[MOM5418]東京VユースMF木下晴天(2年)_「チームで一番走れる」超ハードワーカー、躍動!タイトル獲得を引き寄せた土壇場でのPK奪取の価値
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.23 東京都CY U-17選手権決勝 FC東京U-18 1-1 PK3-4 東京Vユース 味の素フィールド西が丘]
圧倒的な馬力で90分間フル稼働できる、そのハードワークは驚異的の一言。もはや搭載しているエンジンが違うと言うほかにない。しかも、シビアな局面では確かな質も発揮してくるのだから、対戦相手からすれば厄介極まりない。
「自分は昔からチームで一番走れるタイプの選手でしたし、実際に皆川(翔太)コーチにも『チームでは一番オマエが走れるんだから、走らないとダメだ』と言われているので、そこはもうこれから1年間戦っていくうえで、絶対に譲れないところかなと思っています」。
FC東京U-18とのダービーを制し、今季1冠目を引き寄せた東京ヴェルディユース(東京)のダイナモ系アタッカー。MF木下晴天(2年=東京ヴェルディジュニアユース出身)が最終盤で獲得したPKの価値は、この日の勝利を振り返るうえで絶対に語り落とせない。
「前半はちょっとビルドアップで苦戦して、押し込まれる展開が多かったですし、相手がマンツーマンを取ってきたんですけど、まず対面で負けてしまって、個人の実力の差を感じていました」。木下は前半の45分間について、こう話す。
東京都クラブユースサッカーU-17選手権決勝リーグ決勝。FC東京U-18と対峙した東京Vユースは、なかなか自分たちのリズムを生み出せない中で、前半22分にビルドアップのミスから先制点を献上。追い掛ける展開を強いられる。
迎えたハーフタイム。「後半は裏をどんどん狙って、セカンドボールで勝負するという戦術に変えました」と木下。得意のパスワークにシンプルなフィードも交えつつ、きっちりセカンドボールを回収することで、陣地回復を図っていくという方向性を統一する。
とにかく、走る。ロングフィードに食らい付き、ディフェンダーと競り合い、懸命にボールを収めたかと思えば、相手のビルドアップにも果敢にプレスを掛け続け、攻撃の起点創出を制限していく。その働きぶりにはチームを率いる手島和希監督も、「攻守に非常に運動量があって、切り替えも速くて、凄くよくやってくれているなと思います」と言及。背番号15は西が丘のピッチを駆け続ける。


決定機をモノにし切れず、0-1のままで試合は最終盤に。後半42分。後方からのシンプルなフィードが前線に送られると、木下はフルスプリントでボールに追いつき、ペナルティエリア内で粘り強いキープから鋭く反転。マーカーともつれて転倒したシーンを見て、主審はPKの判定を下す。
「自分はグッと潜り込んで、ペナルティエリア内で勝負するのが得意なので、あの時は『足を出してくるな』と思ったら、そのまま相手の足が引っかかってPKを取れた感じでした。『よし!』という感じでしたね」。
MF若月蓮(1年)が冷静にゴールネットを揺らし、土壇場でスコアは振り出しに。これにはキャプテンを任されているMF下吉洸平(2年)も「晴天はああいうのが本当に上手くて、狭いところでもグイッと行く力があるので、それが出て良かったなと思います。本当に助かりました」と感謝の言葉を口にする。
試合は大サポーターの声援を味方につけた東京Vユースが、GK名和優太朗(1年)の2本のシュートストップもあって、PK戦の末にタイトル獲得。歓喜に包まれたチームの中でも、「ハーフタイムにもみんなが『1点差だからいけるぞ』みたいなポジティブな声掛けをしていましたし、最後まで試合を通してバラバラにならずに、団結して走り切れたので、そこが良かったなと思います」と笑顔を見せた木下の110分間に渡る献身的なプレーが、一際輝いた。


昨シーズンはチームにとっても11年ぶりの復帰となったプレミアリーグのステージで、木下は19試合に出場して3得点を記録。一定のパフォーマンスは披露したものの、自身の中では真価を発揮し切れていない感覚が残ったという。
「去年も開幕のフロンターレ戦でPKを取って、2試合目のFC東京戦もヘディングで点を決めたので、最初の方は『意外と思い切ってやれば行けるな』という感じだったんですけど、やっぱりプレミアのチームは一人ひとりの能力が高くて、途中からはあまり思うように活躍できなかったと思います」。
意識しているのは、去年のプレミア得点王を獲得した絶対的エースであり、今季からトップチームへと昇格した仲山獅恩の存在だ。すぐ近くでプレーしていたからこそ、その凄さは誰よりもよくわかっている。
「獅恩くんはどんな時もゴールに直結するプレーを狙っていたので、あの意識を自分も取り入れて、今年はよりゴールにフォーカスしていきたいと思います。このチームならプレミアでも結構決定機はあると思うので、去年の獅恩くんみたいに二桁ゴールは獲りたいですし、もっと決定力を伸ばしていきたいです」。
今年はアカデミーラストイヤー。熱量あふれる100パーセントのプレーを貫くのはもちろん、明確な結果を出すことに加え、チームを牽引する役割を担うことも求められる。2026年に向けた強い決意が、木下の口を衝く。
「去年は前期の最後の方で連勝して、3位まで行けたんですけど、後期で連敗した時に、少しみんながバラバラな方向を向いてしまって、一気に降格圏の少し上ぐらいまで落ちてしまったので、去年の1年でいろいろなことを経験したことで、今年はどんな時でも自分の良さをしっかりと生かして、プレーでみんなを引っ張れるようになりたいなと思っています」。
メチャメチャ頑張るこの人の背中は、チームの万難を振り払うだけのエネルギーに満ちている。「生まれた日が雲ひとつない晴天の日だったので、『もう「晴天=はるま」だな』というふうに付けられたと聞きました」という名前を持つ、東京Vユースの超ハードワーカー。木下晴天がこれからも目の前のピッチを全力で走り続けていくならば、その先にはきっと今まで見たことのない景色が広がっているはずだ。


(取材・文 土屋雅史)
[2.23 東京都CY U-17選手権決勝 FC東京U-18 1-1 PK3-4 東京Vユース 味の素フィールド西が丘]
圧倒的な馬力で90分間フル稼働できる、そのハードワークは驚異的の一言。もはや搭載しているエンジンが違うと言うほかにない。しかも、シビアな局面では確かな質も発揮してくるのだから、対戦相手からすれば厄介極まりない。
「自分は昔からチームで一番走れるタイプの選手でしたし、実際に皆川(翔太)コーチにも『チームでは一番オマエが走れるんだから、走らないとダメだ』と言われているので、そこはもうこれから1年間戦っていくうえで、絶対に譲れないところかなと思っています」。
FC東京U-18とのダービーを制し、今季1冠目を引き寄せた東京ヴェルディユース(東京)のダイナモ系アタッカー。MF木下晴天(2年=東京ヴェルディジュニアユース出身)が最終盤で獲得したPKの価値は、この日の勝利を振り返るうえで絶対に語り落とせない。
「前半はちょっとビルドアップで苦戦して、押し込まれる展開が多かったですし、相手がマンツーマンを取ってきたんですけど、まず対面で負けてしまって、個人の実力の差を感じていました」。木下は前半の45分間について、こう話す。
東京都クラブユースサッカーU-17選手権決勝リーグ決勝。FC東京U-18と対峙した東京Vユースは、なかなか自分たちのリズムを生み出せない中で、前半22分にビルドアップのミスから先制点を献上。追い掛ける展開を強いられる。
迎えたハーフタイム。「後半は裏をどんどん狙って、セカンドボールで勝負するという戦術に変えました」と木下。得意のパスワークにシンプルなフィードも交えつつ、きっちりセカンドボールを回収することで、陣地回復を図っていくという方向性を統一する。
とにかく、走る。ロングフィードに食らい付き、ディフェンダーと競り合い、懸命にボールを収めたかと思えば、相手のビルドアップにも果敢にプレスを掛け続け、攻撃の起点創出を制限していく。その働きぶりにはチームを率いる手島和希監督も、「攻守に非常に運動量があって、切り替えも速くて、凄くよくやってくれているなと思います」と言及。背番号15は西が丘のピッチを駆け続ける。


決定機をモノにし切れず、0-1のままで試合は最終盤に。後半42分。後方からのシンプルなフィードが前線に送られると、木下はフルスプリントでボールに追いつき、ペナルティエリア内で粘り強いキープから鋭く反転。マーカーともつれて転倒したシーンを見て、主審はPKの判定を下す。
「自分はグッと潜り込んで、ペナルティエリア内で勝負するのが得意なので、あの時は『足を出してくるな』と思ったら、そのまま相手の足が引っかかってPKを取れた感じでした。『よし!』という感じでしたね」。
MF若月蓮(1年)が冷静にゴールネットを揺らし、土壇場でスコアは振り出しに。これにはキャプテンを任されているMF下吉洸平(2年)も「晴天はああいうのが本当に上手くて、狭いところでもグイッと行く力があるので、それが出て良かったなと思います。本当に助かりました」と感謝の言葉を口にする。
試合は大サポーターの声援を味方につけた東京Vユースが、GK名和優太朗(1年)の2本のシュートストップもあって、PK戦の末にタイトル獲得。歓喜に包まれたチームの中でも、「ハーフタイムにもみんなが『1点差だからいけるぞ』みたいなポジティブな声掛けをしていましたし、最後まで試合を通してバラバラにならずに、団結して走り切れたので、そこが良かったなと思います」と笑顔を見せた木下の110分間に渡る献身的なプレーが、一際輝いた。


昨シーズンはチームにとっても11年ぶりの復帰となったプレミアリーグのステージで、木下は19試合に出場して3得点を記録。一定のパフォーマンスは披露したものの、自身の中では真価を発揮し切れていない感覚が残ったという。
「去年も開幕のフロンターレ戦でPKを取って、2試合目のFC東京戦もヘディングで点を決めたので、最初の方は『意外と思い切ってやれば行けるな』という感じだったんですけど、やっぱりプレミアのチームは一人ひとりの能力が高くて、途中からはあまり思うように活躍できなかったと思います」。
意識しているのは、去年のプレミア得点王を獲得した絶対的エースであり、今季からトップチームへと昇格した仲山獅恩の存在だ。すぐ近くでプレーしていたからこそ、その凄さは誰よりもよくわかっている。
「獅恩くんはどんな時もゴールに直結するプレーを狙っていたので、あの意識を自分も取り入れて、今年はよりゴールにフォーカスしていきたいと思います。このチームならプレミアでも結構決定機はあると思うので、去年の獅恩くんみたいに二桁ゴールは獲りたいですし、もっと決定力を伸ばしていきたいです」。
今年はアカデミーラストイヤー。熱量あふれる100パーセントのプレーを貫くのはもちろん、明確な結果を出すことに加え、チームを牽引する役割を担うことも求められる。2026年に向けた強い決意が、木下の口を衝く。
「去年は前期の最後の方で連勝して、3位まで行けたんですけど、後期で連敗した時に、少しみんながバラバラな方向を向いてしまって、一気に降格圏の少し上ぐらいまで落ちてしまったので、去年の1年でいろいろなことを経験したことで、今年はどんな時でも自分の良さをしっかりと生かして、プレーでみんなを引っ張れるようになりたいなと思っています」。
メチャメチャ頑張るこの人の背中は、チームの万難を振り払うだけのエネルギーに満ちている。「生まれた日が雲ひとつない晴天の日だったので、『もう「晴天=はるま」だな』というふうに付けられたと聞きました」という名前を持つ、東京Vユースの超ハードワーカー。木下晴天がこれからも目の前のピッチを全力で走り続けていくならば、その先にはきっと今まで見たことのない景色が広がっているはずだ。


(取材・文 土屋雅史)


