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タイガー軍団が「チームワークとハードワーク」で際立たせていく2026年の輪郭。前橋育英と東京Vユースの一戦はチャンスを作り合うもスコアレスドロー決着

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前橋育英高東京ヴェルディユースの一戦はスコアレスドローで決着

[4.19 プレミアリーグEAST第3節 前橋育英高 0-0 東京Vユース 前橋育英高校高崎グラウンド]

 新しいチームで戦ってきたプレミアリーグの3試合で、ここから際立たせていくべき輪郭のようなものは、確実に見えてきた気がする。自分たちの現在地は、自分たちが一番よくわかっている。とにかく走る。とにかく戦う。とにかくハードワークする。サッカーの本質を見つめて、このチームで望んだ結果をみんなで手繰り寄せてやる。

「ハードワークして、みんなで戦って、というところでは良いものを見せられるのかなと。サッカーの上手さはそこまでないかもしれないですけど、見ていて気持ちいいチームになってきているのかなと思います」(前橋育英高・松下裕樹コーチ)

 双方が決定機を作り合いながらも、結果はドロー決着。19日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2026 EAST第3節で、前橋育英高(群馬)と東京ヴェルディユース(東京)が対峙した一戦は、90分間を終えてもスコアは動かず、0-0で引き分けている。


 先にチャンスを掴んだのは前橋育英。前半4分。MF木下遙(3年)のパスから、オーバーラップしたDF中村孝成(2年)がクロス。ファーで収めたMF瀬間飛結(3年)のシュートは枠の右へ逸れたものの、まずはホームチームが連勝への意欲を滲ませる。

 以降の展開はやや膠着状態に。前橋育英はMF山本翼(3年)とMF笹蒼尉(3年)、東京VユースはMF下吉洸平(3年)とMF広瀬怜音(3年)、両チームともドイスボランチを軸にボールを丁寧に動かし、チャンスを窺いながらも、決定的なシーンまでは生み出せない。

東京Vユースの攻撃を牽引するMF広瀬怜音


 34分には前橋育英にセットプレーから決定機。左から木下が蹴り込んだCKに、飛び付いたDF山本颯吾(3年)のシュートのディフレクションはゴールに向かうも、右のポストを叩き、東京VユースDF川本悠祐(2年)がライン上で必死にクリア。こぼれ球を再び山本颯吾が狙うも、今度は東京VユースGK名和優太朗(2年)がファインセーブで凌ぐ。

 41分は東京Vユースに絶好の先制機。相手のビルドアップを奪ったMF木下晴天(3年)は、そのままエリア内へ侵入。飛び出したGKを外してファーサイドの枠内へシュートを転がすも、「『来るならファーかな』と思って、そこを信じて走り込んだらボールが来ました」という山本翼が決死のカバーからスーパークリア。最初の45分間はスコアレスのままで推移した。


 後半もチャンスはどちらにも訪れる。2分は前橋育英。DF安西健吾(3年)の縦パスからMF川口優(2年)は右へ展開。FW立石陽向(3年)が打ち切ったドリブルシュートは、枠の右へ逸れるも好トライ。7分は東京Vユース。下吉が右サイドへ振り分け、鋭いフェイントでマーカーを剥がした木下のシュートは、前橋育英GK根岸彗也(3年)がキャッチ。13分も東京Vユース。左サイドからMF若月蓮(2年)が蹴り入れた正確なFKに、DF渡邉春来(3年)がドンピシャで合わせたヘディングは、しかしゴール左へ。均衡は崩れない。

 この日の両チームが披露したデイフェンス陣の奮闘も見逃せない。「プレスがハマっている感じは全然しなかったんですけど、剥がされてもハードワークというところはしっかりできていたのかなと思います」と瀬間も話した前橋育英は、思ったようにプレスが掛からない中でも、右から中村、安西、DF深見翔太(3年)、山本颯吾で組んだ4バックがきっちりスライドしながら、ペナルティエリアに入れさせない守備を徹底する。

 一方の東京Vユースも「去年は前からがっつりハメる印象だったんですけど、今年はそれをやりながらもブロックを敷いたり、中間守備でどっしり構えることも多くなった印象があります」と渡邉が言及したように、行くところと構えるところを使い分けつつ、最後の局面では右からDFカマラ・シェック・セザール(3年)、渡邉、川本が並ぶ3バックに加え、右のDF中山太輝(3年)、左のDF原田爽潤(2年)の両ウイングバックも身体を張って、堅陣を築く。

東京Vユースのディフェンスリーダー、DF渡邉春来


 24分は前橋育英。笹が右へ振り分け、中村がパーフェクトなクロス。走り込んだ山本翼のヘディングは鮮やかにゴールネットを揺らしたものの、ここはオフサイドという判定で得点は認められず。28分も前橋育英。途中出場のMF佐々木悠太(3年)を起点に、ここも中村が好クロスを蹴り込み、立石が合わせたヘディングは果敢に飛び出した名和がビッグセーブ。先制には至らない。

再三際どいクロスを蹴り込んだ前橋育英の右サイドバック、DF中村孝成


 31分は東京Vユース。若月が高い位置で時間を作り、左サイドを走った原田のシュートは安西が気合でブロック。35分も東京Vユース。右から下吉が蹴り入れたFKに、広瀬のヘディングは枠を襲うも、「シュートストップのところは得意なので、シュートへの良い反応ができたんじゃないかなと思います」と振り返る根岸がワンハンドでビッグセーブ。アウェイチームも1点が遠い。

ビッグセーブでチームの危機を救った前橋育英GK根岸彗也


 37分は前橋育英。左サイドでこぼれ球を粘って収めた瀬間のカットインシュートは、わずかにクロスバーの上へ。43分は東京Vユース。右サイドで粘り強いキープから、フィニッシュまで持ち込んだFW沼田晃人(1年)のシュートは枠の上へ。最終盤まで懸命に目指す、ゴールと勝利。

 ラストチャンスは45+4分の前橋育英。ボランチの位置から飛び出した笹が、右サイドから内側へ切れ込み、得意の左足で叩いた枠内シュートは、ここも名和がキャッチすると、直後にタイムアップを告げるホイッスルが鳴り響く。

「初戦で流経さんが痛い目を見せてくれて、翌週からこんな強度じゃダメだという練習をずっとやってきたので、今日の暑さにも負けずにハードワークできたんじゃないかなと思います」(山本翼)「自分たちにも相手もチャンスがあった中で、もちろん点を決めたかったですけど、無失点で終えられたことは良かったと思います」(渡邉)。最後まで得点は生まれず、双方に勝点1ずつが振り分けられる結果となった。



 前橋育英の松下裕樹コーチは、「守備の部分でも恐れずやってくれたと思います。相手が上手いので、ボールにプレッシャーに行っても外されまくっていた中で苦しかったと思いますけど、それでも勇気を持って、本当にタフにそれをやり続けたことは良かったですね」とこの日の90分間を振り返る。

 プレミアデビューの選手も少なくなかった、開幕戦の流通経済大柏高戦は0-2で敗れたが、チームの中ではその結果以上に、プレシーズンで自信を付けてきたアグレッシブな姿勢を打ち出せなかったことへ、強い危機感が共有されたという。

「開幕戦は流経のことを意識し過ぎて、自分たちの時間がないまま90分間終わってしまったので、そこからはミーティングでも『絶対に自分たちの時間を作った方がいい』みたいな話をしてきました」(山本翼)「流経戦は自分が恐れ過ぎていたというか、それで選手の良さを殺してしまったなと思いますし、やっぱりやるのは選手たちなので、こちら側がもっと勇気を持ってやらせてあげられるようにしないとなと反省しています」(松下コーチ)

 改めて自分たちのやるべきことを見つめて挑んだ第2節。アウェイでベガルタ仙台ユースと激突した一戦は、攻撃陣が得点を重ねて4-1で快勝。ハードワークが持つ価値を、志向するスタイルを前面に打ち出す意味を、選手たちは勝利という確かな成果で、再認識することに成功する。

 去年は去年。今年は今年。ハイレベルなリーグでの3試合を経て、2026年のチームの方向性もぼんやりと見え始めてきたようだ。「去年は上手い選手も多かったんですけど、今年はチーム全体で戦うところが強みだと思います」(瀬間)「去年みたいなタレントはいないので、本当に1人でもサボったらこのチームはやられますし、自分たち一人ひとりがやらないといけないという気持ちはみんなが持っているのかなと思います」(山本翼)

「本人たちもできないこと、足りないことをわかっていて、それをどんどん良くしていきたい、どんどんチャレンジしていきたいという気持ちがあるので、そこがマッチし始めているのかなと思います。こちら側としてもやっぱり良くしていきたいですし、選手たちももっと上手くなりたいと思っているでしょうし、結果を残したいと思っているでしょうし、そうなるともっともっと良くなる要素しかないのかなって」(松下コーチ)

 高いレベルの日常を味わってしまったからには、もう後戻りする選択肢なんて持ち合わせていない。トライアンドエラーを繰り返し、それでもチャレンジするマインドを貫き、ひたすらにさらなる成長を希求する。上州のタイガー軍団が突き進むのは、あるべき自分たちの姿へとたどり着くためのオフロード。今シーズンの前橋育英が地道に磨き上げていく進化の過程から、目が離せない。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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