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U-17W杯で得た課題と刺激…広島ユースMF小林志紋は帰国後すぐに新潟の地へ「自分の課題をぶつける試合が目の前にあるのは嬉しい」

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MF小林志紋(広島ユース)

 待ちに待った世界デビューで信頼の先発起用が続いた。U-17日本代表のMF小林志紋(広島ユース)はU-17W杯序盤戦に体調不良で出遅れたが、グループリーグ第3戦から準々決勝まで4試合連続先発出場。高い技術とポジショニングセンスで多くのチャンスに絡み、ベスト8入りに貢献した。

 しかし、大会を終えて残ったのは世界に挑んだ充実感よりも、大きな悔しさだった。小林は大会開催地のカタールから成田空港に帰国した23日夕、新たな決意を口にした。

「終わった瞬間は悔しい気持ちでいっぱいで、ちょっと冷静になって大会を振り返ってから成果だったり、課題だったり、それがどんどん浮かんできた。やっぱりこれを糧にしてトップチームで頑張ることだったり、プレミアもまだ優勝できるチャンスがあるので、優勝してチームに貢献するという部分をやっていきたい」

 小林が悔やんだのは目に見える結果を残せなかったことだった。今季の高円宮杯プレミアリーグWESTでは14試合9ゴールを記録した点取り屋だが、W杯では無得点。ボックス内の狭いスペースでボールを受ける技術はさすがのものを見せていたが、国を背負って戦う相手守備陣の気迫やパワーを上回ることができず、フィニッシュにまで持ち込めない場面が続いた。

「自分はあのチームが大好きで、あのチームで優勝したい気持ちがあったし、もっと活躍して点を取ってチームを助けたかった。先発で起用してもらえたので前半から活躍したかったけど、結果的に点を取ることができずにチームに貢献できなかったという思いがある」

「自分の武器は出せるところはあったし、そこを出していくことで監督に使ってもらえるというのはあった。ただ自分の特徴を出してチームに貢献するというのはできたと思うけど、自分としては点が欲しかったというのが正直あって、そこに課題が残った」

 もっとも課題だけでなく、成果を見つめる姿勢も忘れてはいけない。今季はJ1リーグ戦1試合、ACLE1試合に出場するなど広島のトップチームでの第一歩を踏み出した小林。「トップの練習にも参加させてもらって自分の中で基準が変わった。まだまだ足りないけど、トップの基準でやっていくことを自分の中で意識していた」という積み重ねをぶつけることで、世界との距離を図ることができたのは間違いない。

 167cmの小柄な体格ながらも、世界基準のフィジカル勝負を常に意識し、続けてきた努力は嘘をつかない。

「フィジカル的な部分も筋トレをコツコツやってきた。W杯は絶対にそんな簡単な相手じゃないし、絶対に難しい戦いになるというのはわかっていたので、そこに向けた基準で毎日をやってきたつもりではあった。ただ、少し足りない部分があったのかなと思う。でもやれることはやってきて、少しでも成長できて、世界に通用する部分は少しずつ増えてきたと思うので、そこの努力は続けていきたい」

 “世界基準”として小林の印象に残っているのは、グループリーグ第3戦で勝利したU-17ポルトガル代表FWアニシオ・カブラルの衝撃だった。カブラルは今大会6ゴールを記録している屈強なストライカー。187cmの長身に分厚い体躯を持つストライカーとはタイプも異なる小林だが、点取り屋としては同じ土俵に立っていると考えている。

「あんなにデカくて足も速くて強くて、それでも一番うまいのはシュートだった。あの身体でもあのシュートを打てるんだなと思った。あんなストライカーになっていかないといけない。僕はシャドーだけど点を取るのはああいうことなんだなと刺激を受けた」。フィジカルの違いを言い訳にするのではなく、盗めるものを模索していた。

 そんな小林はこの日、溢れんばかりの向上心を胸に帰国し、さっそく新潟の地に向けて旅立った。広島ユースは24日、高円宮杯プレミアリーグWESTで帝京長岡高とのアウェーゲームを控えているなか、小林は出場への意欲を口にした。

「帰ってきてすぐの試合で身体的にキツい部分もあると思うけど、自分の課題をぶつける試合が目の前にあるのは嬉しいこと。世界基準と日本での試合は違うとは思うけど、世界基準でプレーして、日本のサッカーに合わせることなく、この大会で感じた盗めたものや相手の基準を活かして絶対に点を取って勝ちたい」

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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