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CB&SB経験も糧に“本職”チャンス到来…柏20歳MF土屋巧「最終的にはボランチで成功したいと考えていた」

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柏レイソルMF土屋巧

 柏レイソルMF土屋巧はプロ3年目の今季、育成年代から公言してきた「ボランチで勝負したい」という野望を叶え、J1リーグ戦全試合のピッチに立っている。

 前節の浦和レッズ戦(◯1-0)では今季3度目の先発出場を果たし、粘り強い対人守備とセカンドボール回収で勝利に貢献。果敢な攻撃参加から自身最多となる2本のシュートも放つなど、課題の攻撃面の取り組みも着実に実を結んでいる。

 浦和戦後、土屋は自身のパフォーマンスを次のように振り返った。

「ここ数試合の中では良くできた試合だったけど、細かいところをもっと突き詰めていかないといけない。前の選手が守備にかけた時についていったり、意識的に運動量を増やしていくことはよかった。また前にラインを高く保って、シュートを打てたシーンもあった。シュート自体は全然だったけど、攻撃に絡んでいくところは課題の一つなのでそこもチャレンジしつつ、何本かシュートまで行けたのは良かった」

 日体大柏高から2022年に加入した土屋は昨季まで、高卒1〜2年目ながら主にCBとSBでJ1リーグ戦22試合に出場。すると今季はMF高嶺朋樹が長期離脱を強いられている中、ダブルボランチのポジション争いに加わり、全試合先発のMF白井永地や大卒ルーキーのMF熊坂光希とのコンビを組み、ここまでわずか1敗のチームを支えている。

「(白井や熊坂とは)常に日頃の練習でのコミュニケーションだけでなく、練習外でもコミュニケーションを取れている。試合中も上下関係を気にせず、ラフにコミュニケーションを取れている。朋樹くんがいないのはサポーターの方から見ても大きい穴だと思うけど、そこをいかにして埋めていくか。いまは自分がチャンスをもらっているわけでどう活かしていくか、そのチャンスを無駄にせずにレギュラーを奪えるようにという気持ちを試合に出せればと思っている」(土屋)

 高校時代はCBながらプロ入り後はMF登録の土屋にとって、中盤は「最終的にはボランチで成功したいと考えていた」という念願の“本職”。井原正巳監督からは「緊急事態でCB、SBをできるように準備してほしい」と伝えられているというが、現在はDF犬飼智也ら守備陣が安定していることもあり、希望に沿った持ち場で起用されている。

 180cmという上背以上に空中戦を得意とする土屋だが、ボランチへのこだわりは自身の特徴を冷静に客観視した結果、生まれたものだったという。

「CBやSBをやっていく上ではある程度サイズが必要になってくると思うし、CBだったらすごく小さいほうになってしまう。CBでやっていくとなると難しいけど、一つ前に出るだけで小さいほうではなくなる。さらにセカンドボールやヘディングで跳ね返すところは僕の特徴なので、最終ラインの前でそれを出せたらすごく助かるし、取った後のボールをしっかりつないでいくことができればチームのリズムもできてくるので、僕に合っていると感じている」

 高校時代から憧れを口にしていたMF遠藤航(リバプール)も同じ道を辿り、世界に羽ばたいていった選手。土屋は昨季までの経験について「CBやSBで出ていた時に自信がついたことでいまに活きているし、CBやSBをやっていたからこそ、ボランチにここに居てくれたら助かるというのもわかる。そこでも自分がやっていた時のことが参考にできる」と話すが、こうした現実的な受け止め方にも遠藤と重なる価値観が垣間見える。

 DFからのコンバート組で不安視される中央でのビルドアップへの関わりも「最初の頃はもっとバタバタしてしまっていた自分がいたけど、やっていて自分の中でのボランチは整理できてきた」と手応えを深めている様子。また浦和戦で見せた攻撃参加についても「守備の部分が得意なぶん、攻撃ではまだまだなので、怖がらずにどんどん前に出ていきたい」と明確なテーマを掲げ、着実にトライできているようだ。

 現在は高嶺の穴を埋める立場にあるが、目標は高嶺が戻ってきてもポジションを掴み取ることだ。白井との連係に「試合中も合わなかった部分があったらすぐに話し合って修正してというところで永地くんがリーダーシップを取ってやってくれている。僕の意見も聞き入れてやってくれるし、すごくいい関係でできていると思う」と充実感をのぞかせつつ、「あとは突き詰めていくだけ」と土屋。「朋樹くんが戻ってくる頃にはポジションを奪えているような状況を作って、チームの総合力を上げていけたらいいなと思っている」という決意を胸にシーズンを過ごしていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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Text by 竹内達也

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