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[サニックス杯]中3で味わってきた高校年代のハイレベルなピッチ。仙台ユースMF小澤春太が身を投じる「自分ひとりでもいろいろできる選手」へのチャレンジ

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ベガルタ仙台ユースMF小澤春太(中学3年=ベガルタ仙台ジュニアユース出身)

[3.13 サニックス杯 仙台ユース 2-1 大津高 グリーンフィールドC]

 一足早く高校生がしのぎを削る強烈なステージを味わったことで、自分が見据えるべきステージも、もう理解せざるを得なくなった。もちろん期待されている選手というだけで、終わるつもりなんて毛頭ない。年齢なんて、学年なんて関係なく、プレミアリーグのピッチを全力で蹂躙してやる。

「去年から試合に出してもらっていて、クラブからも期待されているんだなということはわかりますし、結構プレッシャーは感じているんですけど、自分を応援してくれている人たちのためにも、これまで以上にアグレッシブにプレーして、誰よりも走って、チームを支えられるような高校1年生になりたいです」。

 昨シーズンからユースで主力を任されてきた、ベガルタ仙台ユース(宮城)が誇る驚異の15歳。MF小澤春太(中学3年=ベガルタ仙台ジュニアユース出身)は強い決意を心の中に刻んで、高校年代最高峰のステージへ飛び込んでいく。


「去年あれだけやっていて、今みたいに試合に出ていないなんてあり得ないですし、まずは監督にもっと信頼してもらえるようなプレーをしないといけないと思っています」。

 小澤は現状の自分を冷静に捉えていた。『サニックス杯国際ユースサッカー大会2026』(福岡)の予選リーグ2日目。東海大福岡高戦は、1日目に続いてスタメンには指名されず、ベンチからピッチを見つめることとなる。

 まだ中学校3年生だった昨シーズンは、“飛び級”でユースの活動に参加すると、全国準優勝を果たした夏のクラブユース選手権では2試合にスタメン出場。さらに、年末のプレミアリーグプレーオフでもやはり2試合に先発して、チームのプレミア初昇格という快挙達成の一翼を担ってみせ、一躍注目される存在となる。

「去年は自分の中でも一番人生で成長できた1年だったと思いますし、先輩たちもメチャメチャ強くて、全国トップレベルの相手とたくさん試合ができて、本当に良い経験になりましたね」。

「ユースの練習に入った最初のころは、先輩にビシバシ言われて本当に大変でしたし、『こんなの無理だ』と思ったんですけど、結果を残していくうちにみんなも自分のことを認めてくれて、夏ぐらいからは(古屋)歩夢くんもメッチャ優しくなって(笑)。優しくしてもらうと自分もプレーを出しやすいですし、それが良いプレーに繋がったところもあるので、先輩たちには感謝しています」。

 さらに昨年はトップチームの練習にも参加。「周りが上手いと自分も生きるので、結構通用しました。印象的だったのは湯谷杏吏くんの股を抜いてかわしたあとに、“デススラ”されたので(笑)、『そういうことをしたらガッツリ来られるんだな』というのは痛感しました」と中学生にして、プロレベルの基準を身体に刻み込む。



 だが、新チームが立ち上がり、プレシーズンの準備を進めていく中で、小澤は新たな課題に直面していた。「去年は中2の時とはまったく違う環境だったんですけど、周りが上手ければ自分も輝けると思っていました。でも、去年まで周りに甘えすぎていた部分が多くて、今年に入ってからは自分ひとりでは何もできないということに悩まされています」。

 2歳も3歳も年上の選手とともにプレーする中で、自分の着実な成長も感じていたが、一方でそれは先輩たちの厚いサポートがあったから、存分に自分のプレーを出せていたということに改めて気づき、自身のイメージと現実のギャップに苛まれているというわけだ。

 東海大福岡戦は味方の負傷もあって、前半のうちに交代出場を果たしたものの、チームは40分間だけで3失点を献上。「何回もボールを受けて、はたいて、を繰り返して、チームの流れを良くしたいと思っていたんですけど、相手が中を閉めてきましたし、プレスも結構速くて、自分も全然ボールを引き出せなくて、チームの流れも悪いままでした」。結果は0-3の完敗。小澤も納得の行くパフォーマンスを発揮するまでには至らない。

 迎えた大会3日目。同じプレミア勢の大津高(熊本)と対峙する一戦。加藤望監督は「ボールにしっかりとアタックできるというか、奪いに行けるところが特徴だと思いますね」と評する小澤の名前を、今大会で初めてスタメンリストに書き込む。

「監督からは『もうひとりのボランチにバランスは任せて、全部取りに行け』と言われていたので、自分は全部のボールを取ってやる気持ちで行きましたし、昨日は本当に情けない試合で、自分も何もできなかったという悔しい気持ちがあったので、『絶対に勝ってやる』という気持ちで試合に臨みました」。背番号16は大きなモチベーションを抱えて、キックオフの笛をピッチ上で聞く。

 前半のうちに失点を喫したものの、そんなことで諦めるわけにはいかない。「最初に1点獲られたんですけど、そこでもみんなプラスな声掛けができていて、全然行ける雰囲気がありました」。ハーフタイムに、もう一度みんなで気持ちを奮い立たせる。

 後半16分にエースのFW佐々木亮(2年)が同点弾を挙げると、23分には小澤と同い年の15歳が輝く。左サイドからMF山下湊司(中学3年)が思い切って狙ったシュートは、ゴール右スミへ鮮やかにグサリ。「やってくれましたね。エグいです。湊司はあのパターンに持ち込んだらだいたい入るんですよ」と小澤も笑うゴラッソで、仙台ユースがスコアを引っ繰り返す。

逆転ゴールを叩き込んだ仙台ユースMF山下湊司(29番)

小澤も“便乗”してパフォーマンス!


 試合は見事な逆転勝利。「自分はまず守備のところで刈り取れましたし、攻撃でもボールを受けてはたけたシーンもあって、チームにも良い声を掛けられたのかなって。この勝利は自分たちの大きな自信になったので、どんな相手にもひるまずに戦えるようになるかなと思います」。フル出場を果たした小澤にとっても、充実の80分間になったことは間違いない。


 いよいよ幕を開ける、仙台ユースにとって初挑戦となるプレミアの舞台。以前より成長欲も高まっている新高校1年生のボランチにとっては、もがき続ける過程でさえも、すべてが成長の糧になっていく。

「最近はひとりで何もできないことに悩んでいた中で、(池田)悠一くんに練習の方法も聞いて、『高1の時はずっとこれをやっていたよ』とか教えてもらって、それに今はずっと取り組んでいたら、最近はドリブルで少し運べたり、ボールを取られることが少なくなったりしてきたので、ここをもっと磨いていければ、まず自分が目標にしている悠一くんの壁を超えられるのかなって」。

「去年からユースの試合に出してもらって、自分が一番良い環境で経験を積ませてもらっていると思っているので、もっと学年に関係なくチームを引っ張って、個人としても結果を残していく中で、もっと自分ひとりでもいろいろできる選手になっていければ、代表とかもあるのかなと思いますし、もっと有名になりたいです」。

 本格的に足を踏み入れていく、高校年代の真剣勝負。年齢なんて、学年なんて関係なく、プレミアリーグのピッチを全力で蹂躙してやる。ベガルタの未来を明るく照らし得る、15歳の類まれな才能。小澤春太が2026年に描く成長曲線は、果たしてどこまで。



(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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