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健全な競争意識が生み出す「必ずチャンスはどこかで来る」という確かな希望。帝京長岡は名古屋U-18にホームで競り勝ってリーグ5試合ぶりの白星獲得!

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帝京長岡高の選手たちは勝利をスタンドの仲間たちと分かち合う!

[9.21 プレミアリーグWEST第14節 帝京長岡高 3-1 名古屋U-18 長岡市ニュータウン運動公園サッカー場B]

 その選手が重ねてきた努力も、磨き上げてきた技術も、試合に出たいと願う意欲も、すべてはトレーニングのグラウンド上に現れる。その細部を、その息吹を見逃さず、週末のプレミアのピッチに立つべき者たちを見極め、自信を持って送り出す。そうすれば、あとは11人を、18人を信じるだけだ。

「この夏は『サッカーの中で、みんなで考えて、みんなで走ろう』と言ってきたところで、それをやり切った選手たちが残ってきているというか、誰もレギュラーは約束されていないことを伝えながら、『必ずチャンスはどこかで来るから、サッカーを学ぼう』という話もしてきた中で、選手たちが良い準備をしてくれたというところですね」(帝京長岡高・古沢徹監督)

 信頼を力に変えて、リーグ戦では5試合ぶりに迎えた歓喜!21日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 WEST第14節で、ともに後半戦初勝利を狙う帝京長岡高(新潟)と、名古屋グランパスU-18(愛知)が対峙した一戦は、帝京長岡が3-1で粘り強く勝ち切って、ホームでは4か月ぶりとなる白星を手繰り寄せている。

 
 お互いにやや慎重に立ち上がった序盤を経て、前半12分のチャンスは名古屋U-18。右からMF八色真人(3年)が蹴り込んだFKに、飛び込んだDF神戸間那(3年)のヘディングはわずかに枠の左へ逸れたものの、15分にも八色真人の縦パスに、得点ランキングトップ独走の16得点を挙げているFW大西利都(3年)が反応。ボレーで叩いたボールはクロスバーを越えるも、先制への意欲を滲ませる。

 2つのピンチを作られながら、決してリズムは悪くなかった帝京長岡は、24分にサイドアタックから決定機。「アタッキングサードでの仕掛けは自分の武器としているところ」と言い切るMF吉原巧也(3年)が左サイドを切り裂き、丁寧なグラウンダークロス。「点を獲れるポイントを瞬間的に見つけて、そこに入れて良かったなと思います」というFW上田十輝(3年)がつま先で合わせると、揺れたゴールネット。1-0。ホームチームが先にスコアを動かす。



 29分の衝撃は「ゴール目掛けて、気持ちを込めて打ちました」と話したセンターバックがもたらす。右サイドで得たCK。MF和食陽向(2年)が蹴ったキックが中央にこぼれると、いち早く反応したDF桑原脩斗(3年)はミドルレンジから右足一閃。軌道は文字通りゴールネットへ突き刺さる。「本当に自分の真っすぐの視界のままに入ったので、『おお!入ったか!』という感じでした」と笑った背番号4は、これがプレミア初ゴール。2-0。帝京長岡がさらなるアドバンテージを握る。



 以降も勢いは完全に帝京長岡。32分。FW児山雅稀(1年)の丁寧なパスから、吉原が放ったシュートはゴール左へ。35分。左サイドをドリブルで運んだ児山のシュートは、わずかに枠の右へ。43分。MF中澤昊介(3年)、和食とボールを繋ぎ、上田の枠内シュートは名古屋U-18GK岡野恭護(1年)がファインセーブ。45分。左サイドで中澤のヒールパスから和食が折り返すと、MF堀田宙吾(2年)のフィニッシュは岡野が懸命にキャッチしたものの、「攻撃面のクオリティもだいぶ夏場で成長できたかなと思います」と上田も口にしたように、攻撃面で圧倒した帝京長岡が2点をリードして、前半の45分間は終了した。


 前節までリーグ戦は5連敗中。なかなか結果に恵まれない中で、この日も追い掛ける展開となった名古屋U-18は、後半に入ると1トップの大西と、2シャドーのMF恒吉良真(2年)とMF小島蒼斗(2年)の距離感に変化が。10分には恒吉のパスから、大西が打ち切ったシュートは枠を越えるも好トライ。14分にもMF千賀翔大郎(2年)の右クロスから、恒吉が際どいシュートを。15分にも神戸を起点に大西がスルーパス。走った恒吉のシュートは帝京長岡DF吉田龍悟(2年)のブロックに阻まれるも、少しずつ漂い始めた得点の空気。

 名古屋U-18の咆哮は22分。中盤でMF野村勇仁(3年)が粘って残し、八色真人は前を向くと左へ丁寧なラストパス。6分前に投入されたばかりのFW八色隼人(1年)が右スミにコントロールしたシュートは、鮮やかにゴールへ吸い込まれる。開通した“兄弟ライン”。たちまち両者の点差は1点に。




 双方が狙い合う“次の1点”。26分は帝京長岡。吉原の折り返しから、上田が放ったシュートは枠の上へ。29分は名古屋U-18。八色隼人からパスを受けた八色真人は右へ振り分け、枠を捉えた大西のシュートは、帝京長岡GK仲七璃(2年)が丁寧にキャッチ。37分は名古屋U-18。野村が右へ展開すると、途中出場のMF平川大翔(3年)が鋭い切り返しから枠に打ち込むも、ここも仲が確実にキャッチ。「最後の最後は身体を張って、ゴールを割らせないというところは今年の良さですね」とは帝京長岡を率いる古沢徹監督。2-1のままで、熱戦は最終盤に突入していく。

 試合を決めたのは、後半から途中投入された2人の3年生。40分。果敢にオーバーラップしたDFリヴキン辻アーロン(3年)は左サイドをえぐり切り、中央へ完璧なクロス。飛び込んだFW杉本鎌矢(3年)が、プレミア初ゴールとなる3点目をゲットして、勝負あり。「後半は1点返されても、みんなで落ち着いて3-1に引き離せたのは、チームとしての成長かなと思います」(吉原)。勝負強さを発揮した帝京長岡が総力戦を制して、後半戦初勝利をホームでもぎ取る結果となった。




「インターハイの尚志、後半戦のファジアーノ、ヴィッセルと3試合点が獲れていなかったので、今日3つのゴールが獲れたことは、本当に選手の頑張りに尽きるかなと思います」と話した古沢監督が、続けた言葉が興味深い。

「去年の夏以降は選手を固定してしまって、少し停滞した部分もあったので、今は良い練習、良い準備をした選手を、勇気を持って使っていくというところで、1週間本当に良いトレーニングをしてきている選手を使う、コンディションの良い選手を使うことは考えています」。

 14節が終わった時点で、今シーズンの帝京長岡の試合記録を見ると、2試合続けて同じスタメンが並んだことは、わずかに2回しかない。9節以降は毎試合のように11人の顔ぶれに変化が施されていることからも、チーム内競争が激化している現状が窺える。とりわけこの日の先制点をアシストし、左サイドに推進力を生み出していた吉原も、スタメン出場は5試合ぶりであり、インターハイは登録メンバー外だった選手だ。

「インターハイで自分はメンバーから落ちて、バックアップに回ったことで、悔しかったですけど、いろいろな視点でチームを見ることができたので、今は試合に出られない人の気持ちも考えられますし、『走れない』という課題にも自分で取り組みながら、武器であるドリブル、瞬発力、推進力を磨き続けてきたことが、今日の1点目に繋がったと思います」と話した吉原には、指揮官も「夜遅くまで、一番最後まで自主練して、一生懸命トレーニングして、サッカー漬けの毎日を頑張ってひたむきに過ごしてきた選手なので、これがきっかけになって、グッと伸びていってほしいです」と評価を口に。勝利を決定づける3点目に絡んだ途中出場のリヴキンと杉本も、次節以降のポジション争いを活性化させることは想像に難くない。

 この日の90分間では攻守で主役級の活躍を見せた桑原にも、慢心の類は一切見られない。「今は自分も試合に出られていますけど、出れなくなる可能性もあると思うので、勝った時こそ謙虚に、仲間と切磋琢磨して、次の大津戦もしっかり勝ちたいですし、ここからもっとみんなで成長して、順位を少しでも上げていければなと思います」。

 健全な競争意識が生み出す、着実なチーム力の向上。次の試合に挑む11人の座を巡り、いつものグラウンドでは、また激しいトレーニングが繰り返されていく。差し込み始めた浮上の光。丁寧に成長を続けてきた2025年の帝京長岡は、きっとまだまだ進化する。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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