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新指揮官と選手の信頼関係が引き寄せた「良い過程を続けたご褒美」!柏U-18は劣勢の続く展開にも2度の決定機を生かして前年王者・鹿島ユースをアウェイで撃破!

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柏レイソルU-18はアウェイで前年王者・鹿島ユースを撃破!

[4.5 プレミアリーグEAST第1節 鹿島ユース 0-2 柏U-18 メルカリスタジアム]

 押し込まれ続けても、信じていた。攻め続けられても、信じていた。いつか必ず自分たちにもチャンスは来る。その瞬間を見逃さず、確実に仕留める。前年王者の猛攻にさらされながら、太陽王子たちは勝利を手繰り寄せるための一筋の光を、ずっと見据えていたのだ。

「2-0なんてでき過ぎですよね。トレーニングで選手を鍛えていくことはずっと続けてきていますけど、今日はこういう緊迫した試合で勝つことがどれだけ難しいかを身に染みて感じました。これを勝ち切って終わったというのは凄く嬉しいですし、自分の自信にもなったと思います」(柏レイソルU-18・志田達郎監督)

 2回の決定機をモノにして、アウェイで歓喜の凱歌。“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2026 EASTは5日、ディフェンディングチャンピオンの鹿島アントラーズユース(茨城)対柏レイソルU-18(千葉)が行われ、劣勢に回る時間の長かった柏U-18が2-0で勝利。新指揮官の初陣を白星で飾っている。


「前半はウチがちょっと消極的なマインドのライン設定になってしまいましたし、ボールを奪ったとしても、自分がボールやプレッシャーから解放されたいというプレー選択が多かったので、そこで後手に回ってしまう展開だったかなと思います」。

 今季から柏U-18の指揮を執る志田達郎監督が話したように、やや探り合うような序盤を経て、ゲームリズムを掴んだのは鹿島ユース。DF元砂晏翔仁ウデンバ(3年)とDF倉橋幸暉(2年)の両センターバックから丁寧にビルドアップしながら、FW吉田湊海(3年)が巧みにギャップへ潜って基点を創出。ドイスボランチのMF大貫琉偉(3年)とMF福岡勇和(3年)もセカンドボールの回収で優位に立ち、ジワジワと相手陣内へ侵食していく。

 鹿島ユースに訪れた絶好の先制機は24分。高い位置でボールを奪った吉田は、ミドルレンジから強烈な枠内シュート。柏U-18GK金子遙真(3年)が懸命に弾いた軌道はゴール方向に向かうも、右ポストに跳ね返ったボールを金子が懸命にキャッチ。さらに35分にも決定機。大貫が左へ展開した流れから、吉田がサイドをえぐってマイナスへ折り返し、走り込んだFW石渡智也(2年)のシュートはわずかに枠の右へ外れたものの、際どいシーンを創出する。

 一方の柏U-18は押し込まれる展開の中で、時折中盤に入ったMF加茂結斗(3年)とMF大木颯(2年)にボールが入ると局面が変わりそうな雰囲気は打ち出すも、チャンスまでは繋がらない。一方で守備面ではDF吉川晴翔(3年)やDF丸山寿貴斗(3年)が懸命に身体を張り、何とか一線は越せさせず。前半はスコアレスで45分間が終了した。


 後半に入っても、攻勢を強めるのは鹿島ユース。14分。左サイドでDF岩土そら(2年)、FW滝澤周生(2年)、吉田とボールが回り、こぼれを枠へ収めた滝澤のシュートは、柏U-18のキャプテンを務めるDF上野暉晏(3年)が身体でブロック。15分。セットプレーの流れから、福岡が送ったフィードに元砂が競り勝ち、FW高木瑛人(2年)の完璧なオーバーヘッドは、金子が右手一本で掻き出す。

18分。岩土を起点に、石渡が左から上げたクロスを高木がヘディングで捉えるも、ここも金子がビッグセーブ。20分。ピッチ中央、ゴールまで約25メートルの位置から岩土が直接狙ったFKは右スミを襲うも、飛び付いた金子が必死にセーブ。27分。左サイドで滝澤が時間を作り、大貫が右足で入れたクロスに吉田が頭で合わせるも、「一瞬ヤバいと思ったんですけど、もうアレは本能でした」と振り返る金子が、この日5本目のファインセーブ。守護神がことごとく鹿島ユースの前に立ちはだかる。

 32分の主役は、「何としてもオレが試合の流れを変えてみせる」とピッチへ飛び出した途中出場の背番号18。中央を運んだ上野が縦パスを通し、DF落合哉太(2年)、MF岸野遥大(3年)と続けてダイレクト。受けたFW巻渕彪悟(3年)が強引に前を向き、こぼれたボールにいち早く反応した岸野が左足を振り抜くと、ボールはゴールネットへ転がり込む。

「どこにこぼれてくるかは直感というか、本能みたいなところですね。自分が得点して勝利に貢献したいという気持ちで挑んだので、今までやってきたことが報われたなと。ボールを繋いでくれた仲間のおかげだと思っています」。岸野のプレミア初ゴールは貴重な先制点。この試合初の決定機を得点に結び付けた柏U-18が、1点のリードを奪い取る。

「そんなに多くはないですけど、チャンスも作れていたので、試合自体はそんなに悪くなかったと思います」と中野洋司監督も言及した鹿島ユースは、終盤でビハインドを背負う展開に。45分には元砂のフィードを収めたMF大島琉空(3年)の左クロスに、走り込んだ吉田のヘディングはゴール左へ。どうしても1点が遠い。

 試合に決着をつけたのは、今季の柏U-18を牽引する新キャプテン。45+3分。中盤を攻守に支え続けたMF阿出川琥吾(3年)が左へ展開。途中出場のMF黒沢碧(3年)がドリブルで中央へ切れ込み、走り込んできた上野はエリア外から右足一閃。強烈な弾道が右スミのゴールネットへ一直線に突き刺さる。

「メチャクチャ良いコースに飛びましたね。蹴った瞬間に『これは入るな!入った!よっしゃ!』という感じでした」と笑った上野の一撃で勝負あり。「どんなに押し込んでも2-0になるような相手ではないと思いますし、0-2になっていても全然おかしくない試合でしたけど、踏ん張り続けられたのが勝利の要因かなと思います」と志田監督も口にした柏U-18が、アウェイで粘り強く勝点3を引き寄せる結果となった。


 後半からの投入で先制ゴールを叩き出した岸野が、興味深いことを話していた。「志田さんからは何も言われていないですけど、もうわかっている状態というか、意思疎通できている状態でしたね。フォワードの位置でやらせてもらったので、『点を決めてこい』というメッセージだと思いました」。

 志田監督は今季から指揮官を務めているものの、昨年までの2年間はU-18でコーチを務めていたうえに、今年の3年生に関してはU-15年代でも指導に当たった間柄。「最初から選手と関係性を作るところから始まらなかったのは大きかったですね。3年の彼らは中2でも受け持っているので、そのころのちょっと難しい時期も知っていますし、直接受け持っていない時もグラウンドで見ていましたし、そういう意味では『全部わかってあげられているよ』というのは、安心材料として与えてあげられるのかなと思います」とも話している。

 この日のスタメンに指名された4枚のアタッカーは巻渕を除いて、MF五十嵐陵(2年)、MF茂木勇人チュクソム(2年)、大木といずれも2年生。アカデミーラストイヤーの開幕戦というシチュエーションで、岸野にも思うところがなかったはずはない。

 そんな3年生が沈めた意地の一発。「志田さんは日ごろの練習からずっと情熱派というか、ずっと『何としても勝つ、絶対に勝つ』みたいな想いを持っているのはわかっているので、それに応えたいという気持ちで何とかゴールできました」という岸野の言葉にも、指揮官と選手の確かな信頼関係が滲んだ。

 前年王者相手にもぎ取った勝利が、今後にどういう影響をもたらすかを尋ねても、志田監督は実に地に足のついた答えを返してくれた。「今シーズンが始まってから、とにかく選手たちが良い準備と、良い集中力をトレーニングで続けられていたので、『その過程があって、この勝利があるよ』と。『やった分だけこうやってちゃんとご褒美が来るんだよ』という1勝として扱って、『また火曜日からFC東京戦に向けてトレーニングする必要があるよね』というふうに話しやすくなったという勝利ですかね」。

 同じ質問をぶつけた上野の答えも、ご紹介しておこう。「志田さんも『今日は勝つ気ではいたし、勝つと思っていた』と言ってくれて、それは自分たちも思っていましたし、この勝利でもちろん自信が付いたんですけど、それをこれからの試合でしっかり出すためにも、練習が一番大切だとみんな感じていると思います」。すべてを言葉にしなくても、選手たちも、指揮官も、お互いのやるべきことはわかっているということだろう。

 日々の成長と、掲げたプレミアのタイトルという目標に向けて、情熱派の新監督と真摯にトレーニングへ取り組む選手たちが、2026年に奏でる力強いハーモニー。今シーズンの柏U-18がたどっていく進化の過程には、大いに注目する必要がありそうだ。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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