富山U-18から転籍、決意したCB転向…富山一封じた龍谷富山の逸材DF宮林渉「泣いても笑ってもサッカーは高校で引退」最後の冬に全国王手
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[11.4 選手権富山県予選準決勝 富山一高 1-4 龍谷富山高 高岡スポーツコアサッカー・ラグビー場]
DFリーダーの貫禄あふれるパフォーマンスに絶対王者もなすすべはなかった。
龍谷富山高は4日の富山県予選準決勝で、前回大会まで9連覇中の富山一高を4-1の大差で撃破。試合の立ち上がりから“トミイチ対策”のプレッシングで互角の戦いに持ち込むと、次第に富山一は最前線のFW村上文太(3年=Kurobe FC)を目掛けた攻撃を展開してきたが、そこに立ちはだかったのはDF宮林渉(3年=STG.FC)だった。
「FWが強いと言われとったんで、それには勝ちたいなと」(宮林)
相手は屈強なフィジカルを活かし、バチバチの競り合いを繰り出してきたが、「身体能力には自信があって、相手のロングボールには正直そこまで負ける気はしなかった。蹴られても自分が競り勝てばという感覚でいた」と強気だった宮林。1点リードの前半34分に不運なクリアミスから1失点こそ喫したが、それ以外の場面は「ボールが出てくるタイミングで予測して、オフサイドを取るのは得意」というラインコントロールも含め、堂々の対応を続けていた。
試合後、宮林は絶対王者撃破に「気持ちよかったですね」と笑みを浮かべ、自身のパフォーマンスにも「収められたところもあったけど、結構勝てとったなという印象ですね」と手応え。その働きぶりには、かつて国体世代で共にプレー経験がある富山一のチームキャプテンDF大村笙太(3年=JFAアカデミー福島U-15WEST)も「今日は宮林くんの潰しが来ていて、ちょっとそこで収まりきれなかった」と認めるしかなかった。


宮林は昨年春までカターレ富山U-18に在籍していたJユースからの転籍組。高岡市の町クラブ「STG.FC」に在籍していた中学3年時の2021年冬には、カテゴリがはるかに上の富山U-18の一員として、JユースリーグにFWとしてピッチに立った実績も持っている。
それでも宮林によると、富山U-18加入後は「最初は調子もよく順調にいっていたけど、怪我もあって調子が上がらなくなって、これは試合に出れないなという感覚になってきた」と葛藤も経験。もともと高校サッカー選手権への憧れがあったといい、富山U-18との提携関係で入学していた龍谷富山のサッカー部に移る決断をした。
もっとも、富山U-18での経験も活きていた。かつてはストライカーやサイドアタッカーの選手だったが、富山U-18ではフィジカルを活かしたCBへのコンバートも経験。高校転籍後も「点を決めたいプレーヤーではあったので、ちょっとプライドもあって、CBは嫌やなと思っていた」と率直に明かすものの、最後の選手権は主将のFW横山旺世(3年=富山U-15)と話し合い、CBで身を固める決意をしていた。
「このチームに来てCBになる覚悟は初めはなかったけど、キャプテンの横山と話してCBになる決断をした結果、いまはこういう形になれたので嬉しい。今はCBに覚悟を決めて、チームが勝てるならって気持ちでやってますね」
富山一戦では相手のプレッシングに対し、しなやかな身のこなしでかわす姿や、そのまま攻め上がる姿も見せていた宮林。「もともとホンマにドリブルが好きやったんで。相手のプレスの矢印を折る快感もあって、落ち着いてかわせたかなと思います。ああいう時に前に蹴っとるだけじゃ……って感覚だったんで」。守備だけにとどまらない能力はアタッカー生活の賜物だったようだ。


そんな高い能力を持つ逸材CBだが、卒業後は電気工事系の会社に就職する予定のため、「サッカーは高校サッカーで引退かなという感覚でやっていた」と本格的な競技生活は高校が最後。9日の決勝・富山東高戦は「引退か、全国か」の戦いとなる。
「泣いても笑ってもサッカーは高校で引退。ラストなのでここまで来たら全国に行って、1勝でも多く勝てるように頑張りたいです」。覚悟を決めて身を投じた高校サッカー。最大の晴れ舞台まであと1勝に迫っている。
(取材・文 竹内達也)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
DFリーダーの貫禄あふれるパフォーマンスに絶対王者もなすすべはなかった。
龍谷富山高は4日の富山県予選準決勝で、前回大会まで9連覇中の富山一高を4-1の大差で撃破。試合の立ち上がりから“トミイチ対策”のプレッシングで互角の戦いに持ち込むと、次第に富山一は最前線のFW村上文太(3年=Kurobe FC)を目掛けた攻撃を展開してきたが、そこに立ちはだかったのはDF宮林渉(3年=STG.FC)だった。
「FWが強いと言われとったんで、それには勝ちたいなと」(宮林)
相手は屈強なフィジカルを活かし、バチバチの競り合いを繰り出してきたが、「身体能力には自信があって、相手のロングボールには正直そこまで負ける気はしなかった。蹴られても自分が競り勝てばという感覚でいた」と強気だった宮林。1点リードの前半34分に不運なクリアミスから1失点こそ喫したが、それ以外の場面は「ボールが出てくるタイミングで予測して、オフサイドを取るのは得意」というラインコントロールも含め、堂々の対応を続けていた。
試合後、宮林は絶対王者撃破に「気持ちよかったですね」と笑みを浮かべ、自身のパフォーマンスにも「収められたところもあったけど、結構勝てとったなという印象ですね」と手応え。その働きぶりには、かつて国体世代で共にプレー経験がある富山一のチームキャプテンDF大村笙太(3年=JFAアカデミー福島U-15WEST)も「今日は宮林くんの潰しが来ていて、ちょっとそこで収まりきれなかった」と認めるしかなかった。


宮林は昨年春までカターレ富山U-18に在籍していたJユースからの転籍組。高岡市の町クラブ「STG.FC」に在籍していた中学3年時の2021年冬には、カテゴリがはるかに上の富山U-18の一員として、JユースリーグにFWとしてピッチに立った実績も持っている。
それでも宮林によると、富山U-18加入後は「最初は調子もよく順調にいっていたけど、怪我もあって調子が上がらなくなって、これは試合に出れないなという感覚になってきた」と葛藤も経験。もともと高校サッカー選手権への憧れがあったといい、富山U-18との提携関係で入学していた龍谷富山のサッカー部に移る決断をした。
もっとも、富山U-18での経験も活きていた。かつてはストライカーやサイドアタッカーの選手だったが、富山U-18ではフィジカルを活かしたCBへのコンバートも経験。高校転籍後も「点を決めたいプレーヤーではあったので、ちょっとプライドもあって、CBは嫌やなと思っていた」と率直に明かすものの、最後の選手権は主将のFW横山旺世(3年=富山U-15)と話し合い、CBで身を固める決意をしていた。
「このチームに来てCBになる覚悟は初めはなかったけど、キャプテンの横山と話してCBになる決断をした結果、いまはこういう形になれたので嬉しい。今はCBに覚悟を決めて、チームが勝てるならって気持ちでやってますね」
富山一戦では相手のプレッシングに対し、しなやかな身のこなしでかわす姿や、そのまま攻め上がる姿も見せていた宮林。「もともとホンマにドリブルが好きやったんで。相手のプレスの矢印を折る快感もあって、落ち着いてかわせたかなと思います。ああいう時に前に蹴っとるだけじゃ……って感覚だったんで」。守備だけにとどまらない能力はアタッカー生活の賜物だったようだ。


そんな高い能力を持つ逸材CBだが、卒業後は電気工事系の会社に就職する予定のため、「サッカーは高校サッカーで引退かなという感覚でやっていた」と本格的な競技生活は高校が最後。9日の決勝・富山東高戦は「引退か、全国か」の戦いとなる。
「泣いても笑ってもサッカーは高校で引退。ラストなのでここまで来たら全国に行って、1勝でも多く勝てるように頑張りたいです」。覚悟を決めて身を投じた高校サッカー。最大の晴れ舞台まであと1勝に迫っている。
(取材・文 竹内達也)
●第103回全国高校サッカー選手権特集


