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「苦しむ時間も大事」に継続と変化を見極めて突き進む成長のサイクル。鳥栖U-18は米子北を4ゴールで撃破して今季ホーム初勝利&初の連勝達成!

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サガン鳥栖U-18は今季ホーム初勝利と初の連勝を同時にゲット!

[5.16 プレミアリーグWEST第8節 鳥栖U-18 4-1 米子北高 佐賀市健康運動センターサッカー・ラグビー場]

 なかなか結果の出なかった時期を経て、みんなの目がそろってきたことで、確実に努力は形になりつつある。もともと貫いてきたこのクラブらしさを忘れず、そこに今年のチームの色をプラスすることで、プレミアの荒波を逞しくサバイブしていく覚悟も、整いつつあるようだ。

「このチームならもっともっとできると思いますし、目標はみんな揃っていると思うので、みんなの強い個性をうまく生かして、前を向き続けながら、1試合1試合を全力で戦って、まずはこのまま勝ち続けるというところを目標にして、みんなでやっていきたいと思います」(サガン鳥栖U-18・大野廉門)

 難しい90分間を逞しく制して、今季初の連勝達成!16日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2026 WEST第8節で、サガン鳥栖U-18(佐賀)と米子北高(鳥取)が対峙した一戦は、米子北が先制したものの、前半のうちに数的優位を得た鳥栖U-18が4点を奪って逆転勝ち。今シーズンのホーム初勝利を引き寄せている。


「前半は自分たちのイージーなミスが多かったですし、ボールを持った時に相手の寄せてくるスピードも思っていた以上にあって、難しい展開でした」と鳥栖U-18のFW真殿京佑(3年)も話したように、まずゲームリズムを掴んだのは米子北。セカンドボールはドイスボランチのMF奈良碧士(3年)とDF岸本実(3年)がことごとく回収。そこから推進力のある右のMF金定秀芽(3年)、左のMF洞琉斗(3年)の両サイドハーフをシンプルに生かし、鋭いカウンターを繰り出していく。

 すると、先に歓喜を享受したのはやはりアウェイチーム。29分。FKの流れからFW大原暁(3年)を起点に、左サイドをDF清水大世(3年)が駆け上がってクロス。DF熊野俊典(3年)が落としたボールをDF森元聖(3年)は思い切りよく右足一閃。軌道はゴールネットへ鮮やかに突き刺さる。「こぼれ球を予測してポジションを取っていたので、最後は決め切れて良かったです」と口にした森元のプレミア初得点は、自らの誕生日を祝う“バースデーゴール”。1-0。米子北がリードを奪う。





 試合の流れが大きく変わったのは、前半終了間際の41分。米子北のアタックから、洞のシュートは鳥栖U-18GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(3年)が好セーブで弾き出したように見えたが、判定はゴールキックに。その流れからの鳥栖U-18の攻撃に対し、決定機阻止があったというジャッジで熊野は退場処分に。ややアンラッキーな形で、米子北は10人での戦いを強いられることになる。

 鳥栖U-18が手にしたFKのチャンス。「ファーに巻いたら行けるなという感覚が自分の中であったので、自信を持って蹴りました」というMF大野廉門(3年)のキックはカベをかすめながら、右スミのゴールネットへ吸い込まれる。45+2分にホームチームが追い付き、試合は後半へと折り返す。



 逆転弾は開幕戦のケガから帰ってきた、背番号6のアタッカー。後半4分。真殿の浮かせたパスから、右サイドを運んだMF吉田琥冴(2年)は中央へ折り返し、FW原田蓮太郎(3年)のシュートはDFのブロックに遭ったものの、こぼれを原田が粘り強くゴールへ押し込む。「結果を出さないと次はないと思っていたので、死に物狂いでゴールを狙っていました」と笑った原田のプレミア初ゴールが飛び出し、鳥栖U-18がスコアを引っ繰り返す。





 追い掛ける展開となった米子北は、「3バックにしてウイングを下げるという形で、集中力が切れるか切れないかのギリギリでやっていました」と森元が話したように、DF成田天夢(2年)、清水、森元の3バックに、右は金定、左はDF岩佐豪留(2年)が守備に軸足を置く[5-3-1]気味の布陣で、狙う一刺し。

 65分。奈良、森元と繋いだボールから、金定が左足で打ち切ったミドルは、わずかに枠の右へ。72分は決定機。岩佐のスローインを岸本がフリック。大原の左クロスにFW黒崎煌(3年)は完璧な枠内ヘッドを放つも、ここはエジケがビッグセーブ。鳥栖U-18も右からDF石本葵陽(2年)、DF吉原勘九朗(2年)、DF米湊勇弥(3年)、DF鈴木颯真(3年)で組んだ4バックから左右に丁寧に揺さぶりながら、狙うテンポアップのタイミング。際どい攻防が続く。

 輝いたのはキャプテンの右足。33分。鳥栖U-18が左サイドで獲得したCK。スポットに立った大野は、「誰もさわらなくてもチャンスになるようなボールをいつも意識して蹴っています」というキックを蹴り入れると、ボールはゴール前の密集を抜けて、そのままネットに滑り込む。背番号8、咆哮。3-1。ホームチームが突き放す。




 ダメ押しの一撃は、こちらも戦線復帰した背番号2の右足から。43分。原田が中央を粘って運び、真殿のパスを受けたDF坂口昊太郎(3年)は丁寧にクロス。ゴール方向に向かった軌道をGKは弾き切れず、転がったボールはラインを越える。坂口はプレミアデビュー戦で初ゴールを記録。4-1。勝負あり。

「後半の早い段階で2点目が獲れたのも大きかったですし、今年は勝負強さを出せないゲームが少し多かった中で、こういうゲームをモノにできたのは、また自信になるんじゃないかなと思います」(大野)。鳥栖U-18が数的優位も追い風に、今季4試合目にしてホーム初勝利と、初の連勝を同時に掴み取る結果となった。




 鳥栖U-18の今季の開幕戦は、昨年もWESTの覇権を争ったヴィッセル神戸U-18に、ホームで0-3と敗れるシビアな結果に。以降も第4節まで未勝利と、やや難しいシーズンスタートを突き付けられる。

 ただ、「ゲーム自体は結構支配してやれていたところはあるので、ブレずにやっていこうよという話はしていました」と日高拓磨監督が話せば、「もともと何かが足りていないというよりは、明確に課題もわかっている中で、あとはもうやり続けるだけだという話はみんなでしていました」とは米湊とダブルキャプテンを務める大野。結果が出ても、出なくても、チームは貫くべきものと正面から向き合っていく。

 第5節でファジアーノ岡山U-18に5-1と大勝を収め、今季初勝利を手にすると、以降は4試合で3勝とチームは確実に上昇傾向に。それでも原田は「最初からやることはブラさずにやって、少しずつ付いてきた自信に伴って勝利が続いたので、何かを大きく変えるとかではなくて、今までやってきたことをしっかり出すところにフォーカスして、寮生活とか学校生活、練習を含めてちゃんとやっていったら、徐々に結果が出始めたというイメージです」と継続してきたものの価値を強調する。

 一方で、エジケはコミュニケーションの部分に、確かな変化を感じているようだ。「少し一人ひとりが想いを溜めていたところもあったと思うので、思ったことをちゃんと言うというところで、普段の会話を増やしたり、試合中もより声を出すことで、改めて雰囲気や個々の関係性のところが1つずつ良くなっていって、チームが変わり出しているような感じがしていますし、防戦一方だった神村学園戦(第7節・1-0で勝利)も声を出して、みんなで気持ちで守れたのが良かったと思います」。

 ここまでフルタイム出場の続く2年生の吉原も、「勝ちのなかった苦しい時期は少しマイナスの声が多かったんですけど、みんなで『プラスの声を掛けよう』と話したので、そこから勝ちが増えたところはあると思います」とエジケの言葉に同調。貫くことと変化させることを的確に見極め、みんなで地道に日常を積み重ねてきた過程が、徐々に結果に現れ始めていることは間違いなさそうだ。

 とはいえ、まだシーズンは始まったばかり。日高監督はここからの戦いに向けて、こんなことを話してくれた。「3年生もだいぶケガから復帰してきているので、そういう選手たちが今度は試合に出た時に、最初からずっとやってきたことをやりながら、どううまくバージョンアップしていくかみたいなところが求められると思います」。

 同様に今後のシーズンの進め方を問われた、大野の言葉も印象深い。「『苦しむ時間も大事だ』という話は、自分もコミ(米湊)もずっと言っていますし、同時に『チームがバラバラにならないように、同じ方向を向いてやろう』という話もずっとしているので、苦しんできた時間が無駄にならないように、これからも常にベストを尽くし続けなくてはといけないと思います」。

 自分たちの中心に据えるべき確固たる軸は、みんながハッキリと理解している。そこに何をプラスして、どう進化させていくかは、すなわちチームの大きなのびしろ。入り始めたのは、結果と成長を同じ速度で手にするサイクル。2026年の鳥栖U-18は、継続も変化も恐れず、己の信じる道を、ひたすら前へと突き進む。



(取材・文 土屋雅史)


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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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