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若き紫熊が発揮したのは前節の敗戦や先制被弾に屈しないリバウンドメンタリティ!広島ユースは大津に逆転勝利を収めて今季アウェイ初白星!

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サンフレッチェ広島ユースは意地の逆転勝利で今季アウェイ初白星!

[6.29 プレミアリーグWEST第11節 大津高 1-2 広島ユース 大津町運動公園球技場]

 吉田のグラウンドで積み上げてきたものを過不足なく発揮できれば、絶対に良い結果を引き寄せられると信じてきた。自分たちの力は、自分たちが一番良くわかっている。たとえ先に点を獲られても、なかなかチャンスが訪れなくても、その時が来たらちゃんとアクセルを踏み込む。その勘所さえ間違えなければ、このチームならきっとどこまでも走り抜けるはずだ。

「今日の試合も先に1点を獲られた中でも、メンタル的にマイナスにならず、全員でプラスに持っていって逆転して、そこを守り切れるという試合ができましたし、今は失点しても負ける気がしないというか、優勝するチームの雰囲気が感じられるチームになってきているのかなと思います」(広島ユース・林詢大)

 先制点を献上しても、粘り強く戦って、今季初のアウェイ勝利!29日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 WEST第11節で、昨年のリーグ王者・大津高(熊本)と、一昨年のリーグ王者・サンフレッチェ広島ユース(広島)が激突した一戦は、後半26分にFW宗田椛生(3年)が逆転弾を叩き出した広島ユースが2-1で勝利。貴重な勝点3を手繰り寄せている。


 いきなりの先制パンチはホームチーム。前半9分。GK野沢遼太(3年)のパントキックをMF山本翼(2年)がヘディングで逸らすと、左サイドを運んだMF有村颯太(3年)は丁寧なクロス。飛び込んだFW山下虎太郎(3年)の左足ボレーは、右スミのゴールネットへ到達する。1-0。幸先良く大津が先制点を奪う。



 11分も大津。右からMF福島京次(3年)が蹴り込んだCKを、ニアでDF村上慶(3年)が頭でフリック。走り込んだDF今井獅温(3年)が当てたシュートは枠の右へ。直後にも山下が右へ振り分け、前に運んだMF岩崎天利(3年)のシュート気味のクロスは中と合わなかったものの、際どいシーンを創出。ホームチームが勢いを強めていく。

 ところが、次の得点をを叩き出したのは「自分も熊本出身で、会場も熊本ということで、友だちも家族もたくさん見にきてくれていたので、やってやるぞという気持ちは強かったです」と話すアウェイチームの背番号8。25分。中央でDF林詢大(3年)と縦パスを交換したMF野口蓮斗(2年)は、少し左に持ち出すとそのまま左足一閃。右スミへ向かった軌道は、鮮やかにゴールネットを貫く。「コースは狙い通りですけど、あんなにうまく行くとは思わなかったです。自分でも驚きました」というプレーメイカーのゴラッソ。1-1。広島ユースがスコアを振り出しに引き戻す。



「野口が良いシュートを決めてくれたので、あそこで士気が上がって良かったと思います」と野田知監督も認めた広島ユースが強めた出力。29分には林が左からCKを蹴り込み、こぼれを拾ったMF小林志紋(3年)の左クロスに、宗田が打ち切ったシュートは野沢がファインセーブで凌いだものの、あわやという場面も。30分にもFW菊山璃皇(2年)のパスから、MF山里謙心(3年)が狙ったミドルは、枠の左へ逸れるも好トライ。前半はタイスコアで45分間が終了した。


 後半も攻勢の時間が長かったのは大津。4分。センターバックのDF松野秀亮(3年)がヘディングで前へ弾き、山下が枠へ収めたシュートは広島ユースGK小川煌(3年)が丁寧にキャッチ。12分。DF渡部友翔(2年)を起点に、MF福島悠士(3年)の浮き球パスに走り込んだ山本はわずかに届かず。

 さらに18分も大津。相手陣内で細かいコンビネーションを披露し、山下、福島京次とボールが回り、渡部が放った枠内シュートは、ゴールカバーに入った林が懸命にクリア。「ボールも握って、シュートまで行けていたんですけど、フィニッシュワークのところで入らないところが、ここ何試合も課題としてあったとは思います」と福島悠士。チャンスは作り出すものの、なかなか勝ち越しゴールには至らない。

 対する広島ユースは「もうちょっとボールを持ちたかったですけど、ずっとうまく行くわけではないので、後半はよく失点しなかったなと思います」と野田監督も言及したように、やや耐える展開の中で、右からMF太田大翔(2年)、林、MF長沼聖明(3年)で組んだ3バックは安定感を打ち出しつつ、サイドの攻防でも右の菊山、左のMF原湊士(2年)は守備面で相手の強力サイドアタッカーにきっちり対抗。ドイスボランチの野口とMF児玉司(3年)も足を止めずに、ピッチを駆け回る。

 すると、次の1点を手にしたのはアウェイチーム。26分。小川が前方へ送ったフィードが弾むと、小林が競り勝ったボールは大津ディフェンスラインの裏へ。「志紋は勝つと思って予測していたので、相手のセンバは大きかったですけど、ゴリッと潜ったら行けるかなと思って」マーカーと競り合いながらボールを収めた宗田は、飛び出したGKの鼻先でフィニッシュ。ボールはゆっくりとゴールネットへ転がり込む。「後半になって大津が持つ時間が増えて、自分たちも一発で仕留めないといけないなと思っていました」と語ったストライカーの貴重な逆転弾。2-1。スコアは引っ繰り返る。




「流れは良かったですけど、あの1本で変わってしまうのがプレミアだと思いました」と福島悠士も話した大津は、1点を追い掛ける展開に。43分。山下の左クロスはファーへ流れるも、渡部のパスから福島京次が打ったシュートは枠の上へ。45分。途中出場のMF菊地奏楽(3年)が時間を作り、左サイドバックに移った村上慶のシュートは枠を襲うも、小川がビッグセーブで仁王立ち。惜しいチャンスは迎えるものの、1点が遠い。

 そして、6分間のアディショナルタイムが過ぎ去ると、試合終了のホイッスルが鳴り響く。「この暑さの中でちょっと押され気味だったけれども、勝ち切れたのは大きいですね。よく頑張ったと思います」と選手たちを称えたのは野田監督。全員が攻守にハードワークを怠らなかった広島ユースが、今季6試合目にして初めてアウェイから白星を持ち帰る結果となった。



 クラブユース選手権やインターハイの予選による中断期間を経て、1か月ぶりに再会されたプレミアリーグの前節は、ヴィッセル神戸U-18相手に1-2で競り負け、リーグ戦6試合ぶりとなる黒星を突き付けられた広島ユース。それゆえにこの日の一戦は、今後のチームの趨勢を占ううえでもとにかく大事な90分間だった。

 そんな中でキャプテンを務める林は、この試合へ向かうチームの1週間の取り組みに、はっきりと手応えを感じていたという。

「ヴィッセルには自分たちの隙を突かれて、90分の失点でやられたというところで、その試合を落としてしまったことは痛かったんですけど、自分たちはアウェイでまだ勝ったことがない中で、今回は絶対にみんなで勝ち星を持ってきて、クラブユースに良い形で臨もうという、今節の勝利に向けて火曜日の練習から全員でメチャクチャ良い準備ができていたかなと思います」。

 一定の内容のゲームを作り上げる力は、間違いなく整ってきている。あとはそれを明確な結果に結び付けるだけ。だからこそ、「これは凄く大きい勝利だと思います。前節もそんなに内容が悪くないのに、最後に点を獲られて負けたので、そこからのリバウンドメンタリティが良かったですね」と野田監督も話したように、やや内容的には苦しみながらも、きっちりと勝点3を手繰り寄せた今節は、ここまで不思議と勝てなかったアウェイでの今季初勝利という成果も相まって、今後のシーズンを考えてもターニングポイントになり得る試合になったことは間違いないだろう。


 3週間後には夏の全国大会、クラブユース選手権が開幕する。意外にも広島ユースがベスト4に入ったのは2018年が最後。ファイナル進出も2013年以来は一度もなく、優勝からは実に20年近く遠ざかっている。ただ、今回はグループステージの3試合をみよし運動公園陸上競技場で戦うことになり、勝ち上がった場合の準々決勝も会場は福山通運ローズスタジアム。“地元開催”は大きなアドバンテージだ。

「絶対に優勝しようという気持ちはみんなにあって、しかも近場の三次で試合があることで、友だちも試合を見に来てくれたりするので、みんなの頑張ろうというモチベーションも高いです」(宗田)「去年はベスト8でグランパスに負けてしまったんですけど、まずは去年の結果を超えられるように全員で戦っていきたいと思いますし、グループステージと一発勝負のトーナメントの戦い方もそれぞれ考えながら、自分が先頭に立って日本一に導けたらなと思っています」(林)

 真夏の全国を席巻する準備は万端。意気盛んな若き紫熊の大いなるチャレンジ。広島ユースは7月の頂を真剣に目指し、栄冠の光が射す方へ向かって、道なき道をひたすら前へと突き進む。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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