beacon

完全アウェーのチリ戦で生きた名古屋での経験値「豊田スタジアムのほうが…」W杯連続完封のU-20日本代表守護神GKピサノ

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

GKピサノアレックス幸冬堀尾

 U-20ワールドカップでいまだにゴールを許していない。U-20日本代表GKピサノアレックス幸冬堀尾(名古屋)はグループリーグ第2節・チリ戦での完全アウェーにも「すごく楽しかった。しっかり結果につながって勝ち点も積みあがっている。本当に大きな勝利だった」と振り返った。

 試合を通して安定感を発揮した。セットプレーからのボールを処理し、ミドルシュートにも冷静に対応。後半40分にはカウンターからFWフアン・フランシスコ・ロッセルに最終ラインを突破されるも、前進してシュートコースを塞いだピサノがシュートを阻み、ピンチを切り抜けた。

 開催国チリのサポーターが4万人以上も集った。大歓声に臆することはなかったが、それでも守備陣の連係は取りにくくなる。「声が通らないシーンはあった。だけど、プレーが切れたところでコミュニケーションを取って、(市原)吏音やカズ(喜多壱也)とか、すごくコミュニケーションを取ってやってくれた。いい関係性でいい守備ができた」(ピサノ)。チリサポーターに歓喜の雄叫びをあげさせなかった。

 守備だけでなく、ピサノは攻撃の起点にもなった。自陣からのビルドアップを組み立て、ときには両サイドの深い位置まで精度高いフィードを飛ばして相手のラインを押し下げた。中盤で攻守をつなぐ大関友翔は「ボランチの選手として、こんなにGKと目が合うことがない」とピサノの印象を語った。

「こっちも準備をしなきゃいけないくらい、常に探りながらパスを出してくれる。何よりもボランチを使うところと一個飛ばすところと、キックも正確なのでそこの塩梅がすごく上手い。高いレベルになると、どれだけ自分たちがボールを握れる時間を増やせるかが大事。ビルドアップでピサノが安定感をもたらしてくれるのは、チームとして今いい結果が出ている要因」(大関)

 2試合を守り切り、貫禄すら漂う守護神は、この半年で大きな経験値を積んだ。

 U-20日本代表では今年2月のU20アジア杯で落選。しかし名古屋グランパスでは5月3日のJ1第14節・清水エスパルス戦でJ1デビューを果たして定位置を掴み、J1の舞台で実戦経験を積む。さらに今夏にはEAFF E-1選手権メンバーとしてA代表デビューを飾った。

 ピサノにとって大きな経験値となったのは、名古屋での継続的な出場機会だという。「Jリーグで試合に出ていたというのが、個人的にはすごく大きい部分」(ピサノ)。チリ戦では怒号のようなブーイングを浴びたが、「豊田スタジアムのゴール裏からの距離に比べれば全然」と気にしていなかった。

 また、A代表では自身の基準も上がった。「代表は短い期間で、継続して何試合も戦う難しさを感じた。そこも大きかった」。練習ではGK早川友基やGK大迫敬介と切磋琢磨。「練習から本当にすごく高いクオリティだった。このチームでも自分がそこを要求したり、プレーで示さなきゃいけない」とU-20日本代表にもその基準を還元している。

 U-20日本代表のGKチームではGK中村圭佑、GK荒木琉偉と共闘する。この日はリカバリーのピサノが、2人の練習姿から刺激を受けた。「2人とも安定してセーブしていた。そこは自分ももっとレベルアップしなきゃいけないと感じた。隙を見せたらポジションを奪われると思っているので、しっかり気を抜かずにどんどん続けていきたい」。貪欲に吸収を続け、W杯期間中にもさらなる成長を遂げるつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

●U-20ワールドカップ2025特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中
石川祐介
Text by 石川祐介

「ゲキサカ」ショート動画

TOP