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[MOM5102]名古屋FW澤田海心(3年)_ CB→ボランチ→前線の核へ…成長続けるターゲット役は“決勝での一発”を狙う

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名古屋高の前線で存在感を示すFW澤田海心(3年=右)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.31 インターハイ愛知県予選準決勝 東邦高 0-1 名古屋高 岡崎龍北スタジアム]

 足元の上手さがあるわけではけなれば、器用なタイプでもないが、とにかく前線で実直に身体を張れる。名古屋高が縦に速いトーナメント仕様のスタイルを徹底できるのも前線にターゲット役となるFW澤田海心(3年)がいるから。守護神のGK定本翼(3年)が「自分のキックを澤田が収めることで攻撃が始まる」と口にする通り、周囲の信頼も厚い選手だ。

 3回戦の東海学園高戦、準々決勝の刈谷高戦は181cmの身長を生かした競り合いの強さを発揮できていたが、この日マッチアップした東邦高のDF深谷颯天(3年)はCBとして小柄ながらも競り合いで圧倒的な強さを誇る。思い通りに競り勝てない場面も見られたが、澤田が身体を張ることで生まれたセカンドボールを2列目の選手がきっちり回収することで、2次攻撃が生まれていた。

 そして、山田武久監督は競り合い以外の部分も評価している。「これまでは周りの選手を使おうとし過ぎて全く点が取れていなかった」と澤田が振り返るように、起点になるプレーを心掛けていたが、チームメイトから「足を振れ」と言われたことで意識が変化。シュートへの意識を高めたことで、ターンして前を向く回数が増え、上手くCKを取る回数が増えたという。

「この大会を通じて澤田が良くなっている。収めて、ターンして、蹴り分けるイメージが出てきた。澤田が調子を上げてきたので、あそこを軸に今はサッカーを組み立てられるようになってきた」。そう目を細めるのは山田監督で、澤田の成長が今大会の勝ち上がりに繋がっている。

 前線で逞しい姿を見せているが、中学時代に所属したグランパスみよしFCではCBとしてプレーしていた。高校に入ってからは守備力を生かすため、ボランチにコンバートされたが、「自分は足元があまりなくて、周りを使うプレーができない」(澤田)ことが弱点。昨夏からは高さを生かせるFWとしてプレーすることになった。

「まさかFWをやるなんて想像していなかった」と口にするが、与えられたポジションで全力を尽くすしかない。コンバートされた当初はCBとFWでは違う競り合いの仕方に戸惑いを感じていたが、新たなポジションをつかみ取るため、猛特訓を重ねた。「競り合いだけは絶対、負けてはいけない。自分の武器として使ってもらっているので、そこだけは負けたくなかった。練習でも競り合いには拘ってきました」。

 シュート練習にも力を入れているが、起点となるプレーが多いため、自らが打つ場面はあまり訪れない。前線で圧倒的な存在感を見せているが、今大会はここまで無得点。「得点を取って貢献したい。そろそろ決めたい」と悔しさを滲ませる。

 昨年、敗れた舞台に戻る決勝はそうしたこれまでのうっ憤を晴らすチャンス。コツコツと積み上げてきたターゲット役以外のプレーを発揮することでゴールネットを揺らし、チームを全国の舞台に導くつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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森田将義
Text by 森田将義

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