beacon

“FW再転向”の大野が1ゴール、「通過点だし、メダルへの挑戦は続く」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.3 ロンドン五輪準々決勝 日本2-0ブラジル カーディフ]

 まだ何も成し遂げていない。貴重な追加点で今大会初ゴールを決めたFW大野忍はきっぱりと言った。「ここで満足している選手は一人もいない。通過点だし、メダルへの挑戦は続く。金メダルにこだわっていきたい」。2大会連続銀メダリストのブラジルを撃破し、たどり着いた2大会連続の準決勝。それでも、達成感に浸っている時間はなかった。

「みんなの得点だと思う」。殊勲のゴールにも大野は謙虚に言う。後半28分、FW大儀見優季からのサイドチェンジを受けると、PA内右サイドに切れ込み、鋭い切り返しでDFをかわす。左足を振り抜いたシュートはクロスバーの下を弾いてゴールマウスに吸い込まれた。

「自分が喜ぶ前にチームメイトが喜んでくれたことがうれしかった」。得点を決めた大野以上に派手なガッツポーズを見せていたのがMF宮間あやだった。「(宮間)あやが『今日は来るよ』『今日は来るよ』とずっと言ってて。試合中にも『取ったねー』と声をかけられて。率直にうれしかったし、自分だけのゴールじゃない」と感謝した。

 昨年の女子W杯など最近は右サイドハーフを務めることが多かった大野がFWに戻ったのは、英国入り後だった。佐々木則夫監督は「大野が攻守にわたってアグレッシブにかかわれるようになってきたので、日本でのキャンプが終わった段階からイメージを持っていた」と、“再コンバート”の理由を明かす。

「仕掛けのタメをつくったり、相手のDFの裏を取ったり、ゾーンディフェンスの中でボールを受けて間をつくったり、大儀見だけがターゲットではなく、彼女もターゲットになったり、裏に抜けたり、それが今、選手の中で功を奏している」

 攻守に奮闘する2トップがそろって決めた今大会初得点。FWの役目はゴールだけではないとはいえ、「(大儀見とのコンビが)やりやすい中でも、点が入ってなかったことには責任も感じていた」と大野は言う。「守備があれだけがんばってくれていたし、2人でしっかり点を取れればとは話していた」と安堵の表情も見せた。

「やってみたら北京の2トップが、4年後、どう成長しているかという状況になっている」。佐々木監督が冗談交じりに言ったように08年の北京五輪でも2トップを組んでいた大野と大儀見。2人の「成長」はチームのメダルという「結果」で証明されるはずだ。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ロンドン五輪特集ページ

TOP