beacon

[MOM5253]福岡U-18DF樺島勇波(3年)_場内が静まり返った超絶FKと巧みなヘディングで2ゴール!みんなに慕われる「吠えるキャプテン」が攻守に躍動!

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

強烈な2ゴールを叩き出したアビスパ福岡U-18DF樺島勇波(3年=アビスパ福岡U-15出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.18 プレミアリーグWEST第18節 福岡U-18 4-0 神村学園高 福岡フットボールセンター]

 これが“役者”の仕事だろうか。攻めて、守って、吠える。とんでもないフリーキックを突き刺したかと思えば、完璧なヘディングでもゴールを陥れ、相手のシュートは身体全体でブロックする。ほとばしるパッション。満ち満ちたエネルギー。やはりこの男、只者ではない。

「前回の試合ではほぼ全部の失点に絡んでしまったんですけど、そこの部分で言ったら今日の結果で“みそぎ”は終了したかなと(笑)。もちろん失点ゼロで終えることが一番のチームへの恩返しではありますし、今日はみんなが入りから集中してやれていたと思います」。

 6年ぶりにプレミアリーグへ帰ってきた、2025年シーズンのアビスパ福岡U-18(福岡)を圧倒的なリーダーシップで牽引する不動のキャプテン。DF樺島勇波(3年=アビスパ福岡U-15出身)の叩き出した2つのゴラッソが、チームに大きな勝点3を逞しくもたらした。


「前半は自分たちがボールを持てず、相手に上手く回された中で、東福岡戦の時みたいにラインが低くなるとどんどん蹴り込まれて、ライン間を使われるという話もあったので、ラインを上げることは試合前から意識していましたし、そこはコーチングしていました」。

 インターハイ王者の神村学園高(鹿児島)をホームに迎えた今節の一戦。福岡U-18は前半から相手の流動的なアタックに手を焼き、押し込まれる時間が続いたが、樺島とDF益田凱斗(2年)のセンターバックコンビを中心に、守備陣がきっちりゴールにカギを掛ける。

 前半20分にはMF廣田陸人(3年)が先制点をマークし、1点をリードしたものの、その後もピンチの連続。ただ、「自分たちの陣地でボールを持たれることが多かったですけど、守備のところは今週徹底的にやってきましたし、そこは自信があったので、隣の選手にも『焦ることはないよ』『お互い喋っていけば絶対にズレは生まれないから』と自信を持ってやらせる声掛けはしました」という樺島は、最終ラインの中央に堂々とそびえ立つ。



 後半も開始早々の4分にFW前田陽輝(2年)が2点目を叩き出し、福岡U-18は2点のアドバンテージを手に。少しチームの中にも「行ける」という空気感が漂い出すと、見る者すべてが度肝を抜かれた衝撃の瞬間がやってくる。

 9分。福岡U-18がペナルティエリアのすぐ外で獲得したFK。左サイドの角度のない位置ではあったが、スポットに立った時から樺島はもう決めていたという。「ペナ付近のFKは練習していた中で、ああいう端っこというのはあまり練習していなかったですけど、自分はパワーがありますし、小学生のころからああいうフリーキックは得意なので、ストレートで蹴るというのは、ボールを置いた時からイメージできていました」。

 短い助走から右足を振り抜くと、ボールは凄まじいスピードでゴールネットへ激しく突き刺さる。「当たった瞬間に『あ、来たかも』と思ったら、もうスパンと入っていたので、『よっしゃあ』という感じでした(笑)。場内も静まり返っていましたね。今シーズンはもう6点決めてきましたけど、一番気持ち良かったです」。




 にわかには信じられないような一撃に、場内もいったん静まり返ってから、どよめきに包まれる。「あのフリーキックはミラクルですね。いつも巻いているから、『ストレートで蹴れよ』と前に言ったことがあるんですけど、まさかあそこで蹴るとは思わなかったです(笑)」(久永辰徳監督)。大げさではなく、ワールドクラスのゴラッソだったと言っていいだろう。

 これだけでは終わらない。2分後の11分。福岡U-18が手にした左CK。樺島の中にはポジティブなイメージが残っていた。「神村からは前回の試合でも決めていましたし、うまく相手の前に入って、落下地点に入って、あとは合わせるだけという感じでした」。

 MF松浦拓夢(2年)のキックから、マーカーに競り勝ったヘディングは、ゴール右スミへ綺麗に吸い込まれていく。「拓夢のボールが来て、一瞬ニアに打とうと思ったんですけど、人がいるのが見えたので、うまくファーに流し込むことができて良かったですね」。背番号5のセンターバックが3分間で2ゴール。福岡U-18のリードは4点に広がる。



 終盤には印象的なシーンがあった。ペナルティエリア付近で相手がボールを持ち、シュート体勢に入ると、樺島はすぐさま正面に潜り込み、そのシュートを腹部でブロック。さすがにしばらくは起き上がれなかったものの、その表情には充実感すら漂う。試合はそのまま4-0で終了。攻めては圧巻の2得点を挙げ、守っては完封勝利に貢献したキャプテンが、この日のヒーローだということに異論はないだろう。



 試合後の樺島は、少なくない同年代の友人たちに囲まれていた。聞けば彼らは地元でもある苅田から来てくれた幼馴染みとのこと。「みんなが苅田から初めて試合を見に来てくれて、それで点を決められたので、交通費ぐらいの価値のある試合はできたのかなと思います(笑)。僕も持っているかもしれないですし、アイツらが持っているのかもしれないです(笑)」。そんな光景からも、周囲から慕われる人柄が垣間見える。

 1月からスタートした今シーズンも、4月に開幕したプレミアも、もう残された時間はそう長くない。「今日の朝に『もうプレミアもあと5試合か』と考えた時に、結構寂しくなりましたね。本当に自分の中ではあっという間だったなって。『こんな1年早いんや』って感じでしたし、少しは成長している部分もあるのかなと思うので、あと4試合ですけど、自分の出せるものを出してやりきりたいですね」。少しだけ感慨深そうに話した樺島は、改めてここからの4試合に向けて、言葉に力を込める。

「今日みたいに守備のところで、声掛けだったり、隣の人にコーチングすれば、もうズレは生まれないと思うので、そこは自分の武器でもある声で、キツい時間帯でも徹底していきたいですし、あと4試合も厳しいゲームになると思いますけど、今日以上のゲームができるように、ここで満足せず、中断はしますけど、もう来週から静学戦に向けて、みんなでしっかりやっていきたいなと思います」。

 いよいよシーズンも大詰め。ここからは負けられない試合ばかりが続くが、この人には何かを巻き起こしそうな空気感が常に漂っている。プレミアの舞台でも十分すぎるほどに存在感を放ってきた、『ダビド・ユーハ』の恩返し。アビスパアカデミーで過ごした6年間の集大成。樺島勇波は最後の1秒まで持てる力を出し尽くし、来季も後輩たちがこのステージで戦う権利を、必ず手繰り寄せる。



(取材・文 土屋雅史)

●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶高校サッカーの最新情報はポッドキャストでも配信中
土屋雅史
Text by 土屋雅史

「ゲキサカ」ショート動画

TOP