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ユースからの加入で勝ち獲ったトップ昇格に「このクラブで成長したい」。東京VユースDFカマラ・シェック・セザールが「もっといい選手になる」ために重ねる日常の経験値

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トップチーム昇格が内定している東京ヴェルディユースDFカマラ・シェック・セザール(3年=FC LAVIDA出身)

[10.10 プレミアリーグEAST第17節 東京Vユース 0-2 柏U-18 ヴェルディグラウンド]

 まだまだ上のレベルで戦い抜くための力が足りないことは、自分が一番よくわかっている。でも、もうプロサッカー選手になることが決まったからには、やるしかない。ユースでの残された3か月も、すべては学びの時間。一歩でも、半歩でも、前に進んでいけるように、努力し続けるしかない。

「一番はこのクラブで成長したいですね。プロの選手に負けないぐらい、このユースの選手たちは上手さがあるので、もう本当に3か月ぐらいしかないですけど、ここでできるだけみんなから多くものを盗んで、もっといい選手になりたいです」。

 187センチの恵まれた体躯を誇る、東京ヴェルディユース(東京)の大型センターバック。DFカマラ・シェック・セザール(3年=FC LAVIDA出身)は今置かれている現状と向き合いながら、Jリーグの舞台で躍動するための準備を整えていく。


「良かったです」。

 試合の感想を一言で表現するあたりに、このチームが積み上げてきたものへの矜持と、思うような結果を手繰り寄せられなかった悔しさが滲む。高円宮杯プレミアリーグEAST第17節。東京Vユースは柏レイソルU-18と対峙。試合の主導権は握りながらも、ミスが絡んで喫した失点が響き、0-2で敗戦を喫することになる。

 とりわけ前半は一方的に押し込む展開に。「ファーストも収められて、セカンドも回収できていましたし、ちゃんと後ろからつなげるところもつなげていたので、本当にやりたいサッカーができていました」というカマラの言葉も、決して大げさではない。

 カマラ、DF川本悠祐(2年)、DF松宮聖(2年)の3バックから丁寧なビルドアップを繰り返し、中盤ではキャプテンのMF下吉洸平(3年)が攻守にゲームをコントロール。MF木下晴天(3年)とMF広瀬怜音(3年)にボールが入ると、攻撃にリズムとスピード感が生まれていく。

 ところが、失点は一瞬の隙を突かれる。後半1分。ペナルティエリア付近でのルーズボールに反応したカマラのバックパスは短く、かっさらった相手選手のシュートはいったんゴールポストに跳ね返ったものの、こぼれ球を押し込まれ、先制点を献上する。

「うまくいっていたのに、僕が関わった失点でみんなの気持ちをちょっと沈めてしまったなと思います」。失点の矛先を自分に向けたカマラも、以降は相手のアタックにきっちり対抗し、1点差のままで推移していたが、CKから掴んだホームチームの決定機も阻まれると、後半のアディショナルタイムにGKとDFの連携に綻びが生じ、2失点目を奪われる。

「もっと声を出して、押し上げてプレスに行けば、相手もミスしてくれますし、僕たちはボールも取れるチームで、僕のところにも回収できるボールはいっぱい来たんですけど、ミスしてしまったので……」。ゲーム内容は決して悪くなかった中で、付いてこなかった結果に対し、責任を強く感じているようなカマラの表情が印象的だった。



 8月25日。ユースでともに最終ラインを組んでいるDF渡邉春来(3年)と同じタイミングで、カマラの2027年1月からのトップチーム昇格が発表される。

 中学時代は昌平高の下部組織として知られるFC LAVIDAでプレー。「昌平に行きたかったんですけど、行けなくなった時に、LAVIDAのコーチがヴェルディで指導者をしていたということで、ヴェルディは自分が足りていないと考えていた技術のところにフォーカスしているチームなので、『ヴェルディに行ったらいいんじゃないか』とコーチが勧めてくれました」とヴェルディアカデミーの門を叩く。

 昨季は第5節の鹿島アントラーズユース戦でプレミアデビューを飾ると、いずれも終盤からの登場で4試合に出場。今シーズンは新たに就任した手島和希監督の元で、開幕から3バックの右センターバックの定位置を確保し、ここまで15試合でスタメンに指名され、高校年代最高峰のステージで実戦経験を積み重ねてきた。

「今年はトップチームの方の活動に参加していたので、大学とトップのどっちに行くことになっても、頑張ろうと思っていました」という中で勝ち獲ったトップ昇格。だが、本人の中ではここからのプロキャリアに対しても、危機感の方が遥かに強いようだ。

「プレミアでのプレーでも自信はついていないですし、まだ全然ダメです。やっぱり今日の3バックで、たぶん一番力がないのが自分ですし、今日もヴェルディのサッカーが完全にできないのも、自分が出ているからだと思うので、本当に全然力が足りないです」。



 確かにまだ不足している部分も目に付くが、自分のポイントに入った時の対人の強さと空中戦の高さは、ユースの中でも群を抜いている。8月には『U-21 Jリーグ』の開幕戦でも90分間プレーし、プロ選手が居並ぶU-21 FC東京のアタッカー陣と、バチバチとやり合うシーンも。高いレベルに放り込まれたことで、より高い潜在能力が引き出された印象だ。


 まずはユースでの残された時間を過ごすと、本格的にプロサッカー選手としての日常が幕を開ける。ここから先で軸に置くべきマインドも、本人は短い言葉で、はっきりと言い切った。

「本当に成長できるように頑張ります。凄く成長したいです」。

 もちろんポテンシャルを備えた若手という枠だけに、とどまるつもりなんて微塵もない。この緑のチームで存在感を放ち続けて、自分の価値を高めてみせる。東京Vユースの最終ラインにそびえ立つ、ドレッドヘアーの護り人。カマラ・シェック・セザールはちょっとずつできることを増やし、ちょっとずつ自信を纏い、味スタのピッチで躍動する未来を引き寄せる。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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