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メッチャ負けず嫌いな緑の戦士たちが整えつつあるのは「心のタンク」をでかくするメンタリティ。離脱中のキャプテンの献身に応えた東京Vユースは柏U-18に3発快勝!

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MF舛舘環汰がゴラッソFKを沈めた東京ヴェルディユースは3発快勝!

[6.21 プレミアリーグEAST第10節 東京Vユース 3-1 柏U-18 ヴェルディグラウンド]

 もともとそろっているのは、上手くなりたいヤツと負けたくないヤツばかり。それが最適な形でピッチに現れれば、絶対に結果は積み上がっていくはず。少しずつ、少しずつ、みんなで競い合い、求め合い、助け合って作ってきたチームは、確実にヴェルディらしさを纏ってきている。

「シーズンの最初はまだ『やってやるぞ』もあるけど、『不安もあるな』という感じはしていたんだけれど、今は『やってやるぞ』がだいぶ大きくなっている感じがするので、そこはチームとして大きいですし、攻撃も守備もいろいろなものがちょっとずつ積み上がってきているので、それが良い方向に行っているのかなと思います」(東京Vユース・小笠原資暁監督)

 追い付かれる展開にも、焦れずに戦い切って3発快勝!21日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第10節で、東京ヴェルディユース(東京)と柏レイソルU-18(千葉)が対峙した一戦は、後半にMF仲山獅恩(3年)が2ゴールを奪った東京Vユースが3-1で勝利。今季2度目の連勝を達成した。


 序盤は比較的静かな立ち上がり。「最初の15分は蹴って、相手を広げたいという意図があったので、それはうまく遂行できたのかなと思います」とMF徳田波音(3年)が話した柏U-18は、試合によってシステムを巧みに変化させる“カメレオンチーム”だが、この日は[3-4-2-1]の東京Vユースに対して、[3-1-4-2]気味の布陣でサイドのマッチアップを明確にしつつ、まずは前線のFW越川翔矢(3年)とFW澤井烈士(3年)をシンプルに使う戦い方を徹底する。

 対するホームチームは2シャドーのMF今井健人(3年)とMF広瀬怜音(2年)が幅広く動いてボールを引き出し、右のFW千葉大輔(2年)、左のDF原田爽潤(1年)の両ウイングバックの仕掛けでテンポアップ。その流れへ効果的に仲山が関わり、チャンス創出のタイミングを窺う。

 お互いに決定機は作り切れない中で、衝撃の一発が飛び出したのは前半36分。左サイドで東京Vユースが獲得したFK。ゴールまでは30メートル近い距離があったため、誰もが中央へのパスを想定する中、キッカーのMF舛舘環汰(3年)は覚悟を決める。

「最初は中に上げようと思っていたんですけど、ボールも止まっていなかったですし、キーパーも高い位置を取っていて、ゴールを見たら結構空いていたので、『風に任せて蹴れば入るかな』と思って蹴りました」。背番号7が直接狙った軌道は、そのまま鮮やかにゴールネットへと突き刺さる。

「もう喜び方を忘れちゃっていたので、どうすればいいかわからなくて(笑)、とりあえず角に行きました」と笑った背番号7のプレミア初ゴールは、場内もどよめくスーペルゴラッソ。先制点は衝撃の一撃。東京Vユースが1点のリードを手にした。




 試合はにわかに動き出す。41分は東京Vユース。舛舘、MF下吉洸平(2年)、今井、舛舘と細かく繋ぎ、仲山が叩いたシュートはクロスバーにヒット。45+2分は柏U-18。左サイドを徳田が切り崩し、越川が枠へ収めたシュートは「守備陣も身体を張ってくれて、コースが限定されたので、そこに飛んできたボールを自分が止めたという感じです」という東京VユースGK山崎琉聖(3年)がファインセーブ。最初の45分間は1-0でハーフタイムへ折り返す。


 後半のファーストチャンスは東京Vユース。2分。オーバーラップしてきたDF中村宗士朗(3年)のパスを仲山がダイレクトで浮かし、今井の反転ボレーは柏U-18GKノグチピント天飛(3年)がビッグセーブ。ホームチームが追加点への意欲を打ち出す。

 しかし、次の1点は同点弾。6分。左サイドで柏U-18が得たCK。キッカーのFW加茂結斗(2年)が直接狙った軌道は、そのままGKを越えて逆側のサイドネットへ吸い込まれる。不動の10番が見事に沈めた『ゴール・オリンピコ』。1-1。スコアは振り出しに引き戻される。

CKから直接ゴールを奪うなど高いクオリティを発揮した柏U-18FW加茂結斗


 前半からシステムを4-4-2に変更していた柏U-18は、一気に畳みかける。17分。MF沼端隼人(3年)を起点に、加茂が左へ振り分け、時間を作った澤井のパスから沼端がシュートを打ち切るも、しかしボールは左ポストにヒット。逆転までは至らない。

 輝いたのは緑のキング。20分。柏U-18のCKから、一気に東京Vユースのカウンター発動。一度は失いかけたボールを千葉が奪い返し、ディフェンスラインの裏へ。「キーパーをかわすのと、ちょっとずらして打つのと、ループと3つぐらい選択肢がありました」という仲山は2つ目の選択肢を選び、丁寧にボールをゴールへと送り届ける。2-1。再び東京Vユースが一歩前に出る。



 止まらないビッグウェーブ。24分。下吉からパスを受けた今井は、ミドルレンジから躊躇なくシュートにトライ。ノグチピントも懸命に弾き出したものの、左でこぼれを拾った広瀬が折り返すと、走り込んだ仲山のシュートがゴールネットを貫く。「広瀬が頑張って粘ってくれて、あそこに走り込めば出てくると思っていたので、ラッキーゴールでした」と語る10番のこの日2点目。3-1。点差が開く。

 以降はDF川本悠祐(1年)、DF渡邉春来(2年)、中村と3学年が並ぶ3バックを中心に、東京Vユースは守備にも十分な安定感が。終盤は次々と疲労度の高い選手を入れ替え、ゲームクローズにも万全の構えで取り掛かっていく。

「今日はボールを失った後の切り替えも速くて、ボールを奪い切ることができたイメージがありますし、シュートというシュートもそんなに打たれていない感触があって、相手を圧倒することができたので、自分たちの求めているサッカーに近かったのかなと思います」と話したのは守護神の山崎。ランドに響いた緑の歓喜。東京Vユースがきっちりホームで白星を掴み、勝点3を積み上げる結果となった。



 タイムアップから1時間ほど経ったころ。試合に出ていない選手の練習を、最後まで見届けてから話を聞かせてくれた小笠原監督が、興味深いことを口にする。

「メンタリティの部分で『心のタンクをでかくしようぜ』と言ってきたんですけど、そこも少しずつでかくなってきたのかなって。サッカーって色々なエラーが起きるじゃないですか。もちろんレフェリーのジャッジもありますし、仲間のミスもありますが、そのエラーで我を失って、自分のエラーにしてしまわないようにしてほしいんです」。

「もちろんアピールするのは大事。でも、やる。続ける。そうやってちゃんと自分がコントロールされている状態を作ろうと。周囲のエラーによって自分もエラーを起こしたらもったいないわけで、そういうことはちょっとずつ伝えるたびに良くなっていっているなという感じはします」。

『心のタンク』というフレーズは非常に面白いが、指揮官によるとそれはさらにいくつかの種類に分かれているという。

「今の3年生はメッチャ負けず嫌いな子がそろっているので、そういう意味ではそっちのタンクは大きいんだけど、逆に我慢強さのようなタンクはメチャメチャ小さいので、勝ちたくて我慢できないんです。カッとなったりする子が多くて、それでイエローカードをもらっちゃったり、逆に集中が切れたり、足が止まっちゃったりというのは何度かあったんですけど、今はメンタリティの土台の部分が大きくなってきているかなと思いますし、そうすると練習も良いものになっていきますしね。彼らも変わってきていると思います」。

 もちろんそれぞれのタンクには容量があり、種類としてももともと持ち合わせているものも、あとから追加されていくものもあるはずだ。その数が少しずつ増え、さらに1つ1つが大きくなることで、選手たちのメンタリティが整っていく。「僕らは『もっと、もっと、もっと』とやらせるのが仕事ですけど、春先に比べたら彼らも凄く成長しているなと感じます」(小笠原監督)。この日の勝利は、ある意味でメンタリティの成長を感じさせるものでもあったようだ。

東京Vユースを率いる小笠原資暁監督


 加えて選手たちへ「絶対に負けられない」という大事なタンクをもたらしている存在として、キャプテンの坂井倖大(3年)の献身は語り落とせない。開幕直前のケガで長期離脱中ではあるが、この日も金網の外から声を張り上げ、ピッチ上の選手たちを鼓舞し続けていた。

「アイツの存在は凄く大きいです。今日も僕がちょっと声を抑えろというぐらい熱いヤツで(笑)、仲間想いのヤツなので、人望も凄く厚いですし、最初にキャプテンを決める時にも誰がいいという投票をしてもらったら、ほとんどみんなが票を入れるような選手で、僕もアイツに甘えている部分もあります」(小笠原監督)

 ジュニア時代から切磋琢磨してきた舛舘も、キャプテンへの想いを隠さない。

「監督に言われる以上に、ああやって倖大に言われると気持ちにも来るので、サボれないですね。練習でも、ピッチ内でも、ピッチ外でも声を出してくれますし、リハビリする姿勢もメッチャ見てきている中で、自分の悔しいところは絶対に僕たちに見せないので、『もっと頑張らないとな』と思わされますし、メッチャ大切な存在です。倖大は一昨日が誕生日だったので、勝てて良かったです。ちなみに昨日は僕のお父さんの誕生日だったので、それも良かったです(笑)」

 とりわけ全国出場を決めたクラブユース選手権は、明確に日本一を狙いに行く大会だが、その優勝カップをキャプテンに掲げさせることも、選手たちが見据えている大きな、大きな目標であることは言うまでもない。

 個性派がそろった選手たちと、それをしなやかに束ねる指揮官とスタッフがランドで繰り返すのは、『心のタンク』をでかくする日常。東京Vユース、絶賛成長中。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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