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森保監督が選ぶ早慶戦MVPは慶應義塾大GK福井大次郎!! 攻守で輝いた守護神、自分自身と仲間のために「1部に戻す」

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森保一監督からMVPの表彰を受けた

[8.11 早慶定期戦 慶應義塾大 3-1 早稲田大 MUFG国立]

 国立競技場で行われた今年の早慶定期戦に、日本代表森保一監督がサプライズで登場した。慶應義塾大が早稲田大を3-1で破った試合後にはMVPを選出。選ばれたのは慶應義塾大GK福井大次郎(3年=横浜FMユース)だった。

 森保監督は「慶應は少し前半から押され気味のところで、GKの福井くんを中心にディフェンスラインの選手が踏ん張って流れを引き寄せたと思う」とコメント。福井は前半19分、MF柏木陽良(4年=鹿島ユース)の強烈なミドルシュートを右手一本でセーブすると、こぼれ球に詰めたFW大西利都(1年=名古屋U-18)のシュートもブロックする連続スーパーセーブを披露した。その後CKで1失点を喫したものの、「4年生、OBの方々、出れない選手たちのために本気で戦おうと思っていた」との気迫で追加点は許さず、慶應義塾大を最後方から支えた。

 また、高いポジションを取った上でロングフィードでの絶妙な配球を繰り返したことも印象的だった。中町公祐監督が率いる慶應義塾大はGKが高い位置からビルドアップしていくスタイルで、2年前に早稲田大とリーグで対戦した際にはGKがロングシュートを決める場面もあった。そうしたスタイルを福井も表現。森保監督は「後ろからのフィードが本当に素晴らしくて、慶應が丁寧にサッカーをやろうとするところで後ろのパスから構築していたなと思ってMVPとした」と絶賛した。

 高い配球力はゴールの起点にもなった。1点ビハインドの前半31分、福井がペナルティエリアから大きく離れたところでDFのパスを受けて敵陣左サイドへロングフィード。MF藤井漱介(4年=静岡学園高)がアウトサイドで鮮やかにトラップして左サイドのFWオノノジュ慶吏(2年=前橋育英高)へ繋ぐと、オノノジュのクロスをMF小野翔大(3年=慶應義塾高)が合わせて同点ゴールが生まれた。

「失点するまではちょっと緊張もあって立ち位置で前の方に取れなくて良い流れをあまり掴めなかった。ちょっと立ち位置を変えたらリズムを作れた。得点も僕のロングボールから前に(ボールが)いって上手くやっていたが、自分が起点になれたというのは良かったなと思います」(福井)

 もっとも横浜F・マリノスユース時代は立ち位置を変えたり、蹴り足を使い分けたりといった柔軟性がなく配球力を発揮しきれていなかったという。それでもトップチームに練習参加した際のGK高岡陽平やGK田川知樹といったプロや、GKコーチの榎本哲也氏や松永成立氏などからアドバイスを受けた経験は大きく、「Jのトップでやっていた方々から教われたのは大学に生きたところだと思う」と振り返った。

 ユース時代にNEXT GENERATION MATCHで立った国立に、慶應義塾大の守護神として帰還して成長した姿を示した福井。そうした活躍で森保監督にも評価されたが、MVP受賞には「本当に予想していなくて。(1ゴール1アシストのFWオノノジュ)慶吏かなと思っていた」と驚いていた。「光栄で身に余る評価。みんなで戦っていての勝利だったので自分だけじゃなくてみんながMVP」。謙虚な姿勢を貫きつつ、早慶戦に勝利できたことを喜んだ。

 大舞台で輝いた福井だが、卒業後の進路についてはプロ入りを目指すかの明言を避けた。怪我がちなことが影響しているといい、慶應義塾大入学時には「長い目で見たときにあまりプロでやっていける未来が見えなかった。もちろんサッカーは大好きなので成長意欲は変わらないけれど、高校時代よりはプロに執着することはあまりなかった」という。

 2年目までは大学リーグでの出場がなかったものの、2部に降格した今年に入ると一気に先発に定着。そうした中で横浜FM Jrユース時代の同期であるMF齋藤俊輔が海外移籍し、ユース時代のチームメイトのDF池田春汰(筑波大)はカターレ富山に内定と旧友の飛躍の知らせも続いた。かつての仲間の吉報を耳にして進路に対する心も動いている様子。だが、慎重な姿勢は崩さずに正直な胸の内を口にした。

「近い友達がプロになるにつれて『いいなぁ』と憧れもしつつ、自分が一つそこに踏み出そうという勇気を持てないのは彼らとのメンタルの差だったりする。自分の現状を見てずっと悩んでいるところ。今日こういう舞台で活躍できたとはいえ、そこは話は別。自分の中でまだ悩んでいるのであまり(進路を)『こうする』とは言えないですね」

 その上で福井はチームメイトのため、そして自身のために1部復帰を果たす構えだ。

「周りにはプロを志望する選手がいる。なおかつ、慶應はずっと1部にいて(いかなければいけない)。(プロを目指す)彼らに1部で出場機会を与えないと彼らは夢を追えないし、慶應という100年続く組織を自分たちが2部に落としてあるべき場所に置けていない責任も感じている。彼らのためにも、そして自分の成長のためにも1部に戻すところを目指している」

 森保監督からは「選手としてももちろん上を目指して頑張ってほしいと思うけれど、大学は人としていろいろなことを学べると思う。日本を背負っていくような人材になってほしい」と直接激励を受けたMVP。どのような道を歩むかはっきりとしたことは言えないが、これからも伝統ある慶應義塾大でプライドを持って過ごしていくことは誓うところだ。残り1年半の大学サッカーで誇りと責任感を胸にゴールを守り続ける。

(取材・文 加藤直岐、田邉航汰)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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