町田・黒田剛監督の暴言に「けん責」処分…Jリーグ側「決して許されるものではない」と判断もパワハラ認定されず
Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)は23日、FC町田ゼルビアの黒田剛監督が選手・コーチに対する暴言などの不適切な発言を行ったとして、同監督とクラブに「けん責」処分を下したと発表した。Jリーグ側は黒田監督の発言について「不適切な発言、暴言だった」としながらも、パワーハラスメントにはあたらないと判断した。
この問題は今年2月、JFA暴力等根絶相談窓口への通報で発覚。町田とJリーグが並行し、関係者に対するヒアリングなどの調査を行っていた。Jリーグ規約によると「けん責」はクラブ・関係者に対する懲罰のうち、罰金や出場停止に比べて最も軽い処分。懲罰内容は町田の調査報告書とJリーグの調査内容に基づき、裁定委員会への諮問を経て決定された。
Jリーグは事実認定に際し、「黒田監督は、2023年頃からFC町田ゼルビアに所属する選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造反者といった表現を用いて排除する意図を持った発言や、練習中に選手およびチームスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でのスタッフに対する暴言等の不適切な発言があった」と結論づけた。
加えて、以下の5点の事実が懲罰量定にあたって参考とされたと明かした。
①黒田監督の本件違反行為に暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえない。
②黒田監督は、本件違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった上、本件違反行為を含む調査対象となった言動に関し、多くのチーム関係者に真実を語ることを躊躇させるような発言を行った。
③本件クラブは、本件違反行為を含む調査対象となった黒田監督の言動に関し、弁護士で構成される特別調査委員会により調査を行った。しかしながら、同委員会による当初の関係者のヒアリングに本件クラブの顧問弁護士を同席させ、黒田監督とヒアリング対象となるチーム関係者が通報内容に関してやり取りすること等を規制しなかったことにより、本件クラブが黒田監督を守ろうとしているとの印象を関係者が持つに至っている。これらは調査対応の不備と言わざるを得ず、チーム関係者の多くに率直な供述を躊躇させる結果となり、真相解明に支障をきたした。
④本件クラブは、メールによる相談窓口を設置していたが、相談に係る事実の確認は本件クラブの経営陣が行うこととされており、本件クラブの経営陣が関与する事象について相談できる相談体制を構築していなかった。
⑤本件違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、本件クラブには、早期に問題行為を把握して是正する機会があったのに、本件クラブの経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続された。
Jリーグは同日、東京都内で記者会見を実施。青影宜典執行役員が「けん責という形で懲罰を課されていることを踏まえると、ハラスメントに認定されるどうかという法的な側面はたしかにあるが、どのような場面であっても、どのような理由があっても黒田監督が行った行為は他者に対する人権・尊厳の観点から不適切な言動、暴言だったと認識しているので決して許されるものではないと考えている」と述べた。
続けて「クラブにもけん責を課しており、この行為を行った当事者だけでなく、しっかりとこの事実を真摯に受け止めていただきたい。黒田監督の言動をそばで見ていたクラブのスタッフ、その報告を聞くまで組織的な対応ができていなかったガバナンスにも一定の課題はあると認識している。そういったことも含めてこの事案を真摯に受け止めていただいて、再発防止に取り組んでいただきたい」とクラブの責任も指摘した。
その一方、今回の事案では「パワーハラスメントの認定は行っていない」という。
会見に同席した金山卓晴弁護士によると、パワーハラスメントと認定するには①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるものという3要素を全て満たす必要があり、さらにそれぞれの要件も「一定の限度を超えなければいけない」という。同弁護士は「今回、(町田の)特別調査委員会が認めた事実があって、それに加えてJリーグのほうでも調査を行い、認定した事実を元にすると、そこ(パワーハラスメントと認定される)までの程度には至っていない。そこまでの程度を超えている認定は少し難しいと判断した」とした。
なお、黒田監督の具体的な発言内容については開示されなかった。Jリーグは不開示の理由について「その発言が誰に対して行われたかが当事者間でわかるため」と説明した。
(取材・文 竹内達也)
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この問題は今年2月、JFA暴力等根絶相談窓口への通報で発覚。町田とJリーグが並行し、関係者に対するヒアリングなどの調査を行っていた。Jリーグ規約によると「けん責」はクラブ・関係者に対する懲罰のうち、罰金や出場停止に比べて最も軽い処分。懲罰内容は町田の調査報告書とJリーグの調査内容に基づき、裁定委員会への諮問を経て決定された。
Jリーグは事実認定に際し、「黒田監督は、2023年頃からFC町田ゼルビアに所属する選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造反者といった表現を用いて排除する意図を持った発言や、練習中に選手およびチームスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でのスタッフに対する暴言等の不適切な発言があった」と結論づけた。
加えて、以下の5点の事実が懲罰量定にあたって参考とされたと明かした。
①黒田監督の本件違反行為に暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえない。
②黒田監督は、本件違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった上、本件違反行為を含む調査対象となった言動に関し、多くのチーム関係者に真実を語ることを躊躇させるような発言を行った。
③本件クラブは、本件違反行為を含む調査対象となった黒田監督の言動に関し、弁護士で構成される特別調査委員会により調査を行った。しかしながら、同委員会による当初の関係者のヒアリングに本件クラブの顧問弁護士を同席させ、黒田監督とヒアリング対象となるチーム関係者が通報内容に関してやり取りすること等を規制しなかったことにより、本件クラブが黒田監督を守ろうとしているとの印象を関係者が持つに至っている。これらは調査対応の不備と言わざるを得ず、チーム関係者の多くに率直な供述を躊躇させる結果となり、真相解明に支障をきたした。
④本件クラブは、メールによる相談窓口を設置していたが、相談に係る事実の確認は本件クラブの経営陣が行うこととされており、本件クラブの経営陣が関与する事象について相談できる相談体制を構築していなかった。
⑤本件違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、本件クラブには、早期に問題行為を把握して是正する機会があったのに、本件クラブの経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続された。
Jリーグは同日、東京都内で記者会見を実施。青影宜典執行役員が「けん責という形で懲罰を課されていることを踏まえると、ハラスメントに認定されるどうかという法的な側面はたしかにあるが、どのような場面であっても、どのような理由があっても黒田監督が行った行為は他者に対する人権・尊厳の観点から不適切な言動、暴言だったと認識しているので決して許されるものではないと考えている」と述べた。
続けて「クラブにもけん責を課しており、この行為を行った当事者だけでなく、しっかりとこの事実を真摯に受け止めていただきたい。黒田監督の言動をそばで見ていたクラブのスタッフ、その報告を聞くまで組織的な対応ができていなかったガバナンスにも一定の課題はあると認識している。そういったことも含めてこの事案を真摯に受け止めていただいて、再発防止に取り組んでいただきたい」とクラブの責任も指摘した。
その一方、今回の事案では「パワーハラスメントの認定は行っていない」という。
会見に同席した金山卓晴弁護士によると、パワーハラスメントと認定するには①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるものという3要素を全て満たす必要があり、さらにそれぞれの要件も「一定の限度を超えなければいけない」という。同弁護士は「今回、(町田の)特別調査委員会が認めた事実があって、それに加えてJリーグのほうでも調査を行い、認定した事実を元にすると、そこ(パワーハラスメントと認定される)までの程度には至っていない。そこまでの程度を超えている認定は少し難しいと判断した」とした。
なお、黒田監督の具体的な発言内容については開示されなかった。Jリーグは不開示の理由について「その発言が誰に対して行われたかが当事者間でわかるため」と説明した。
(取材・文 竹内達也)
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