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勝利呼び込む先制点、大儀見「いつもどおり目ざとく狙っていた」

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[8.3 ロンドン五輪準々決勝 日本2-0ブラジル カーディフ]

 ワンチャンスに集中していた。なでしこのエースストライカーが値千金の先制点で試合の流れを引き寄せた。立ち上がり、勢いよく試合に入ったブラジルの攻勢に押された日本女子代表(なでしこジャパン)。劣勢の展開を粘り強く耐えると、前半27分だ。

 ハーフウェーライン付近の左サイドでFKを獲得すると、MF澤穂希が素早いリスタート。これに反応したのがFW大儀見優季(旧姓・永里)だ。一瞬、集中力の切れたブラジル守備陣の隙を突き、1本のパスでゴール前に抜け出す。GKと1対1の絶好機を迎えると、冷静に右足でゴール右隅に流し込んだ。

「流れを呼ぶことが大切だし、ああいう試合になればなるほどチャンスが少なくなるのは分かっていた。だからこそ、あのタイミングで引き出せた」

 大儀見の動き出しと、それを見逃さない澤。完璧なコンビネーションで先制ゴールを陥れた。大儀見にとっては今大会待望の初ゴール。大仕事をやってのけたエースは「いつもどおり目ざとく狙っていたのが、たまたま結果に結び付いたに過ぎない」と、堂々と胸を張った。

 この1点で落ち着きを取り戻したチームはその後のブラジルの反撃にも粘り強く対応。後半もブラジルに押し込まれる時間が長かったが、高い集中力で跳ね返した。後半28分にはDF鮫島彩からのフィードを大儀見がDFとうまく体を入れ替え、ボールキープ。右サイドのFW大野忍にピンポイントのサイドチェンジを通し、追加点を演出した。

 2大会連続のベスト4を懸けた準々決勝で1得点1アシスト。それでも「満足はまったくしていない」と言い切る。「局面局面で見たら、ブラジルの方が1枚も2枚も上だった。そういう力のある相手に対して、寄せられたら失ってしまうところもあった。もっと成長したいなと思った」と、飽くなき貪欲さを見せる。

「チームとして大事な試合でチャンスをものにできる、チャンスをつくり出せるところまでは来たのかなと思う。そこは自分自身の成長を感じている」。進化を続けるストライカーはその歩みを止めることなく、なでしこジャパンを悲願のメダル、そして世界の頂点へと導く。

(取材・文 西山紘平)

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