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大卒J3加入から一躍ブンデス主力に! 充実のW杯イヤー送るDF安藤智哉、現在のテーマは“予測”「Jリーグの感覚でプレスに行ったら…」

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MF藤田譲瑠チマとともにザンクト・パウリの欠かせない戦力となっているDF安藤智哉(写真右)

 ザンクト・パウリのDF安藤智哉が25日、ブンデスリーガ主催の日本メディア向け「オンライン・ラウンドテーブル」に出席した。今年1月、アビスパ福岡からザンクト・パウリに加入した安藤は初の海外挑戦ながら早くも主力に定着し、ここまで公式戦7試合に出場。「すごく充実した日々を送れている」と現在の心境を口にした。

 1999年1月10日生まれの安藤は愛知学院大を卒業した2021年、当時J3リーグ所属だったFC今治でプロ生活をスタートさせた苦労人。23〜24年はJ2の大分トリニータ、25年はJ1の福岡でプレーし、着実にステップアップを果たした結果、昨年7月の日本代表デビューを経て、ついに欧州5大リーグの舞台に辿り着いた。

 大卒でのJ3加入から丸5年でのブンデスリーガ挑戦。「大学4年生の時、当時J3だった今治からしか声がかからなかったのが現状だった。でも逆にそれが自分の原動力になって、『もっと上でやってやりたい』という強い思いになって、こうやってサッカーに取り組めている。そういった点ではすごく良かったのかなと思う」。地道な積み重ねを実らせ、晩成型のキャリアパスを実現させた。

 J1では1シーズン限りのプレーだったが、今季からブンデスリーガ1部昇格を果たした気鋭のクラブから熱いオファーを勝ち取った。「Zoom面談した時も強化部だけじゃなく、監督も入って面談してくれたし、熱量をすごく感じた。5大リーグは目標にしていたリーグなので、目標がマッチした。高いレベルでやりたい思いがあったので即決した」。

 半年後には北中米W杯を控える状況での決断だったが、迷いはなかった。「「(W杯という)その存在がめちゃくちゃ大きいわけではなかったけど、頭の片隅に置きながら。『W杯、W杯』というよりは自分の成長のために決断したのがすごく大きかった」。現在の代表チームは欧州5大リーグ基準が当たり前の集団。「自チームで試合に出て、勝利することで自分の評価も高まる」という確信も持って飛び込んだ。

 そこからは順調な歩みを続けてきた。1月1日の加入発表3日後には早くも練習試合ブレーメン戦で起用され、「合流してすぐで戦術とかも分かっていない状況だったので自分の色を出そうと心がけた」というパフォーマンスでチームの信頼を獲得。再開2試合目となった1月17日の第18節ドルトムント戦(●2-3)で途中出場し、満員のジグナル・イドゥナ・パルクでブンデスリーガデビューを果たした。

 そして続く1試合を挟み、1月27日の第16節延期分ライプツィヒ戦(△1-1)からは先発に定着。ここまで3バックの右だけでなく、中央でも起用されるなか、DFBポカール(ドイツ国内杯)を含めた6試合連続でフル出場し、昨夏から所属しているMF藤田譲瑠チマとともにチームに欠かせない戦力となっている。

 チームに馴染むにあたっては藤田やキットマネージャーの神原健太さんの存在が大きかったという。安藤は「そこが自分の中でアドバンテージとしてすごく大きく、チームにすぐとけ込むこともできたし、サッカー以外の面でストレスなくできている。サッカーの面でも通訳してもらったり、分からないことがあったら譲瑠に聞いたり、サッカーでもストレスなくできているのが大きい」と感謝を口にする。

 アレクサンダー・ブレッシン監督からの信頼にも表れているように、ブンデスリーガの基準にもしなやかに適応している。加入当初から「自分の色を出すことは意識している」といい、190cmの上背を生かした空中戦や、地道にスキルアップを続けてきた配球力はブンデスリーガの舞台でもハイレベル。「チーム、監督が求めているプレーと、自分の強みを出すところにすごくフォーカスしながらできているので、すごく充実した日々を送れているのかなと思う」と好感触を感じているようだ。


 とはいえ、そうした高いパフォーマンスが続いている一方、Jリーグとの違いも認識しながらプレーしているという。「違う点は縦のスピードがすごく速いのが印象的。こっちに来て1対1の局面のバトルがすごく多いと感じている」。その中で「課題は挙げれば挙げるほどある」と安藤。「1対1の球際はまだまだ上げていかないといけない。細かいポジション修正をしないと一瞬でやられてしまうレベルなので、細かいポジショニングが大事になってくる」と現状の課題を見つめているようだ。

 適応にあたっては昨季J1リーグで過ごした1年間の経験が欠かせなかった。「あの1年間で自分のプレースタイルをすごく大きく幅を広げることができたのは大きかったし、去年の監督だった金明輝さんが来てくれたからこその自分だと思う。こっちに来ても似たようなタスクを求められることも多いので、そういった面で戸惑うことなくやれているのが大きい」。だが、さらにハイレベルな基準でプレーするにあたり、より大きな必要性を感じているのは“予測力”だという。

「こっちに来て最初に感じたのは、Jリーグの感覚でプレスに行ったらタイミングを外されることがすごくあって、寄せるタイミングの駆け引きはすごく探りながらやっていた。それは試合を重ねるごとに感覚的にも良くなっているので、予測というのがすごく大事かなと思っている。レベルの高い相手だと潰し切らないともうピンチ、失点につながるので、そこの予測は研ぎ澄まさないとやられる世界だなと毎試合感じている」

 「1対1」の局面が重視されるブンデスリーガだが、必要なのはデュエルの強さだけではなく、デュエルの局面を作るための“予測”が不可欠。「デカくて速くてという選手が前線には多いので、そこですぐに足が速くなるわけじゃないけど、予測のところは自分次第で変われるところなので日本にいた時よりもフォーカスしながらやっている」。そこに明確なテーマを持って取り組んでいるようだ。

 加えてデュエルを制するためのフィジカル強化にも取り組んでおり、「練習前にウエイトを多めに入れたり、一回りもう少し体を大きくしたいのがあるのでフォーカスしながらやっている」と安藤。「いまこっちに合流した時が87〜88kgだったけど、90kgくらいにして、より当たり負けしない身体づくりをしたい」と欧州トップレベル仕様のフィジカル強化も進めながら、充実の1年目を過ごしている。

 ここまでFWパトリック・シック(レバークーゼン)やFWミヒャエル・グレゴリッチュ(シュツットガルト)といった大型FW、FWアントニオ・ヌサやFWマリク・ティルマンらW杯出場国を背負うアタッカー陣とも対峙したが、「僕はあまり海外の選手を知らなくて、対峙して選手を覚えていくスタイル」と“名前負け”はせず。「ブンデスで毎試合、レベルの高い選手とやれるのはすごく刺激的。そういった中でチームを勝たせて自分の価値を高めるのがすごくやりがいになる」と前向きに挑んでいるのが頼もしい。

 チームでは日本時代からの「ドゥー」だけでなく、オーストラリア代表のMFコナー・メトカーフから「デンジャー」という異名を授けられており、いまでは「他にデンジャーって言ってくる選手もいる。逆にニックネームをつけてもらったので嬉しい」とさらに深く馴染んでいる様子。ここからも厳しい残留争いが続くが、「あまりプレッシャーは感じていない。(チームの雰囲気も)負けた日は暗いけど、次の日になったらめちゃくちゃ明るいので絶対に残留できると思う」といい、大胆に果敢にW杯までのシーズンを駆け抜けていく構えだ。


(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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