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究極の目標「半面ゲーム」を本気で目指してランドで突き詰めるディテール。東京Vユースは横浜FCユース相手に「6発の花火」を打ち上げる快勝劇!

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東京ヴェルディユースはホーム・ランドで6発大勝!

[9.20 プレミアリーグEAST第14節 東京Vユース 6-1 横浜FCユース ヴェルディグラウンド]

 勝てば良いゲーム、負ければ悪いゲームという、そんなシンプルな判断基準で物事を考えるような姿勢は、このチームの中に存在しない。良かったことと、良くなかったことを、90分の中から抽出して、また翌週からのトレーニングに生かしていく。みんなで掲げる究極の目標、“半面ゲーム”を真剣に目指して。

「徐々に良いチームになってきているなと感じていて、攻守のバランスも取れてきているので、ここで大量得点できたのはみんなの良い自信になると思いますし、ここからもどの相手でも緩めず、3点、4点、5点、6点と獲りに行く姿勢を見せて、無失点に抑えられるように、優勝だけを目指して、そこにフォーカスしてやっていきたいと思います」(東京ヴェルディユース・仲山獅恩)

 今季最多の6得点で、ホーム快勝!20日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第14節で、東京ヴェルディユース(東京)と、横浜FCユース(神奈川)が激突した一戦は、エースのMF仲山獅恩(3年)が4ゴールを叩き出し、東京Vユースが6-1で勝利。後半戦初白星を手に入れている。


「前半は全体的に重かったかなと。攻守においてプレーが重い印象を受けました」とは東京Vユースを率いる小笠原資暁監督。構図としてはアウェイチームがある程度きっちりと守備から入り、ホームチームがボールを動かす中で、狙いがより生きたのは横浜FCユース。前半14分にはキャプテンのDF佃颯太(3年)の左CKから、DF秦樹(3年)が頭で決めたゴールは、オフェンスファウルという判定で取り消されたものの、セットプレーから相手に脅威を突き付ける。

 ただ、なかなかテンポが出てこない中でも、ワンチャンスを生かしたのは東京Vユース。18分。「雨が降っている状況で、ピッチも悪いというのはわかっていたので、常に狙っていました」という仲山が相手のバックパスをさらうと、エリア内でGKに倒されてPKを獲得。これを自ら左スミへ冷静に沈め、まずはアドバンテージを引き寄せる。



 悪くない流れにも関わらずビハインドを負った横浜FCユースだが、それでも好リズムは継続。25分に佃のラストパスから、MF管野心人(3年)に訪れた決定機は、東京VユースGK山崎琉聖(3年)のファインセーブに阻まれたが、29分にはMF椿渥裕(2年)が、30分にもMF福岡湧大(2年)が相次いで際どいシュートを放ち、ゴールへの意欲を打ち出し続ける。

 すると、39分に生まれた同点弾。秦の負傷交代を受け、前半のうちに投入されたDF家田唯白(3年)とDF大川萊(3年)のパス交換を起点に、椿のパスからドリブルで切れ込んだFW齋藤翔(2年)が鋭い切り返しで2人のマーカーを外し、そのままゴール右スミへグサリ。U-17日本代表の活動から帰ってきたばかりのストライカーが、個のクオリティを発揮。スコアは振り出しに引き戻された。



 漂い出した嫌なムードは、「自分も一応キャプテンとエースとしてやっているので、突き放すことだけ考えてやっていた」緑の背番号10が払拭する。43分。右サイドでMF下吉洸平(2年)からパスを受けたMF今井健人(3年)はピンポイントクロス。「しっかりミートすることだけ考えて、回転はインフロント気味に掛かればいいなという感じ」で叩いた仲山のボレーが、鮮やかに右スミのゴールネットへ届く。前半は東京Vユースが再び1点をリードして、最初の45分間は終了した。


「前半はチャンスも作れましたけど、ピンチも結構あった中で、リードしてハーフタイムに入れたのが大きかったと思います」と口にしたのは、東京Vユースのディフェンスリーダーを任されているDF渡邉春来(2年)。後半に入ると、下吉とMF舛舘環汰(3年)のドイスボランチで中盤の主導権を握りつつ、右のFW千葉大輔(2年)、左のMF今井宏亮(3年)を配した両ウイングバックも生かしながら、攻撃のターンが前半以上に増えていく。

 後半25分の主役も、緑の背番号10。高い位置からのプレスでボールを奪い、舛舘は完璧な浮き球をディフェンスラインの裏へ。受けた仲山は「相手の体勢を見て、『滑ってくるな』と思ったので、1個間を空けて」右に持ち出し、そのままフィニッシュ。軌道はゴール右スミへ滑り込む。仲山はこれで今季初のハットトリック達成。3-1。両者の点差が2点に開く。

 止まらないキングの躍動。28分。ここも相手のビルドアップを追い込み、DF中村宗士朗(3年)のインターセプトを拾った仲山は、ペナルティエリア外から強引にシュート。相手に当たってコースが変わったボールは、きっちりとゴールネットを揺らす。「今シーズンは自分でやり切るというところにフォーカスしているので、それが形になって良かったなと思います」。この日の自身4点目は、得点ランキングトップを独走する今シーズン14点目。4-1。次の1点も東京Vユースが奪う。

 ランドに響く咆哮は、止む気配を見せない。38分。左サイドで獲得したCKを舛舘が蹴り込むと、4分前に投入されたばかりのDF山田将弘(3年)が、ヘディングを流し込んで5点目。43分。途中出場のFW寺村智晴(3年)が果敢なプレスでボールを取り切り、今井健人は左へスルーパス。サイドを駆け上がったDF原田爽潤(1年)の左足シュートは、ゴールネットへ到達して6点目。

 5月に行われた6節以来となる久々の出場を果たした3年生と、前節の東京ダービーは年代別代表の活動で欠場した1年生も、それぞれ得点をマーク。「この前のダービーは1点も獲れずに負けてしまったというところで、今日はチームとして6点獲れましたし、前回の試合の反省が生かせたかなと思います」と今井健人も語った東京Vユースが、終わってみれば6-1という大勝を収め、着実に勝点3を積み上げる結果となった。



 東京Vユースが前節で対峙したのはFC東京U-18。あえて言うまでもなく、お互いがお互いを意識せざるを得ないライバルであり、今季の公式戦では3回対戦して、1分け2敗と一度も勝てていなかっただけに、十分な気合いを入れて“東京ダービー”に臨んだものの、結果は後半アディショナルタイムの失点で0-1と惜敗。またも勝利を手繰り寄せることは叶わなかった。

 ただ、試合後の指揮官は選手たちにこんな言葉を送ったという。「僕は今シーズンで一番いいゲームだと思ったんです。『いいゲーム』というのは、自分たちの持てるものをすべて出しているゲームだったということで、『負けてしまったけど、全然落ち込む必要もないし、胸を張って帰りなさい』と。『ただ、得点がゼロで終わったということは、オレたちの最後の質が足りてないから、その質を突き詰めないとね』という話をしました」(小笠原監督)

 もちろんダービーに負けたことが、悔しくないはずがない。ただ、その試合で出てきた課題を見つめ直し、次の試合へと改善することが何より大事。「今週は『最後の質のところにこだわろう』という監督の指示もありましたし、そういうところをみんなが意識して練習できたと思います」(今井健人)「FC東京戦はシュートチャンスが結構少なかったイメージがあったので、今週はゴール前のところをオガさんも練習から意識的に取り入れていて、そこが点に結び付いたのは良かったと思います」(渡邉)

 選手たちは無得点に終わった前節を受け、トレーニングから得点への意識をさらに高め、この日は6ゴールを積み上げる。ただ、指揮官は大勝にもやや浮かない表情を浮かべていた。「今日は望んでいるような展開ではなかったという感じですかね。FC東京戦の前半の方が良い形のゲーム展開だったと思います。相手も変わるので、簡単じゃないですけど、今日はボールを大事にしすぎているというか、ちょっと攻撃性に欠けたので、その辺は課題かなと」(小笠原監督)。結果は結果。内容は内容。彼らの中で、その基準には微塵のブレもない。

 ここまでリーグ戦全試合に出場し、今季のチームを力強く支えている今井健人は、理想と現実を見つめながら、こんな話をしてくれた。

「自分たちがいいゲームができている時は、“半面ゲーム”に近いものがあると思いますし、やっぱり負けているゲームや難しい展開になっている時は、取られてからの切り替えができずに、“半面ゲーム”ができていないと思うので、そこを求めることによって、確実に勝利に繋がるかなと感じています。それが自分たちの理想でもありますし、優勝するにはもう負けられないので、そういう部分をさらに研ぎ澄ませていければと思います」。

 目指すのはいつだって、常に相手陣内で攻撃し続け、90分間完全に圧倒して、勝利を収める“半面ゲーム”の達成。そのために突き詰めるべきディテールを、ランドでひたすらブラッシュアップしていく。自分たちの成長を、進化を追求する東京Vユースのチャレンジは、決して終わることなく、明日も明後日もその先も、ずっとずっと続いていく。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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