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サッカー×ゲームの可能性…JリーグとKONAMIが共催するeスポーツ大会「eJリーグ」ってなに? 第5回大会は町田が初V

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左からJリーグ商品化事業部部長の木暮拓人氏、『eFootball™』シリーズ統括プロデューサーの田谷淳一氏、『Jリーグクラブチャンピオンシップ』アシスタントプロデューサーの水崎由宇呂氏

 基本プレー無料でPC、モバイル、家庭用で配信中の『eFootball™』を競技タイトルとした公式eスポーツ大会「eJリーグ eFootball™ 2025シーズン」の決勝大会が7日、東京・銀座のコナミデジタルエンタテインメント本社で開催され、FC町田ゼルビアが初優勝を飾った。

 今年で5回目の開催となった「eJリーグ」決勝大会を前に、ゲキサカではKONAMIのサッカーゲームタイトルである『eFootball™』の田谷淳一統括プロデューサーと『Jリーグクラブチャンピオンシップ』の水崎由宇呂アシスタントプロデューサー、そしてJリーグ商品化事業部の木暮拓人部長による対談インタビューを実施。KONAMIとJリーグが共催する「eJリーグ」についてはもちろん、両社がパートナー企業としてゲームとJリーグ双方を盛り上げていくために実施しているさまざまな取り組みや今後の展望などについて聞いた。


―KONAMIとJリーグの共催で2019年に第1回大会が行われたeJリーグも今年で5回目の開催となりましたが、継続して開催できていることに対する評価はいかがでしょうか。
『eFootball™』シリーズ統括プロデューサーの田谷淳一氏(以下、田谷)「日本で開発している『eFootball™』というサッカーゲームにおいて、日本のプロサッカーリーグであるJリーグ公式のeスポーツ大会を開催するということは非常に重要であり、大きな責任を感じながら開催しています。Jリーグ様を通じて各クラブ様ともつないでいただき、意見交換を行いながらさまざまなキャンペーンも実施しています。国立競技場で開催されるJリーグのチケットプレゼントキャンペーンに協力し、『eFootball™』のゲーム内からも応募できるようにしたり、ゲーム内で明治安田JリーグKONAMI月間MVPの選手を獲得できる施策も実施しています。『eFootball™』にはヨーロッパサッカーから入ってくるユーザー様も多いのですが、そういった方々にもJリーグの魅力、選手を認知していただき、さらにJリーグファンが増える一助になればと思っています」

Jリーグ商品化事業部部長の木暮拓人氏(以下、木暮)「『eFootball™』というゲームタイトルは、私たちからすると、日本はもちろん、世界でも愛されている一大メディアという捉え方をしています。その中で、『Jリーグ』という名前をつけたeスポーツ大会を開催していただいていることに大変感謝しております。この『eJリーグ』をもっとJリーグのファン・サポーターの方々に知っていただけるように、引き続きKONAMI様と一緒に盛り上げていきたいと考えております。eスポーツというところで、Z世代など若い世代の方々もプレーされていると思いますが、そこはどうしてもJリーグからリーチするのは難しい部分でもあります。我々ではなかなかアプローチできない世代や属性の方々にアプローチできる、とても良い機会だと捉えています」

『Jリーグクラブチャンピオンシップ』アシスタントプロデューサーの水崎由宇呂氏(以下、水崎)「KONAMIでは、サッカーゲームである『eFootball™』だけでなく、Jリーグ公式のモバイルゲーム『Jリーグクラブチャンピオンシップ』(以下、『Jクラ』)というゲームもサービスを展開しており、今年で6周年を迎えることができました。Jリーグ様にご協力いただきながら、試合の観戦チケットやサイングッズをプレゼントするキャンペーン、ユーザー様からの人気投票で選ばれた選手をカード化する『エクスペクテッドプレーヤー』や過去のレジェンド選手が登場する『タイムスリップ』といった特別カード施策など、Jリーグファンの皆様に楽しんでいただけるさまざまな取り組みをゲーム内外で行っています」

―『eFootball™』をプレーしているユーザーの中での「eJリーグ」の認知、Jクラブのサポーターの中での「eJリーグ」の認知については、それぞれどのように捉えていますか。
田谷「大会が回数を重ねるごとに、eスポーツプレイヤーの方や対人戦が好きなユーザーの方には『eJリーグ』という大会を認知していただけているなという実感はあります。Jリーグの各クラブ様ともさまざまな意見交換をしていますし、横浜F・マリノスのモバイル部門代表として出場している選手はこの大会が縁となって、横浜F・マリノスのeスポーツチームに所属したということもあり、クラブ様にも『eFootball™』『eJリーグ』というものが少しずつ浸透しているのかなと思っています。そういったことをさらに他のクラブやJリーグ全体にまで波及させていければと考えています」

木暮「『eJリーグ』をJリーグのファン・サポーターにより認知していただき、興味を持っていただいて、大会を視聴して楽しんでいただける方々をもっともっと増やしていくという部分については、我々の課題とも考えていますし、これからより強化していきたい部分だと思っています。 我々からクラブに対して、この大会のメリットをしっかりと伝えていき、各クラブのオウンドメディアやSNSからもどんどん発信していただけるようなコミュニケーションというのも少しずつできてきていると思っていますので、そのあたりを繰り返していきながら、より認知を広げていきたいと考えています」

―各クラブに伝えているメリットというのはどのあたりになるのでしょうか。
木暮「Jリーグが開幕して30年以上が経った中で、長年に渡って応援いただいているファン・サポーターの方も多くいらっしゃいますが、新規の方や若年層にアプローチしていきたいと考えたときに、『eFootball™』をプレーしている方というのは基本的にサッカーが好きな方ですし、Jリーグを好きになっていただける可能性も高いと思っています。『eFootball™』のユーザーの方に少しでもJリーグに興味を持っていただき、最終的にはスタジアムにまで来ていただけるような流れを作りたいと思っています。 各クラブのサポーターの皆様はクラブからの発信というものをよく見ていますので、そこからの発信を強化していくということもそうですし、Jリーグの選手の中にも『eFootball™』や『Jリーグクラブチャンピオンシップ』をプレーしている方はいます。我々としてはそこを掘り起こして、Jリーグの選手がゲームをプレーしている様子だったり、サッカーをプレーしている姿とは違う一面を見せることで、より認知も広げていけるのかなと考えています」

田谷「クラブ様からは、弊社のサッカーゲームを何百試合もプレーしてくださっている選手がいらっしゃるということもお聞きしています。若い選手たちが合宿中に集まって、空いている時間にゲームをプレーされているという話も聞きますし、オフシーズンなどにクラブ対抗戦をやるということも今後、企画できればなと思っています」

―Jクラブ側は自分のクラブの代表選手のことをどのように見ているのでしょうか。横浜F・マリノスのように代表決定戦を開催するクラブもあれば、SNSに固定文をポストするだけのクラブもあり、クラブ間で温度差があるようにも感じます。
木暮「そこの温度差というのは、今はまだ事実としてあると思います。私たちとしては、この『eJリーグ』という大会を各クラブが自分事にするために、これからもクラブ側と話し合ったり、お願いしたりということが必要になってくると思います。『eJリーグ』でチームが勝ち上がれば、そのクラブのファン・サポーターの方にも『なんか今、うちのクラブが勝ってるぞ』みたいな認知を得る機会もあると思いますし、J2のチームがJ1のチームに勝つようなジャイアントキリングが起きれば、それがまた『eJリーグ』の醍醐味になって、リアルサッカーとはまた違う視点の楽しみ方をファン・サポーターの方々にもしていただけるのではないかなと思っています」

「eJリーグ eFootball™ 2025シーズン」はFC町田ゼルビアの初優勝で幕を閉じた

―Jリーグの月間MVP表彰にKONAMIの冠が付いているといった取り組みが分かりやすく目に見えますが、他にどういった取り組みがあるのでしょうか。
水崎「ゲームユーザーの方にJリーグの試合に足を運んでいただき、Jリーグファンの方々にゲームを遊んでいただくというサイクルを作っていきたいと考えています。『Jリーグクラブチャンピオンシップ』では、ゲームをプレーしている方しか応募できない特別な体験というのも用意していまして、例えば、クラブの選手OBと試合の前後で交流できたり、一緒に試合を観戦できたり、選手とハイタッチする権利をプレゼントしたり、いわゆるVIP席と言われる特別席にご招待したりといったことを数年前から行っています。まだまだ知られてはいないのですが、6月13日から開始した今年のキャンペーンは規模を大きくして、J1の12クラブで実施させていただいています。それとは別に試合の観戦チケットをプレゼントするキャンペーンもあります。『Jクラ』を遊んでいると、リアルなJリーグでも特別な体験ができるサイクルを作り、オンライン・オフライン両方でJリーグ熱というものを相乗効果で高めていく取り組みを今後も強化していきたいと考えています」

田谷「(コナミデジタルエンタテインメント本社の)1階に『CAFe&BAR STROPSe』という飲食店があるのですが、そちらでJリーグのスタグル(スタジアムグルメ)を食べられるというイベントも実施しています。今年は柏レイソル、アルビレックス新潟、ファジアーノ岡山、川崎フロンターレ、FC今治の5クラブにご協力いただきました。フードを注文していただいた方に、選手カードをプレゼントするというキャンペーンも行っていました。なかなかアウェーまでは足を運びづらいという方もいらっしゃると思いますし、そういった方にも各チームの名物を食べていただけるという期間限定のイベントでしたが、大変ご好評をいただき、来年はさらに規模を拡大していきたいなと思っています。『eJリーグ』はもちろんですが、それに限らず、Jリーグを盛り上げるイベントというのはどんどんやっていきたいと思っています」

東京・銀座のコナミデジタルエンタテインメント本社で開催された

―KONAMIの野球ゲームではリーグ戦形式のeスポーツ大会を開催されていますが、『eJリーグ』も今後、1シーズン通してのリーグ戦を開催していくような考えはありますか。
田谷「以前、海外クラブではそういった取り組みをやっていたこともあります。プレイヤー目線で言うと、リーグ戦の面白さはあると思うのですが、『eFootball™』というゲームタイトルにおけるeスポーツに対する考え方として、幅広いお客様にeスポーツに触れていただいて、誰でも自分の好きなクラブの代表になるチャンスがある、さらには世界大会に出るチャンスがあるということを重視して開催をしています。クラブごとに所属選手を決めてリーグ戦を実施するとなると、トップレベル同士の試合が繰り返し見られるというメリットはもちろんありますが、誰でも参加できる大会という考え方には合わないのかなと考えています。もちろん、誰でも参加できる大会がありつつ、そういった大会もあるというバリエーションの意味では、今後、検討の余地はあると思いますが、現状はどちらかというと、誰でも参加できるということを重視し、今の形式で実施しています」

―『eJリーグ』の大会形式で言うと、もともとはモバイルのみだったものが年々変化し、ここ2大会はPlayStation部門とモバイル部門の2人1チーム制となりましたが、今後もこの形がベースになりそうでしょうか。
田谷「時代に合わせて、試行錯誤はこれからもしていきながらベストな形を探っていきますが、現時点では今の形が良いのかなと思っています。モバイル部門には10代の選手も出ていますが、家庭用ゲーム機のユーザーはモバイルに比べて年齢層が高い傾向にあります。年齢が離れた2人がチームを組んで戦うというのは、やはりサッカーはチームスポーツですから、2人が抱き合って喜ぶシーンなどは見ている方も気持ちが高まると思いますし、しばらくはこの形式でやっていきたいなと考えています」

―2大会前までオンライン予選は均一化モードで行われていましたが、前回から予選のラウンド3まではJリーグ選手を使ったドリームチームで実施しています。『誰でも参加できる大会』というお話でしたが、プレイヤー目線で言うと、課金していないと参加しづらい、勝ちにくいフォーマットになっている印象もあります。
田谷「以前までは均一化モードで予選を行っていましたが、お客様は普段、あまりこの均一化モードで遊ぶということがないんですね。 通常はやはりドリームチームモードで好きな選手を獲得してプレーされているので、できるだけお客様が普段遊んでいらっしゃる環境で競っていただくことが、大会にも参加しやすく、実力も発揮しやすいのかなと考え、予選のラウンド3まではドリームチームで行うようにしています。 クラブによって選手の配信数には差があるため、『eJリーグ』の開催に合わせて全クラブから特別な選手を配信して、ログインしていただければ、無料でお気に入りクラブの選手を獲得できる機会もゲーム内には用意しています。そういったところもケアしながら、その中でなるべく普段の戦いと同じようにプレーできるということで、今はこの形式で行っています」

―『eJリーグ』に参加するプレイヤーに関して、そのクラブのサポーターだからエントリーする人もいれば、特に愛着なく、"勝てそうだから”という理由で選ぶ人もいます。シーズンによってエントリーするクラブを変えるプレイヤーもいますが、こうしたエントリー方法についてはどのように考えていますか。
田谷「実際のサッカーにも移籍はありますし、まったく問題ないと思っています。ゆかりがあるチームで出ていただくというのも一つの楽しみ方ですし、eスポーツ選手として今日のような舞台を目指して、勝つためにチームを決めるというのも一つの手段だと思います。今まで縁がなかったチームを使うことで、そのチームに対して興味が湧いたり、そのクラブとの関係が生まれるというのも一つの理想的な形だと思いますので、そこはまったく問題ないのかなと思います」

―大会賞金はもともとクラブ側にしか入らなかったものが、昨年から上位入賞したプレイヤーにも賞金が贈られるようになりました。ただ、eスポーツ大会としては、プレイヤーへの配分が少ないようにも思えますが、賞金についてはどのようにお考えでしょうか。
田谷「賞金については、確かに以前はクラブ様にお渡しして、そこからプレイヤーにという形だったのですが、まずはプレイヤーの皆様に明確な賞金をお渡しする方が良いだろうということで、現在の形になりました。金額の大小については、随時、見直していきますが、クラブ様にはやはりeスポーツを盛り上げていただいて、そのクラブのファン・サポーターが増えることにつながる活動に使っていただきたいと思っています。『eJリーグ』を通してクラブに少しでもお金が入ることで、クラブのファン・サポーターであるプレイヤーがそのクラブのために戦うという形をもともとはイメージして、賞金体系を考えました。基本的な考え方としては、選手とクラブ様双方にできるだけ賞金をお渡しすることによって、一緒に『eJリーグ』、eスポーツを盛り上げていきたいという思いがあります」

木暮「やはり自分事にしていただくためにも、クラブにもインセンティブといいますか、メリットがあったほうが、各クラブの『eJリーグ』に対する取り組みや姿勢も変わってくるだろうと思いますし、定性的にこういうメリットがあると我々から啓蒙していくことも大事ですが、賞金という形でお渡しすることで、定量的にも良いと思っていただけるコミュニケーションになるのかなと思っています。『eFootball™』というのは、多くのユーザー様が毎日遊んでいる、サッカー好きの10代、20代が集まっている一つのメディアだと捉えています。そこをクラブやクラブのスポンサー様にご活用していただくために、もっと『eFootball™』・『eJリーグ』を自分事化していただいて、それをきっかけにいろんなスポンサー様にご協賛いただけるようになれば、大会の規模もさらに大きくなり、プレイヤーの皆様に入る賞金も増やしていけるのかなと、そういう循環にしていけるといいのかなと思っています」

(取材・文 西山紘平)
西山紘平
Text by 西山紘平

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