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終盤のファインセーブ連発に滲ませた「キーパーメンバー」代表の意地と執念。川崎F U-18GK岩田幹太郎は「未来を繋ぐための360分間」にすべてを懸ける!

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終盤に好守を連発した川崎フロンターレU-18GK岩田幹太郎(3年=川崎フロンターレU-15生田出身)

[10.18 プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 3-0 川崎F U-18 東京ガス武蔵野苑多目的グランド]

 今の自分たちが置かれている状況は、痛いほどよくわかっている。あの日、国立のスタンドから見つめていた景色を、次世代の後輩たちも眺めるためにも、ここからの勝負は未来を繋ぐための360分間。とにかく飛んでくるボールはすべて弾き出し、とにかく勝利だけを手繰り寄せるしかない。

「これで最下位という状況になってしまいましたし、本当にここからすべて勝っていく勢いでやっていかないと、残留というのは達成できないと思うので、急にいろいろなことを変えるのは難しいかもしれないですけど、またクラブユースの試合も挟むので、ここでいい流れを作って、中断明けに持っていきたいです」。

 川崎フロンターレU-18(神奈川)の背番号1を任されている、水色の炎を心に宿した守護神。GK岩田幹太郎(3年=川崎フロンターレU-15生田出身)がこの日の終盤に何度も見せたビッグセーブには、キーパーメンバーの代表としての意地と執念が詰まっていた。


「全部が全部悪くなかったと思いますけど、やっぱり球際のところとか、あと一歩のところですべて競り負けたりしたことが、結局こういう結果につながったのかなという印象です」。

 岩田は終わったばかりの試合を、悔しげな表情で振り返る。高円宮杯プレミアリーグEAST第18節。アウェイでFC東京U-18(東京)と対峙した“多摩川クラシコ”は、0-3で敗戦。これで横浜FCユースに勝点で抜かれ、川崎F U-18は最下位に転落することになった。

 序盤はどちらに流れが傾いてもおかしくない時間が続いたが、30分と36分に連続失点。「横浜FC戦でも飲水(タイム)を挟んで、前半の終盤にかけてああいうふうにポロポロと失点してしまいましたし、そこはもう少し引き締めないとなと思ったんですけど……」。あっという間に2点のビハインドを背負ってしまう。

 苦境は続く。50分に退場者を出し、数的不利を強いられると、60分には3失点目を献上。限りなく勝利が難しくなった状況の中で、アウェイチームのゴールキーパーは覚悟を決める。

「2失点以上してしまったら、やっぱり引っ繰り返すのはかなり難しくなるので、何とかこのまま抑えようと思っていたんですけど、0-3になってしまったので、少なくとも追いつく上で、これ以上絶対に失点してしまってはいけないなと、そこは強く考えていました」。

 72分。右サイドをワンツーで崩されるも、シューターとの距離を一瞬で詰めると、全身を使ってファインセーブ。リバウンドを拾われ、枠に収められたシュートも懸命に弾き出す。73分。ここもエリア内へ侵入され、至近距離から放たれた決定的なシュートに、ビッグセーブで仁王立ち。4失点目は許さない。

 85分。左サイドから飛んできたカットインシュートは、丁寧にキャッチ。88分。カウンターから一気に右サイドを運ばれての枠内シュートも、コースを狭めてがっちりキャッチ。90+3分。ゴールキックの流れから、シンプルな手数で持ち込まれたフィニッシュも、足を運んで正面から弾き返す。

 結果的には3点差で敗れたものの、「彼もなかなかメンタリティが整わない時期もあったんですけど、ここ最近は凄く一生懸命やってくれていますし、今日もよくやってくれたかなとは思います」と森勇介監督も言及した岩田の、終盤に披露した6本の好セーブには、今後への光明を見出したくなるような、キーパーメンバーの代表としての意地と執念が詰まっていた。



 今シーズンの岩田はプレミアで10試合に出場。開幕からの2試合はGK岡本栞汰(3年)がゴールマウスに入った中で、第3節以降からスタメンを奪取。前期の終盤からはGK青木馨(1年/U-15日本代表)がしばらく起用されていたものの、実に11試合ぶりの勝利を収めた第15節の前橋育英高戦を境に、再び岩田の先発出場が続いている。

 同じ3年生の岡本は、U-15生田時代からのチームメイト。6年間にわたって一緒にハードなトレーニングと向き合い続けてきたライバルではあるが、普段から非常に仲が良く、プライベートでもともに時間を過ごすことが多いという。

「私生活でも仲はいいですし、普段からバチバチしているわけではないので、自分がチームメイトと遊ぶとなったら、木下(勝正)と岡本が定番メンバーなんですけど、それをピッチに持ち込みすぎないようにしながら、公私混同せずにいい関係性を保てているのかなと思います」。

「実際はライバルではありますけど、やっぱり“キーパーメンバー”というのはただのチームメイトではないというか、僕たちキーパー5人組は“ファミリー”と言っていて、それこそグループLINEもあるんですけど、ピッチ内外で仲間意識というのは強いのかなと思っています」

 だからこそ、試合に出ることになった“自分たちの代表”は、それが先輩であろうと、後輩であろうと、もちろん同期であろうと、全力でサポートする。「僕が出ている試合では彼らがサポートしてくれますし、馨や岡本が出ている時期は自分もサポートしたいという想いもあったので、そこはお互いに助け合いながらやっています」。

 3年生の2人のGKは、別々の大学への進学を予定している。残された限りある時間に向けて、岩田の言葉が印象深い。「キーパーである以上、一緒に出ることは難しいですけど、チームメイトとして過ごせる日々は、練習での時間も含めて、大切にしていきたいなと思っています」。最後までお互いにリスペクトしながら、試合に出るための一枠を巡って、切磋琢磨し続けていく。



 最下位には転落したが、11位の横浜FCユースとは勝点1差、10位のベガルタ仙台ユースとは勝点2差であり、1試合の結果で残留圏へと浮上できるような状況でもある。とはいえ、もうここから求められるのは、すべて勝利をもぎ取るぐらいのメンタリティ。岩田も最後の4試合への決意を語る言葉に、改めて力を込める。

「国立でのファイナル(2022年シーズン)はゴール裏で応援していましたし、やっぱりプレミアと他のリーグはまったく別物で、後輩のためにも絶対に残さないといけないので、ここからもう一段階レベルアップして、みんなでまとまってやっていかないといけないと思います」。

「個人としては、まずゴールを守ることは最優先として、試合以外でも3年生としてもっともっとチームをまとめていかないといけないですし、今年は1年生が多く入ってきて、今までより少しチームの規模が大きくなった中で、逆に言えば試合に出られていない選手も多いので、試合に出ているメンバーたちも含めて、さらにチームの団結力を高めていきたいです」。

 特別な絆を結んだ仲間たちと、特別な1つだけのポジションを競い合い、ピッチに立つのだ。そこにすべてのエネルギーを出し尽くさない選択肢なんて、存在しない。彼らに残されたのは、あと360分間。川崎F U-18のゴールに立ちはだかる、1番を背負った最後の砦。岩田幹太郎はチームを勝たせるために、すべてのシュートを弾き出す鬼神と化す。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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