたので、そこは自信を持っていきたいですし、海外の人とも積極的にコミュニケーションを取って、無駄のない2週間を送りたいです」と話す齋藤には、チーム関係者から試合後にも次々とエールが送られていたが、そのたびに明るい表情で応えていくあたりに、そのパーソナリティが垣間見える。
基本的には楽観的なタイプ。「『言葉が通じるかな?』という心配事はありますし、全然海外も言ったことがないのでわからないですけど、『まあ、大丈夫でしょ』みたいな感じです(笑)」というスタンスも頼もしい。
参考にしている選手がルイス・スアレスとセルヒオ・アグエロだというのも大いに納得できる、横浜FCユースの成長著しいアグレッシブストライカー。いつでもチャレンジする姿勢を貫く齋藤翔は、ひたすら前だけを見据えて、さらなる高みへと続いているはずの階段を、力強く翔け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
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[6.21 プレミアリーグEAST第10節 横浜FCユース 1-0 昌平高 神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場]
とにかくアグレッシブさが際立っている。ゴールに向かうパワーも、ボールホルダーにプレッシャーを掛けるスピードも、常に感じるのは100パーセント以上のエネルギー。そのうえで試合を決める得点まで奪ってしまうのだから、対戦相手にしてみれば厄介極まりない。
「自分は9番を任せてもらっているので、その責任として、自分が点を獲ってチームを勝たせるというのはいつも意識していることです。最近は点を決められていなかったですけど、今日は自分のゴールで勝てたので、今後もチームを勝たせられるようにしたいです」。
昨シーズンのプレミア王者・横浜FCユース(神奈川)に台頭してきた、背番号9のストライカー。FW齋藤翔(2年=横浜FCジュニアユース出身)はチームの勝敗を左右するだけの存在感を、間違いなく纏い始めている。
今季初の連勝を目指して昌平高(埼玉)と対峙した、プレミアリーグEAST第10節。試合序盤から相手にボールを持たれる時間が長くなった横浜FCユースは、我慢の展開を強いられながらも、一刺しできるタイミングをチーム全体で窺う。
少しだけ相手の圧力が弱まり、後方でもパスが動くようになってきた飲水タイムの直前。全体のギアが一瞬で上がる。23分。センターバックのDF大川萊(3年)が鋭い縦パスを打ち込むと、フリーで受けたFW黒木星南(2年)は反転してドリブル開始。その瞬間、もう齋藤の頭の中でイメージはできていた。
ワンフェイクで中に潜りかけ、プルアウェイの動きで膨らんだ足元に、黒木からの完璧なボールが届く。「もうペナルティエリアの中にいるという認識はできていましたし、そこはもう自分のエリアだと思っています」。選択肢はシュート一択。GKの位置を見極め、冷静に左スミのゴールネットへボールを流し込む。


「ああいうシュートは最近外してきていたんですけど、今週はトレーニングから“流す”ということは意識していた中で、あのシーンもキーパーの動きを見て、落ち着いて逆を取って、スミに流せば入るというのはわかっていたので、それができた結果がゴールになって良かったです」。
拳を力強く点に突き上げ、自らのゴールをアピールすると、チームメイトたちも殊勲のスコアラーに次々と駆け寄ってくる。「足元で受けて、前向きで1対1を仕掛けていくことと、背後に出たときの1対1ならもう行けるという自信を持ってやっていますね」と言い切る9番の一撃。ホームチームが先制点を奪う。




前半終了間際の45+2分には追加点のチャンス。左サイドをMF鈴木晴弥(2年)がドリブルで運び、マイナス気味にクロス。齋藤はトラップからマーカーを剥がしにかかり、浮き球をシュートまで持ち込むも相手のブロックに遭ってしまう。
惜しくもこの日2点目とはならなかったが、「トラップして、落ち着いてかわせたんですけど、あそこでまた下に打てると、相手の足に当たらずに下から行くかなと思いました」と改善のアイデアははっきりと浮かんでいたようだ。
試合はそのまま1-0で終了。チームを率いる和田拓三監督も「練習からしっかり自分と向き合ってやれているので、いずれ点は獲れるようになるだろうなとは思いながらも、まだまだ彼には成長してもらわないと困るので、プロというところを考えてしっかりと要求していきたいと思います」と高いハードルを課している齋藤の1点が、横浜FCユースに連勝の歓喜をもたらした。
1年生だった昨シーズンの齋藤は、プレミアのラスト3試合でスタメンに指名され、最終節で手繰り寄せたEAST制覇も経験。ファイナルでの出場機会こそなかったものの、ハイレベルな先輩たちと切磋琢磨する環境の中で、貴重な時間を積み重ねた。
「去年はみんな年上の中で、自分が1人だけ1年生で出るという感じだったんですけど、チームも仕上がっている中でゲームに出させてもらって、緊張もしながら『やってやろう』と思い切ってやる感じがありました。今年もそれは変わらず、『チャレンジャーとしてやっていく』という想いはあるので、今後も思い切ってやれたらなと思っています」。
常に心がけるのは、全力を出し切ること。本人が発した言葉も興味深い。「守備では、狙えるところは100パーセントで狙わないといけないので、相手にパスを出させて奪うことを考えています。攻撃でも背後で受けるために、『背後には抜けないよ』みたいな雰囲気を出してから、『一気に、ドン』みたいに、一瞬の動きで100パーセントで抜けられるようにということは意識しています」。攻守で100パーセントを出し切るプレーは、見ている者が爽快感すら覚えるほどだ。


この試合の直後からは、JFAの『育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD』というプロジェクトのメンバーに選出されたため、セリエAに所属するコモ1907の『エリートパフォーマンスサマーキャンプ』へ約2週間参加することになる。
「今日ゴールを決めて、チームを勝たせられたので、そこは自信を持っていきたいですし、海外の人とも積極的にコミュニケーションを取って、無駄のない2週間を送りたいです」と話す齋藤には、チーム関係者から試合後にも次々とエールが送られていたが、そのたびに明るい表情で応えていくあたりに、そのパーソナリティが垣間見える。
基本的には楽観的なタイプ。「『言葉が通じるかな?』という心配事はありますし、全然海外も言ったことがないのでわからないですけど、『まあ、大丈夫でしょ』みたいな感じです(笑)」というスタンスも頼もしい。
参考にしている選手がルイス・スアレスとセルヒオ・アグエロだというのも大いに納得できる、横浜FCユースの成長著しいアグレッシブストライカー。いつでもチャレンジする姿勢を貫く齋藤翔は、ひたすら前だけを見据えて、さらなる高みへと続いているはずの階段を、力強く翔け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
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