[MOM5442]FC東京U-18FW樋口佳(2年)_FC多摩JY時代にも日本一を経験した武骨な2年生ストライカーがプレミアデビューの開幕戦で2G1Aの大暴れ!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.4 プレミアリーグEAST第1節 FC東京U-18 3-0 青森山田高 東京ガス武蔵野苑多目的グランド]
レベルの高い環境に飛び込み、なかなか真価を発揮するまでには至らなかったけれど、今はもうはっきりとした軸が定まっている。他人と比較しても、何も始まらない。自分には、自分にしかできないことがある。ならば、それをとにかく追求するだけ。今やるべきことを100パーセントでやり切るだけだ。
「去年はあまり試合に絡めなかったという悔しさはあったので、開幕からその悔しさをぶつけたいと思っていましたし、継続して試合に出られるようにゴールという結果を残そうという想いはあったので、2ゴールという結果を残せて良かったです」。
待ちに待ったプレミアデビュー戦に挑んだ、FC東京U-18(東京)のニューカマー。FW樋口佳(2年=FC多摩ジュニアユース出身)がいきなりの2ゴール1アシストという鮮やかな活躍で、新指揮官が率いるチームを開幕勝利に導いてみせた。
「アップのところからそうですけど、全員が『入りから100パーセントで行こう』というような声掛けをしていて、それが全員に共通認識としてあったので、最初から行けたかなと思います」。
樋口がそう振り返ったように、FC東京U-18は開始直後からフルスロットルで立ち上がる。プレミアリーグEAST開幕戦。青森山田高(青森)をホームに迎えた一戦は、好リズムでゲームに入ると、7分には樋口の浮き球パスを収めたMF中野寛基(3年)が、華麗なドリブルから先制点を記録。早くも1点をリードする。
13分。背番号13はその瞬間を虎視眈々と狙っていた。右サイドからMF友松祐貴(3年)がカットインしてきたのを確認すると、相手のディフェンスラインと駆け引きしながら、飛び出すタイミングを丁寧に図る。
「自分は裏抜けを得意としていて、友松選手が顔を上げたタイミングで、『これは裏を取れるな』と思って、背後に走ったところに友松選手が良いボールをくれたので、後は振り抜くだけだと思って振り抜きました」。やや角度のない右サイドから打ち込んだシュートは、左のポスト内側を叩きながらゴールネットへ収まる。
「あそこの角度のシュートは練習でもずっとやっていて、その練習の成果が出たかなと思います。絶対に自分が点を獲って勝たせるという想いで試合に臨んだので、驚きはなかったですけど、それでも嬉しさはありましたね」。樋口にとってはプレミアデビュー戦で沈めた、プレミア初ゴール。2-0。チームも点差を広げる。






45+4分。再び背番号13が輝きを放つ。左サイドでFC東京U-18が獲得したCK。キッカーの友松が正確なボールを中央へ蹴り入れると、マンツーマンで付かれていたマーカーを巧みに外した樋口のヘディングが、ゴールネットへ突き刺さる。
「自分は身長が高くない方なんですけど、相手との駆け引きと、恐れずに飛び込むというところが自分は得意なので、うまくフリーになれて点を獲れたかなと。今年の自分たちはセットプレーも強みになるかなと思っていて、友松選手のような良いキッカーもいますし、身長の高い選手もいるので、その強みにしていきたい部分で点が獲れたのは良かったです」。
「やっぱりプレミアリーグでしか得られない嬉しさというか、最高峰のリーグだからこそ、あのゴールを決めた時の嬉しさがあるなと思いましたし、味方も駆け寄ってくれたので、凄く嬉しかったですね」。
2年生ストライカーのドッピエッタを、チームメイトも笑顔で祝福する。「練習でも凄く勢いを持って取り組んでくれていたので、今日はやってくれるんじゃないかなとスタッフみんなで期待していました」と笑顔を見せたのは、この日がプレミア初采配となった北慎監督。大事なオープニングマッチで樋口が解き放った得点感覚が、チームと新指揮官に大きな勝利をもたらした。






樋口が中学時代にプレーしていたのは、東京都内でも有数の強豪街クラブとして知られるFC多摩ジュニアユース。2年時のクラブユース選手権では1つ上の先輩の吉田湊海(鹿島ユース)や古川蒼真(流経大柏)、松本瑛太(京都U-18)らに混じってスタメン出場を続け、大会4ゴールを挙げて日本一も経験している。
高校進学時には複数の選択肢があったものの、「一番の目標はプロになるというところで、自分が一番どこで輝けるかなと思った時に、FC東京だなと感じましたし、練習の雰囲気とか、トップとの繋がりが凄く良かったので、最終的にFC東京に来ました」と青赤のアカデミーに飛び込むことを決断した。
ただ、「彼も勢いを持って、FC東京に飛び込んできてくれたんですけれども、去年はケガもあったりして、たぶん本人も思うような成果が出せたとは感じていないのかなと思っています」と北監督も言及したように、1年時はなかなかトップチームには絡めず、端から見ると難しいシーズンを過ごしたように見えるが、本人のベクトルはちゃんと自分に向いていたようだ。
「技術という面では他の選手と違って足りていないですし、アカデミーの選手たちは凄く足元の技術が上手くて、そういうところで今も苦労しているところはあるんですけど、アカデミー出身ではないからこそ、自分にしかないところはあると思いますし、チームに影響を与えられることもたくさんあると思うので、アカデミー出身ではないことをプラスに捉えてやっています」。
泥臭くても、ゴールに向かい続ける。地味でも、前からプレッシャーを掛け続ける。周囲のプレースタイルを理解し、その中で自分の特徴を過不足なく出し切れるタイミングを狙い続ける。「取り組み自体はしっかりやれていたので、今年に対する意気込みはなおさら強かったんじゃないかなと感じています」(北監督)。着実に、一歩ずつ成長にフォーカスしてきた日常が、プレミア初出場での2得点に繋がったことは間違いない。


それでも、チームのポジション争いは強烈だ。この日2トップを組んだFW井部結斗(3年)に途中出場のFW赤松受陀(3年)、さらに年代別代表にも選ばれているFW城秀人(2年)など、フォワード陣には強力なライバルが居並ぶが、樋口は足元をしっかり見つめている。
「個人としてはプレミアに出続けることが大事だと思うので、この初戦で点を獲れたということに慢心せず、これからの試合でももっと点を獲り続けて、試合に出続けられるような選手でありたいですし、チームとしてはプレミアリーグ優勝と、クラブユース優勝という大きな目標を達成したいです」。
突然のように見える躍動は、決して偶然なんかじゃない。豊かな才能が揃うFC東京U-18の中で、唯一無二の個性を打ち出す、武骨でまっすぐな点取り屋。樋口佳がこれからさらに描いていく成長曲線の先には、まだまだ無限の可能性が広がっている。


(取材・文 土屋雅史)
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[4.4 プレミアリーグEAST第1節 FC東京U-18 3-0 青森山田高 東京ガス武蔵野苑多目的グランド]
レベルの高い環境に飛び込み、なかなか真価を発揮するまでには至らなかったけれど、今はもうはっきりとした軸が定まっている。他人と比較しても、何も始まらない。自分には、自分にしかできないことがある。ならば、それをとにかく追求するだけ。今やるべきことを100パーセントでやり切るだけだ。
「去年はあまり試合に絡めなかったという悔しさはあったので、開幕からその悔しさをぶつけたいと思っていましたし、継続して試合に出られるようにゴールという結果を残そうという想いはあったので、2ゴールという結果を残せて良かったです」。
待ちに待ったプレミアデビュー戦に挑んだ、FC東京U-18(東京)のニューカマー。FW樋口佳(2年=FC多摩ジュニアユース出身)がいきなりの2ゴール1アシストという鮮やかな活躍で、新指揮官が率いるチームを開幕勝利に導いてみせた。
「アップのところからそうですけど、全員が『入りから100パーセントで行こう』というような声掛けをしていて、それが全員に共通認識としてあったので、最初から行けたかなと思います」。
樋口がそう振り返ったように、FC東京U-18は開始直後からフルスロットルで立ち上がる。プレミアリーグEAST開幕戦。青森山田高(青森)をホームに迎えた一戦は、好リズムでゲームに入ると、7分には樋口の浮き球パスを収めたMF中野寛基(3年)が、華麗なドリブルから先制点を記録。早くも1点をリードする。
13分。背番号13はその瞬間を虎視眈々と狙っていた。右サイドからMF友松祐貴(3年)がカットインしてきたのを確認すると、相手のディフェンスラインと駆け引きしながら、飛び出すタイミングを丁寧に図る。
「自分は裏抜けを得意としていて、友松選手が顔を上げたタイミングで、『これは裏を取れるな』と思って、背後に走ったところに友松選手が良いボールをくれたので、後は振り抜くだけだと思って振り抜きました」。やや角度のない右サイドから打ち込んだシュートは、左のポスト内側を叩きながらゴールネットへ収まる。
「あそこの角度のシュートは練習でもずっとやっていて、その練習の成果が出たかなと思います。絶対に自分が点を獲って勝たせるという想いで試合に臨んだので、驚きはなかったですけど、それでも嬉しさはありましたね」。樋口にとってはプレミアデビュー戦で沈めた、プレミア初ゴール。2-0。チームも点差を広げる。






45+4分。再び背番号13が輝きを放つ。左サイドでFC東京U-18が獲得したCK。キッカーの友松が正確なボールを中央へ蹴り入れると、マンツーマンで付かれていたマーカーを巧みに外した樋口のヘディングが、ゴールネットへ突き刺さる。
「自分は身長が高くない方なんですけど、相手との駆け引きと、恐れずに飛び込むというところが自分は得意なので、うまくフリーになれて点を獲れたかなと。今年の自分たちはセットプレーも強みになるかなと思っていて、友松選手のような良いキッカーもいますし、身長の高い選手もいるので、その強みにしていきたい部分で点が獲れたのは良かったです」。
「やっぱりプレミアリーグでしか得られない嬉しさというか、最高峰のリーグだからこそ、あのゴールを決めた時の嬉しさがあるなと思いましたし、味方も駆け寄ってくれたので、凄く嬉しかったですね」。
2年生ストライカーのドッピエッタを、チームメイトも笑顔で祝福する。「練習でも凄く勢いを持って取り組んでくれていたので、今日はやってくれるんじゃないかなとスタッフみんなで期待していました」と笑顔を見せたのは、この日がプレミア初采配となった北慎監督。大事なオープニングマッチで樋口が解き放った得点感覚が、チームと新指揮官に大きな勝利をもたらした。






樋口が中学時代にプレーしていたのは、東京都内でも有数の強豪街クラブとして知られるFC多摩ジュニアユース。2年時のクラブユース選手権では1つ上の先輩の吉田湊海(鹿島ユース)や古川蒼真(流経大柏)、松本瑛太(京都U-18)らに混じってスタメン出場を続け、大会4ゴールを挙げて日本一も経験している。
高校進学時には複数の選択肢があったものの、「一番の目標はプロになるというところで、自分が一番どこで輝けるかなと思った時に、FC東京だなと感じましたし、練習の雰囲気とか、トップとの繋がりが凄く良かったので、最終的にFC東京に来ました」と青赤のアカデミーに飛び込むことを決断した。
ただ、「彼も勢いを持って、FC東京に飛び込んできてくれたんですけれども、去年はケガもあったりして、たぶん本人も思うような成果が出せたとは感じていないのかなと思っています」と北監督も言及したように、1年時はなかなかトップチームには絡めず、端から見ると難しいシーズンを過ごしたように見えるが、本人のベクトルはちゃんと自分に向いていたようだ。
「技術という面では他の選手と違って足りていないですし、アカデミーの選手たちは凄く足元の技術が上手くて、そういうところで今も苦労しているところはあるんですけど、アカデミー出身ではないからこそ、自分にしかないところはあると思いますし、チームに影響を与えられることもたくさんあると思うので、アカデミー出身ではないことをプラスに捉えてやっています」。
泥臭くても、ゴールに向かい続ける。地味でも、前からプレッシャーを掛け続ける。周囲のプレースタイルを理解し、その中で自分の特徴を過不足なく出し切れるタイミングを狙い続ける。「取り組み自体はしっかりやれていたので、今年に対する意気込みはなおさら強かったんじゃないかなと感じています」(北監督)。着実に、一歩ずつ成長にフォーカスしてきた日常が、プレミア初出場での2得点に繋がったことは間違いない。


それでも、チームのポジション争いは強烈だ。この日2トップを組んだFW井部結斗(3年)に途中出場のFW赤松受陀(3年)、さらに年代別代表にも選ばれているFW城秀人(2年)など、フォワード陣には強力なライバルが居並ぶが、樋口は足元をしっかり見つめている。
「個人としてはプレミアに出続けることが大事だと思うので、この初戦で点を獲れたということに慢心せず、これからの試合でももっと点を獲り続けて、試合に出続けられるような選手でありたいですし、チームとしてはプレミアリーグ優勝と、クラブユース優勝という大きな目標を達成したいです」。
突然のように見える躍動は、決して偶然なんかじゃない。豊かな才能が揃うFC東京U-18の中で、唯一無二の個性を打ち出す、武骨でまっすぐな点取り屋。樋口佳がこれからさらに描いていく成長曲線の先には、まだまだ無限の可能性が広がっている。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2026特集
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