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[選手権]インハイで前橋育英から金星、大津とも対戦「年間を通したら悪くないけれど…」高知中央は冬の全国に惜しくも届かず

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高知県予選は決勝で涙

[11.8 選手権高知県予選決勝 高知中央 0-1 高知 春野陸]

 全国高校総体(インターハイ)で大きな経験を積んだ高知中央高(県1部)は冬の全国にもあと一歩のところまで迫ったが、延長戦のPK被弾で惜しくも届かなかった。主将のGK守安正騎(3年)は「高知高さんの方が球際や技術で一つ上だった。自分たちも積み上げてきたけれど、高知高さんの方が上だった」と真摯に敗戦を受け止めた。

 高知中央は今夏のインターハイで4年ぶりの出場を果たすと、初戦の2回戦で昨年度選手権王者・前橋育英高を2-1で破る金星。守安は「前橋育英さんは本当に力のあるチームだけど、4年ぶりの出場でもう一個歴史を作ろうと話した。本気で準備をして勝てた」と振り返る。続く3回戦は0-7の大敗になったものの、昨年度プレミア覇者の大津高と全国大会での対戦が実現した。

 そうした経験で高知中央は「ここぞというところで粘り強く戦えるようになってきた」(近藤健一朗監督)と成長。その上で35分ハーフのインターハイ予選から選手権予選では40分ハーフに試合時間が変わることを踏まえ、「全部がショートカウンターだとやっぱりきつい」としてボールを保持する時間も増やせるように取り組み、冬の全国大会出場を目指した。

 近藤監督は高知中央が全国初出場を果たした2007年度の10番で、2回目の出場を目指す現3年生はちょうど初出場の年に生まれた世代。運命めいたものもありながらの県予選決勝進出となったが、指揮官は「のびのびやってもらいたい」と選手に多くのことは伝えず決勝の舞台へ送り出したという。

「(3年生が)07年生まれで『たしかに』と今思ったけれどあまりそういったことは考えず、3回目の決勝だとも周りから言われたけれどあまり考えず、目の前の一戦一戦というところでやってきた。逆にそういうことを伝えるとプレッシャーになるかなという部分も感じながら、『決勝』という言葉も僕は全然言っていなかった。僕が言うことでプレッシャーを感じちゃうかなと。2回目の決勝まで来たとき(19年度)は僕が言いすぎて勝手に選手にプレッシャーをかけてしまった。先輩たちに色々勉強させてもらって今があるというところです」

 また、相手がプリンス勢で今予選無失点という点についても「あまり言いすぎるといろいろなことを考えてしまうのでシンプルに」と近藤監督。守備をベースにしながらカウンターに加えて中盤から細かく繋いで前進する形も見せるなど、これまで積み重ねてきた成果を発揮することだけに集中し、80分間を0-0で終える戦いぶりを見せた。

 そうして突入した延長戦だったが、延長前半にハンドでPKを与えてしまう。相手の10番FW松田翔空(3年)と向かい合ったGK守安はPKが得意だといい、松田が選択したコースと同じ方向へダイブした。しかし「松田選手はキックが上手くてそこで一個、二個あっちの方が上手だった」。ゴール隅に向かうボールに手は届かなかった。

 さらに高知中央は延長後半、松田にGKと1対1になる決定機を作られたが、今度はGK守安がビッグセーブ。「2発目をいかれたら終わると思っていた。1対1は得意な方なのでヘッドダウンしたところで距離を詰めて、キックフェイントも頭の中に入れてついて行って最後に手を伸ばしてストップできた」とキャプテンが意地を見せた。


 ただ追いつくまでには至らず、0-1でタイムアップ。指揮官が選手を称えれば守安も「近藤先生と話して守備も攻撃もひたすら(練習で)やってきた。そのあたりは出せた」と話すように懸命に戦い抜き、今季の成長ぶりを示す粘り強さも発揮したものの、PKの1失点に泣いて18年ぶりの全国切符はつかめなかった。


 当初は10番のFW三井虎翔(3年)が今年度の主将を務める予定だったが、昨年度主将のMF美藤瀬成に指名される形で守安がキャプテンに就任。守安は「強い覚悟を持って」大役を引き受けた。そうして臨んだ今シーズンはインターハイで前橋育英を破ってチームの全国大会最高成績となる3回戦進出を果たし、残り3節の県1部では2位と7ポイント差をつけての首位でプリンスリーグ四国参入戦の出場が近づいている。

 一定の結果を残せているが、「今日勝ったら18年ぶりの全国(選手権)で、自分たちの代で歴史を作ろうという話をして試合に臨んだけれど負けてしまった。年間を通したら悪くないけれどもう一個足りなかったシーズンだった」と守安。冬の全国に届かなかったことへの悔しさを滲ませた。

 それでも残るリーグ戦で後輩にプリンスの舞台を導く考え。試合後にチームメイト一人一人に声をかけた守安は「後輩にはずっと厳しい声をかけてきた。嫌なこともあったと思うけれど最後までめげずについてきてくれて本当に感謝しているし、僕らの代の結果を超える可能性はゼロじゃない。歴史を残してほしい」と来年度へのエールを送るとともに、先輩として最後まで全力で戦い抜くことを誓った。


(取材・文 加藤直岐)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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