[関東2部]同期3人で唯一つかめなかった横浜FMトップ昇格…「マリノスに一番早く戻るには」関東学院大MF德田佑真の現在地
[10.18 関東大学L2部第16節 関東学院大0-4産業能率大 F・マリノススポーツパーク久里浜]
関東大学リーグ2部で3位につける関東学院大が、後期初黒星を喫した。18日の第16節では首位の産業能率大と対戦。前期は敵地で2-0と勝利した相手だったが、今回は前半13分に先制を許すと、後半にも3失点を喫し、0-4で完敗した。
前節は流通経済大を2-0で下すなど、後期に入って調子を上げていた。MF德田佑真(2年=横浜FMユース)は「前節は自分たちがはっきり前にプレーするサッカーをしようというので、うまくはまって勝つことができた」と振り返る。しかしこの日は狙いとしたロングボールが相手の最終ラインを越えず、セカンドボールも拾えなかった。「自分たちがやりたいことの逆をやられてしまった」。勝ち点27のまま3位にとどまり、産能大との勝ち点差は8に広がった。
そんな德田は2年生ながらゲームキャプテンという役割を担っている。当初は4年生のDF新井生(4年=三田学園高)がチームキャプテンと兼任する予定だった。しかし、シーズン開幕前に奈良安剛監督の判断で副キャプテンの德田がゲームキャプテンを務めることになった。最初のころは上級生の複雑な思いも感じ取っていたようだが、「人として成長できる機会でもあると思った」とチームの先頭に立つ覚悟を決めた。
ただ特別な何かをしたわけではない。「自分がキャプテンというより、みんながキャプテンだと思っている」。プレーやコーチングでチームを引っ張ることを意識しながらも、普段通りの自分を大切にしている。
「2年生で任せてもらっていて、重みとかは別に感じていない。ただそこを任されたということは、プロに行く選手にならないといけないと思っていますし、毎試合、自分の左足でゲームの中で違いを作っていかなきゃいけないなと思ってやっています」
プロへの思いは、横浜F・マリノスのアカデミーで育った高校時代から変わっていない。德田は同期の埜口怜乃、望月耕平とともにトップチーム昇格の候補に残り、夏の日本クラブユース選手権まで判断を待つことになった。しかし、昇格を勝ち取ったのは2人。德田だけが大学進学という別の道を選ぶことになった。
それでも進学先を選ぶ際も、意識したのは横浜FMだった。「マリノスに一番早く戻るには、この大学しかないなと思って進学しました」。関東学院大は2006年より横浜FMと提携を結び、指導者派遣や施設利用などで関係を続けてきた。横浜FMから派遣された奈良安剛監督が、現在も指揮を執っている。
そしてその選択は、德田に新たな試練と成長の機会をもたらした。入学当初は横浜FMユースで培った技術だけでは通用せず、フィジカルやプレースピードの違いに苦しんだ。德田自身も「マリノスでやってきたサッカーを、また一から覆されるようなサッカーで、自分の中でも思い悩んで、すごくスランプに入った時期もあった」と苦悩があったことを振り返る。
ただそんな中で、弱点に気づくこともできた。まず力を入れたのは身体作り。連続して動く力や走り続ける力、守備での1対1など、トップ昇格を逃した要因として自らが感じていた課題は、大学でも浮き彫りになっていた。そこで栄養士のサポートも受けながら、食事、筋トレ、睡眠を見直し、身体を鍛えたという。
そんな德田について、奈良監督も成長を認めている。「ユースのときより5キロ以上体重が増えて、機動力も少しずつ上がってきている。スピード感にも乗っかってきている」。ただ、その評価には続きがあり、「イメージ通りには成長しているけど、イメージ通りなので。どんどんのし上がっていくやつって、それを超えていくから」。期待が高いからこそ、その要求も高くなる。
ユースの2学年先輩で、法政大から横浜FMへの復帰を決めたMF松村晃助は、特別指定選手ながら主力として活躍している。德田にとって、その存在は大きな刺激になっている。
今も忘れられない光景がある。德田が1年生だったとき、3年生だった松村やFW内野航太郎(水戸)と一緒に練習する機会があったが、練習から要求がとにかく厳しく、ミスをすれば怒られるような緊張感があったという。ただ強いチーム、勝てるチームは日常の厳しさが必要だということも学んだ。「本当に憧れ。リスペクトを一番している先輩です」。
かつて練習場で強さと厳しさを教えてくれた先輩が、今は自らの目指す道を一足先に進んでいる。だが、同じ道を歩める保証はない。德田自身はボランチでの勝負を望む一方、奈良監督からは3バックのストッパーもこなせるようになれば、将来の選択肢が広がると助言を受けている。横浜FMの強化部とも頻繁に連絡を取りながら、「横浜FMでプロになること」を最優先に成長を目指している。
一方で、大学で果たしたい目標もある。関東学院大は德田の入学直前に2部へ降格。今季は1部復帰を目指して上位争いを続けている。「今年は1部で戦えるメンバーがそろっていると思う。いち早く1部の舞台で、自分たちの力がどれぐらい表現できるか確かめたい」。
マリノスへの帰還を目指して選んだ大学で、思い描いていなかった経験も重ねてきた。身体を鍛え、2年生ながらゲームキャプテンを任されるまでになった。それでも、目標とするプロの舞台にたどり着くには、指揮官の想像を超える成長が必要になる。德田はまだ、その途上にいる。
(取材・文 児玉幸洋)
●第100回関東大学リーグ特集
▶お笑いコンビ「ヤーレンズ」がサッカーをしゃべり倒すポッドキャスト「ボケサカ」は毎週金曜配信
関東大学リーグ2部で3位につける関東学院大が、後期初黒星を喫した。18日の第16節では首位の産業能率大と対戦。前期は敵地で2-0と勝利した相手だったが、今回は前半13分に先制を許すと、後半にも3失点を喫し、0-4で完敗した。
前節は流通経済大を2-0で下すなど、後期に入って調子を上げていた。MF德田佑真(2年=横浜FMユース)は「前節は自分たちがはっきり前にプレーするサッカーをしようというので、うまくはまって勝つことができた」と振り返る。しかしこの日は狙いとしたロングボールが相手の最終ラインを越えず、セカンドボールも拾えなかった。「自分たちがやりたいことの逆をやられてしまった」。勝ち点27のまま3位にとどまり、産能大との勝ち点差は8に広がった。
そんな德田は2年生ながらゲームキャプテンという役割を担っている。当初は4年生のDF新井生(4年=三田学園高)がチームキャプテンと兼任する予定だった。しかし、シーズン開幕前に奈良安剛監督の判断で副キャプテンの德田がゲームキャプテンを務めることになった。最初のころは上級生の複雑な思いも感じ取っていたようだが、「人として成長できる機会でもあると思った」とチームの先頭に立つ覚悟を決めた。
ただ特別な何かをしたわけではない。「自分がキャプテンというより、みんながキャプテンだと思っている」。プレーやコーチングでチームを引っ張ることを意識しながらも、普段通りの自分を大切にしている。
「2年生で任せてもらっていて、重みとかは別に感じていない。ただそこを任されたということは、プロに行く選手にならないといけないと思っていますし、毎試合、自分の左足でゲームの中で違いを作っていかなきゃいけないなと思ってやっています」
プロへの思いは、横浜F・マリノスのアカデミーで育った高校時代から変わっていない。德田は同期の埜口怜乃、望月耕平とともにトップチーム昇格の候補に残り、夏の日本クラブユース選手権まで判断を待つことになった。しかし、昇格を勝ち取ったのは2人。德田だけが大学進学という別の道を選ぶことになった。
それでも進学先を選ぶ際も、意識したのは横浜FMだった。「マリノスに一番早く戻るには、この大学しかないなと思って進学しました」。関東学院大は2006年より横浜FMと提携を結び、指導者派遣や施設利用などで関係を続けてきた。横浜FMから派遣された奈良安剛監督が、現在も指揮を執っている。
そしてその選択は、德田に新たな試練と成長の機会をもたらした。入学当初は横浜FMユースで培った技術だけでは通用せず、フィジカルやプレースピードの違いに苦しんだ。德田自身も「マリノスでやってきたサッカーを、また一から覆されるようなサッカーで、自分の中でも思い悩んで、すごくスランプに入った時期もあった」と苦悩があったことを振り返る。
ただそんな中で、弱点に気づくこともできた。まず力を入れたのは身体作り。連続して動く力や走り続ける力、守備での1対1など、トップ昇格を逃した要因として自らが感じていた課題は、大学でも浮き彫りになっていた。そこで栄養士のサポートも受けながら、食事、筋トレ、睡眠を見直し、身体を鍛えたという。
そんな德田について、奈良監督も成長を認めている。「ユースのときより5キロ以上体重が増えて、機動力も少しずつ上がってきている。スピード感にも乗っかってきている」。ただ、その評価には続きがあり、「イメージ通りには成長しているけど、イメージ通りなので。どんどんのし上がっていくやつって、それを超えていくから」。期待が高いからこそ、その要求も高くなる。
ユースの2学年先輩で、法政大から横浜FMへの復帰を決めたMF松村晃助は、特別指定選手ながら主力として活躍している。德田にとって、その存在は大きな刺激になっている。
今も忘れられない光景がある。德田が1年生だったとき、3年生だった松村やFW内野航太郎(水戸)と一緒に練習する機会があったが、練習から要求がとにかく厳しく、ミスをすれば怒られるような緊張感があったという。ただ強いチーム、勝てるチームは日常の厳しさが必要だということも学んだ。「本当に憧れ。リスペクトを一番している先輩です」。
かつて練習場で強さと厳しさを教えてくれた先輩が、今は自らの目指す道を一足先に進んでいる。だが、同じ道を歩める保証はない。德田自身はボランチでの勝負を望む一方、奈良監督からは3バックのストッパーもこなせるようになれば、将来の選択肢が広がると助言を受けている。横浜FMの強化部とも頻繁に連絡を取りながら、「横浜FMでプロになること」を最優先に成長を目指している。
一方で、大学で果たしたい目標もある。関東学院大は德田の入学直前に2部へ降格。今季は1部復帰を目指して上位争いを続けている。「今年は1部で戦えるメンバーがそろっていると思う。いち早く1部の舞台で、自分たちの力がどれぐらい表現できるか確かめたい」。
マリノスへの帰還を目指して選んだ大学で、思い描いていなかった経験も重ねてきた。身体を鍛え、2年生ながらゲームキャプテンを任されるまでになった。それでも、目標とするプロの舞台にたどり着くには、指揮官の想像を超える成長が必要になる。德田はまだ、その途上にいる。
(取材・文 児玉幸洋)
●第100回関東大学リーグ特集
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