[MOM5255]鳥栖U-18GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(2年)_U-17W杯メンバー落選から2日後の躍動!勝利を引き寄せるファインセーブ連発に込めた「世界を戦う仲間へのメッセージ」
ファインセーブ連発で勝利の主役を担った
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.19 プレミアリーグWEST第18節 大津高 1-2 鳥栖U-18 宇城市立ふれあいスポーツセンター]
同年代の仲間たちと目指してきた、世界の舞台に立つことは叶わなくなったけれど、ここで立ち止まってなんていられない。もちろんみんなの活躍は願いながら、やっぱり選んでおけば良かったと思ってもらえるようなパフォーマンスを出し続けることで、改めて自分の価値を証明し続けてやる。
「自分としてはワールドカップのメンバーに入れないようなプレーはしていないと思っていましたし、もちろん入れる自信はあったので、そういう中でこういう落選という結果になったことは悔しいですけど、だからこそ今日は反骨心を持って戦っていこうと思っていました」。
昨シーズンからチームのゴールマウスを任されている、サガン鳥栖U-18(佐賀)が誇るビッグセーバー。GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(2年=サガン鳥栖U-15出身)はその能力を見せ付けるようなファインセーブ連発で、チームの勝利を自らの手できっちりと引き寄せた。
「最初の方に点を獲れたんですけど、ずっと押される流れが多かったので、『いつかは際どいシュートや危ないシーンが来るだろうな』と思いながらやっていました」とエジケは前半の戦いの中で感じていたことを口にする。鳥栖U-18にとっては勝てば首位に立つ、プレミアリーグWEST第18節。大津高(熊本)とアウェイで対峙した一戦は、前半26分にFW水巻時飛(3年)のゴールで先制したものの、以降はやや押し込まれる展開の中で、34分に決定的なピンチが訪れる。
右サイドを2本のパスで完全に崩され、相手のエース・山下虎太郎と1対1に。ただ、置かれた状況を冷静に見極めていたエジケは、絶妙のポジション取りで最後まで動かず、枠へ打ち込まれたシュートを丁寧に止め切ると、直後に再び水巻が追加点をゲット。守護神の好守が、ゲームの大きな流れを引き寄せる。
ただ、後半に入ると攻勢を強めたホームチームの前に、鳥栖U-18は防戦一方に。「みんな本当にしんどそうだったので、『自分のところでこの流れを変えられたらな』と思っていましたし、チームを落ち着かせることを考えていました」というエジケは、後半22分にも相手の決定機にさらされる。
右サイドへと展開された流れから、グラウンダーのクロスが入ると、山下がワントラップから巧みに反転してフィニッシュ。至近距離から飛んできたボールを、エジケは驚異的な反応でストップ。このビッグプレーには、場内に詰め掛けた観衆からも大きなどよめきが巻き起こる。
35分には山下に1点を返され、2-1というスコアで突入した終盤戦。同点弾を狙う大津がさらにアクセルを踏み込む中、43分には絶体絶命のシーン。縦パスを中央に刺し込まれ、こぼれ球を収めた山下はエリア内に侵入しながら、右足を強振。軌道は枠を捉えたが、全身で飛び付いた背番号12はボールを懸命に弾き出し、さらに打たれたシュートはDF岩村淳之介(3年)が身体でブロック。失点は許さない。
そのまま試合は2-1でタイムアップ。「本当にキツい時に僕が守らなきゃいけないなという想いはあったので、その気持ちがしっかり出たかなと思います」と笑顔を見せたエジケの再三にわたるファインセーブが、勝点3の獲得とチームの首位奪取に大きく貢献したことに疑いの余地はない。


この試合の2日前。FIFA U-17ワールドカップに臨む、U-17日本代表のメンバーが発表されたが、昨年10月のU17アジアカップ予選、今年4月のU17アジアカップと2つの公式戦に招集されていたエジケの名前は、3枠のゴールキーパー陣の中に書き込まれていなかった。
「今日の試合に向けたモチベーションとして、自分の中で一番大きかったのはワールドカップのメンバーに入れなかったことでした。同じチームのドユン(谷大地)も入らなかったので、2人で話したのは『ここでオレらが腐ったらまったく意味がないぞ』と」。
昨年8月にU-16日本代表の中国遠征で、初めて年代別代表の招集を受けてから、ずっと目指していたワールドカップの舞台。そこに立つ権利を失った16歳の心中は察して余りある。だが、これからもサッカーは続く。明日の練習も、週末の試合も待ってはくれない。ならば、やるしかない。前を向く。上を見る。いろいろな想いをすべてぶつける決意で、エジケはこの日の大津戦に臨んでいた。
「だから、ここで『アイツを選んでおけば良かった』と思われるぐらいの結果を出そうと思っていたので、そういう意味では自分の力を見せつけることができたのかなと。本当に気持ちが出た試合だったのかなと思います」。
試合後にはチームを率いる日高拓磨監督も「今日のヒーローはイブじゃないですかね。ちょっとチームにアクシデントでの交代もあった中で、いいプレーをしてくれたと思います」と称賛を口に。代表選手云々というより、シンプルにいち選手としてのクオリティを存分に発揮したところに、エジケの強いメンタルと今後へののびしろが滲んだ。


代表活動で寝食を共にした仲間たちに、頑張ってほしい気持ちには1点の曇りもない。ワールドカップへ向かう仲間たちに、エジケは笑顔を浮かべながら、こんなエールを送る。
「自分はもうワールドカップに行けないので、自分の分もみんなには頑張ってほしいですね。それこそ今日の僕たちの試合よりも全然キツい試合が待っていると思うので、そこで日本を背負っていることを考えてほしいですし、そのうえで明るく頑張ってほしいですね。オレらは元気があってこそのチームだと思うので、絶対に勝ってほしいなと思います」。
今シーズンも残されたリーグ戦は、あと4試合。とうとう首位に立って中断期間を迎えることになったが、タイトルに向けてエジケも強い決意を語る。
「自分たちが今までやってきたものは、絶対に1位になれるぐらいのものだと思いますし、ここまで来て2位で終わったら、今年が意味のない1年間になってしまうので、絶対1位で終われるように、全員で死に物狂いで戦いたいと思います」。
きっと悔しい経験は、笑って振り返れる過去になる。きっとすべての経験は、輝く未来に繋がっていく。鳥栖U-18を最後方から明るく照らす、強烈なエネルギーを携えた背番号12の絶対的守護神。エジケ唯吹ヴィンセントジュニアは、必ず、もっと、もっと、強くなる。


(取材・文 土屋雅史)
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[10.19 プレミアリーグWEST第18節 大津高 1-2 鳥栖U-18 宇城市立ふれあいスポーツセンター]
同年代の仲間たちと目指してきた、世界の舞台に立つことは叶わなくなったけれど、ここで立ち止まってなんていられない。もちろんみんなの活躍は願いながら、やっぱり選んでおけば良かったと思ってもらえるようなパフォーマンスを出し続けることで、改めて自分の価値を証明し続けてやる。
「自分としてはワールドカップのメンバーに入れないようなプレーはしていないと思っていましたし、もちろん入れる自信はあったので、そういう中でこういう落選という結果になったことは悔しいですけど、だからこそ今日は反骨心を持って戦っていこうと思っていました」。
昨シーズンからチームのゴールマウスを任されている、サガン鳥栖U-18(佐賀)が誇るビッグセーバー。GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(2年=サガン鳥栖U-15出身)はその能力を見せ付けるようなファインセーブ連発で、チームの勝利を自らの手できっちりと引き寄せた。
「最初の方に点を獲れたんですけど、ずっと押される流れが多かったので、『いつかは際どいシュートや危ないシーンが来るだろうな』と思いながらやっていました」とエジケは前半の戦いの中で感じていたことを口にする。鳥栖U-18にとっては勝てば首位に立つ、プレミアリーグWEST第18節。大津高(熊本)とアウェイで対峙した一戦は、前半26分にFW水巻時飛(3年)のゴールで先制したものの、以降はやや押し込まれる展開の中で、34分に決定的なピンチが訪れる。
右サイドを2本のパスで完全に崩され、相手のエース・山下虎太郎と1対1に。ただ、置かれた状況を冷静に見極めていたエジケは、絶妙のポジション取りで最後まで動かず、枠へ打ち込まれたシュートを丁寧に止め切ると、直後に再び水巻が追加点をゲット。守護神の好守が、ゲームの大きな流れを引き寄せる。
ただ、後半に入ると攻勢を強めたホームチームの前に、鳥栖U-18は防戦一方に。「みんな本当にしんどそうだったので、『自分のところでこの流れを変えられたらな』と思っていましたし、チームを落ち着かせることを考えていました」というエジケは、後半22分にも相手の決定機にさらされる。
右サイドへと展開された流れから、グラウンダーのクロスが入ると、山下がワントラップから巧みに反転してフィニッシュ。至近距離から飛んできたボールを、エジケは驚異的な反応でストップ。このビッグプレーには、場内に詰め掛けた観衆からも大きなどよめきが巻き起こる。
35分には山下に1点を返され、2-1というスコアで突入した終盤戦。同点弾を狙う大津がさらにアクセルを踏み込む中、43分には絶体絶命のシーン。縦パスを中央に刺し込まれ、こぼれ球を収めた山下はエリア内に侵入しながら、右足を強振。軌道は枠を捉えたが、全身で飛び付いた背番号12はボールを懸命に弾き出し、さらに打たれたシュートはDF岩村淳之介(3年)が身体でブロック。失点は許さない。
そのまま試合は2-1でタイムアップ。「本当にキツい時に僕が守らなきゃいけないなという想いはあったので、その気持ちがしっかり出たかなと思います」と笑顔を見せたエジケの再三にわたるファインセーブが、勝点3の獲得とチームの首位奪取に大きく貢献したことに疑いの余地はない。


この試合の2日前。FIFA U-17ワールドカップに臨む、U-17日本代表のメンバーが発表されたが、昨年10月のU17アジアカップ予選、今年4月のU17アジアカップと2つの公式戦に招集されていたエジケの名前は、3枠のゴールキーパー陣の中に書き込まれていなかった。
「今日の試合に向けたモチベーションとして、自分の中で一番大きかったのはワールドカップのメンバーに入れなかったことでした。同じチームのドユン(谷大地)も入らなかったので、2人で話したのは『ここでオレらが腐ったらまったく意味がないぞ』と」。
昨年8月にU-16日本代表の中国遠征で、初めて年代別代表の招集を受けてから、ずっと目指していたワールドカップの舞台。そこに立つ権利を失った16歳の心中は察して余りある。だが、これからもサッカーは続く。明日の練習も、週末の試合も待ってはくれない。ならば、やるしかない。前を向く。上を見る。いろいろな想いをすべてぶつける決意で、エジケはこの日の大津戦に臨んでいた。
「だから、ここで『アイツを選んでおけば良かった』と思われるぐらいの結果を出そうと思っていたので、そういう意味では自分の力を見せつけることができたのかなと。本当に気持ちが出た試合だったのかなと思います」。
試合後にはチームを率いる日高拓磨監督も「今日のヒーローはイブじゃないですかね。ちょっとチームにアクシデントでの交代もあった中で、いいプレーをしてくれたと思います」と称賛を口に。代表選手云々というより、シンプルにいち選手としてのクオリティを存分に発揮したところに、エジケの強いメンタルと今後へののびしろが滲んだ。


代表活動で寝食を共にした仲間たちに、頑張ってほしい気持ちには1点の曇りもない。ワールドカップへ向かう仲間たちに、エジケは笑顔を浮かべながら、こんなエールを送る。
「自分はもうワールドカップに行けないので、自分の分もみんなには頑張ってほしいですね。それこそ今日の僕たちの試合よりも全然キツい試合が待っていると思うので、そこで日本を背負っていることを考えてほしいですし、そのうえで明るく頑張ってほしいですね。オレらは元気があってこそのチームだと思うので、絶対に勝ってほしいなと思います」。
今シーズンも残されたリーグ戦は、あと4試合。とうとう首位に立って中断期間を迎えることになったが、タイトルに向けてエジケも強い決意を語る。
「自分たちが今までやってきたものは、絶対に1位になれるぐらいのものだと思いますし、ここまで来て2位で終わったら、今年が意味のない1年間になってしまうので、絶対1位で終われるように、全員で死に物狂いで戦いたいと思います」。
きっと悔しい経験は、笑って振り返れる過去になる。きっとすべての経験は、輝く未来に繋がっていく。鳥栖U-18を最後方から明るく照らす、強烈なエネルギーを携えた背番号12の絶対的守護神。エジケ唯吹ヴィンセントジュニアは、必ず、もっと、もっと、強くなる。


(取材・文 土屋雅史)
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