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[MOM5141]浦和ユースMF深田京吾(3年)_長期離脱から帰ってきた笑顔のキャプテンのプレミア初ゴールはチームに2か月ぶりのリーグ戦勝利をもたらす決勝点!

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貴重な決勝ゴールを奪った浦和レッズユースのキャプテン、MF深田京吾(3年=クラブ与野出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.22 プレミアリーグEAST第10節 前橋育英高 1-2 浦和ユース 前橋育英高校高崎グラウンド]

 悔しかった。ピッチの外からしかチームに貢献できない自分が。もどかしかった。ピッチに立って苦しむチームを助けられない自分が。だから、やる。試合に出たならば、誰よりも、やる。任されたキャプテンの重責を背負って、オレが必ずチームを勝たせてみせる。

「やっぱり得点すると、サッカーのやりがいを感じますね。ここまでは苦しいこともありましたけど、こうやって自分のゴールでチームを勝たせることができて、『自分がチームのためになった』という感情が湧き出てくると、嬉しいです」。

 4か月近い戦線離脱から帰ってきた、浦和レッズユース(埼玉)を束ねる笑顔のキャプテン。MF深田京吾(3年=クラブ与野出身)が叩き出したプレミアリーグ初ゴールが、リーグ戦8試合ぶりとなる白星を力強く引き寄せた。


 昨シーズンの途中からグロインペイン症候群による痛みは感じていた。ただ、浦和ユースはプレミア昇格を目指して奮戦しており、深田もシーズンが終わるまでは戦い抜く覚悟を決める。

 臨んだプレーオフでは、1回戦の清水エスパルスユース戦で得点も叩き出し、チームの目標達成にしっかり貢献。「プレーオフで頑張って昇格できたので、そこから4か月ぐらい休ませてもらいました」。新シーズンはキャプテンに指名されたものの、始動からしばらくはボールを蹴ることのできない日々を強いられる。

 開幕したプレミアリーグでは、望んだような結果が付いてこない中で、ピッチに立つことの叶わない現状が、さらなる焦りを呼ぶ。「プレーでチームを引っ張っていけないですし、ピッチ外の部分では結構言ったりはしていましたけど、ピッチ内のことは和田直哉にも任せていたので、もどかしかったです」。

 5月6日の第6節・横浜FCユース戦で今季初めてベンチに入ると、後半からの途中出場でプレミアデビューを飾るも、試合は2-4で敗戦。以降も白星が遠く、それまでとは違う種類のもどかしさが深田にのしかかる。「プレミアの厳しさを感じていた中で、自分が復帰したらチームの雰囲気を変えられるように頑張ろうと思っていましたけど、なかなか勝てなくて難しかったですね」。

 7試合未勝利で迎えた第10節の前橋育英高(群馬)戦。ベンチスタートだった深田も「ちょっと相手の選手を上手いとリスペクトしすぎるところが、前半は出ていましたね」と振り返ったように、前半はかなりボールを握られる展開に。何とかスコアレスで凌いだものの、苦しい45分間だったことは間違いない。

 それでも後半3分には、FW中村虎太郎(2年)のゴールで浦和ユースが先制。1点リードで試合が推移していく中で、20分に阿部勇樹監督は決断。「1-0で勝っていたので、『守りに入るので、締めていけ』みたいに言われて送り出されました」という深田が、奮闘したFW阿部湧心(3年)に代わってピッチに解き放たれる。



 31分。浦和ユース、失点。スコアは振り出しに引き戻される。「自分が入ってからの失点だったので、『自分が入らなかったら決められなかったのかな……』とも思いながら、もう自分が入れるしかない、やるしかないという気持ちになりました」(深田)。一度は落ちかけた気持ちを必死に奮い立たせ、再び前を向く。

 34分。自陣でMF和田直哉(3年)にボールが入った瞬間。2人のイメージは一瞬で共有される。「結構センターバックとサイドバックのスペースが空いていましたし、和田のパスは精度が良いので、『走れば来るかな』と思ったら、目が合ったので走りました」。19番は斜めに走り出す。

「相手が油断していたので『狙い目だ!行ける!』と思って、行ったら抜けましたね」。DFとGKの隙を突いてボールをかっさらい、左へ持ち出すとやや角度がなくなってしまったが、もうその判断に迷いはなかった。

「角度がなかったので、いつもだったらパスを選んでいたと思いますけど、今回は強い気持ちを持っていたので、ゴールを狙いました。キャプテンとしてチームを勝たせられていなかったので、もう自分が勝たせたいという一心でしたね」。

 丁寧に流し込んだボールがゴールネットへ収まったのを見届けた後は、チームメイトが笑顔で駆け寄ってきたこと以外、あまりよく覚えていない。「もう興奮して、パフォーマンスもできずに、来た選手とハグしていました。今後はもうちょっとパフォーマンスも意識したほうがいいですね(笑)」。キャプテンが決め切った意地の勝ち越し弾。再び浦和ユースが1点をリードする。


 
 9分近いアディショナルタイムが過ぎ去ると、試合終了を告げる笛の音が耳に届く。「もう嬉しすぎましたね。勝ちに徹するというか、勝つためのサッカーにはなりましたけど、チームとしては1勝が欲しかったので、この勝利は大きいです」。そう話した深田にも、チームメイトにも、笑顔が弾ける。

「京吾もずっとケガしていて、今年はキャプテンを務めながらも結果が残せていない中で、僕も副キャプテンとして近くで苦しむ姿をずっと見てきたので、今日のゴールは嬉しいですし、これからもっとアイツがチームを引っ張ってくれればなと思います」(GK大槻久翔)

「京吾も今年はキャプテンですし、あまり勝てていなくて結構悩んでいましたけど、京吾が出てきたらやってくれることはみんなわかっているので、そこで京吾が点を獲ってくれて、これで京吾自身も楽になったのかなと思います」(和田直哉)

 久々にみんなで手にした勝利は、とにかく最高だった。



 今季の深田は昨シーズンに引き続き、19番を付けている。3年生にしては大きな番号だが、本人にその理由を尋ねると、らしい答えが返ってきた。「3人ぐらいで10番争いをしていたんですけど、あとの2人は強い意志があったので、『これは話し合いをしていても決まらないな』と思って、『自分は番号を変えずにやろうかな』と思いましたし、自分の中では『1+9=10』みたいなイメージでやっています(笑)」。こんなエピソードにも、キャプテンのキャラクターが透けて見える。

 プレミア初ゴールは決めた。チームも8試合ぶりのリーグ戦勝利を収めた。ここからはよりアクセルを踏み込むフェーズだが、そんなことは本人が一番よくわかっている。

「チームとしてはクラブユースの優勝を目指していますけど、今のままで勝てるような、そんな甘い世界ではないので、まずは来週の市船戦のために全員で準備して、勝ちたいですし、クラブユースも良い相手がそろっている中で、そこに勝てれば自信になると思うので、そこに向けて頑張りたいです」。

「個人としては前の選手なので、ゴールやアシストといった数字に残る部分で結果を出していきたいと思いますし、それでチームが勝てれば最高だなって。2年生の(中村)虎太郎がああやって点を獲っているので、自分も負けじと頑張りたいですね」。

 もう蓄えてきたエネルギーは、溜まりすぎるぐらい溜まっている。ようやく赤き血のイレブンに帰ってきた、笑顔が印象的な頼れるキャプテン。深田京吾の2025年は、いよいよここからが本番だ。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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